2008/05/18 リーガ・エスパニョーラ 38節

デポルティーボ・ラコルーニャ 0-2 ビジャレアル

監督 マヌエル・ペレグリーニ
フォーメーション 1-4-3-1-2


「リーガもついに38節」

「いわゆる最終節を迎えた」

「長かったような短かったような」

「短かったような長かったような」

「そんな最後の試合はデポル対ビジャレアル」

「終わってみればビジャレアルの完封勝ちだった」

「先発はこう」

「デポルはいつもの1-5-4-1」

「ビジャレアルは1-4-3-1-2やな」

「珍しいといえば珍しい」

「メンバー的にも珍しいな」

「ベンチにいわゆるレギュラークラスが控えていて、普段あまり先発しないトマソン、ギジェ、マティアス・フェルナンデス、アンヘル、ブルーノなどが出ている」

「これは2位確定が確定して、この試合に勝っても負けても順位変動がないことが関係している」

「控え選手をなるべく多く出して、慰労と来シーズンへの布石のためやな」

「今シーズンのビジャレアルは、苦しみながらも2位の座を手に入れた」

「おまけにバルサに10ポイントもの差をつけた」

「それはバルサがひど過ぎただけやけどな」

「まあな」

「ただビジャレアルは楽に勝ってきたかというと、そんなことはない」

「最終的に勝ちを収めたレクレアティーボ戦ヘタッフェ戦を見ても前半は非常に苦しい試合だった」

「それを戦術と個人の能力、集団でのパスワークでカバーして順位を上げてきた」

「リケルメ、フォルランがいたころの爆発的な強さはないけれども、チームとしての勝利という意味では以前にも増して素晴らしいシーズンだった」

「確かに」

「しかし今シーズンも、びっくりするくらい良くボールをつないでいた」

「今のスペインリーグであれだけ大切に回すのは、ビジャレアルとバジャドリーくらいなもんやな」

「そのパスを受けるにおいて、ビジャレアルには一つの特徴がある」

「ほう」

「例えば下のような場面やな」

「まずボールを持った選手がサイドへターンする」

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「ターンした後、縦パスを送るフェイントをかける」

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「そう見せかけて中央へ向きなおる」

「この時、中央の選手が後ろに下がる」

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「そこへ横パス」

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「ダイレクトで逆のスペースへ展開する」

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「このような次第か」

「そうやな」

「これがどうした」

「その前に、この後の展開を見ていただきたい」

「後というと下の図の後か」

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「パスを受けた選手は左へトラップする」

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「そこから中央へパス」

「受ける選手は左サイド側から右サイド側に動く」

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「結果、こうなる」

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「上の二つの流れには、下のような共通点がある」

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「ほうほう」

「最初のプレーではプレーが前に流れているのに対して、ボールを受ける選手は後ろに動いている」

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「二番目のプレーではプレーが左に流れているのに対して、ボールを受ける選手は右に動いている」

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「なるほどな」

「これはパスを回すとかボールをつないで攻める時に非常に重要で、プレーの流れと逆に動く選手の存在によってボールを停滞させずに動かすことができる」

「みんなが同じ方向に動いたらどこかで詰まるからな」

「これはビジャレアルのオフ・ザ・ボール、つまりボールを持っていない場所での動きに置いてよく出てくるパターンなんやな」

「下もそうか」

「まず左サイドからのパスを中央で受けて、右方向へコントロール」

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「これに対して中央前側の選手は、左に動いてボールを受ける」

migi-naka2.jpg

「結果、こうなる」

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「流れ図としては下の形か」

hankou3.jpg

「原理はさっきの二つと一緒やろ」

「そうやな」

「これは、いわゆる”反航系”と呼ばれるパターンになる」

「プレーのベクトルと受ける選手の動きのベクトルが反対向きだから、反航ということか」

「そういうことやな」

「安直やな」

「ほっとけ」

「そうもいかん」

「何にせよこれを行う時には、一般的にパスを出す選手が出したい方向と逆側にボールをコントロールすると上手くいく」

「どういうことや」

「例えば下の最初の例では右からくるボールを左にコントロールしてから右に出しているし、次の例では左から来るボールを右にコントロールしてから左に出している」

hidari-naka3.jpg

migi-naka1.jpg

「コントロールした方向にディフェンスの注意は集中するから、その逆に出せば通りやすいということか」

「それにこうしておけば自然と90度方向にパスがでるので、死角に入りやすい」

「90度についてはこちら(※リンク切れ)やこちら(※リンク切れ)をご覧いただくとして」

「このコントロールのすぐ後に逆へパスを出すという技は、反航系だけでなく普通の場面でも使用可能で下のようになる」

「下か」

「まず中から左サイドへのパスを左へコントロール」

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「左にコントロールしたボールを右方向、つまり中央側へと戻す」

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「前の二つと同じパターンではあるな」

「ようするに、最後のパスを出す直前のボールのコントロールそのものがフェイントになっているという話や」

「そうか」

「ちなみにここからビジャレアルの1点目が入る」

「その1点目なんやけどな」

「なんや」

「それに関する簡単な個人技問題を作ってみたので、興味のある方は解いていただければと」

こちらからご覧になれますので」

「どうぞよろしく」

「というわけで」

「プレーの流れに対して反航してボールを受ける。パスを出したい方向と逆にボールをコントロールする。これらの技は簡単かつ有効である」

「以上が本日の骨子ですので」

「試合を見る時や実際にプレーする中で、活用していただければというところで」

「また次回」

「ごきげんよう」


【蹴球計画】より ※この内容は蹴球計画のミラーサイトとして作成しています。詳細についてはこちら

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