技術体系のあるべき姿 各技術間の関連づけと段差を抑えた統合
これまで正しいインサイドキックの蹴り方、インステップからインサイドへの変換を見て来た。
それらの技術は下のように相互に関連している。
それぞれのキックは下のように表される。
すべて右足でボールを蹴る場合である。
青い線は体の向き、赤い線はフェイントで見せるパスの方向、白い線は実際のボールの動きを表す。
インステップ
インステップは体の正面に対して軸足方向に強く蹴るだけでなく、そこからインサイドを用いて左右に変化させてこそ真価を発揮する。
その蹴り分けにおいて使用する技術は、インサイドによる蹴り分けと多くの共通点を持つ。
インサイドでの蹴り分けの基となるのは、体の正面に対して軸足方向に蹴るインサイドの表である。
それぞれの技術を通してインステップとインサイドという、全く異なる蹴り方が関連を持つ。
これには次のような利点がある。
まず個々の技術が独立している場合、より容易に習得することができる。
これは一つの技術を習得することが他の技術を習得する際に助けとなるからである。
次に個々の技術が独立している場合、より実戦の応用において有利である。
試合においては様々な状況に遭遇し、それにより蹴り方を変化させなければならない。
上の体系を把握している場合、最初から変化が織り込まれているため対応が容易である。
また技術が連想式に記憶されるため、ばらばらな状態に比べ取出しが容易である。
これは変化への即応性を高め、いわゆる「ひらめき」を助けるはずである。
選手に教える技術は上のように相互に、なるべく段差が低くなるように関連づけられている必要がある。
例えば嘘の蹴り方であるパター型のインサイドでは、このような体系を作ることはできない。
蹴り方のメカニズムがあまりにもかけ離れているため、どうあがいてもインステップにつなげることはできない。
また間違ったパター型では、インサイドで蹴り分けることすらできない。
実際のプレーにおいて、このような蹴り方は役に立たない。
パター型が一般に流布していることは、サッカーにおいてそれぞれの技術がばらばらに存在していたことの1つの表れである。
今後、個々の技術をなるべく段差の低い状態で統合した、下のキックサークルを内包するような体系を作ることは非常に大きな意味をもつ。