2008/06/14 ユーロ2008 Group League

スウェーデン 1-2 スペイン

監督 ルイス・アラゴネス
フォーメーション 1-4-4-2


「スペインは2連勝」

「グループリーグ突破も決まった」

「勝ち越し点が決まったのは、93分」

「その幕切れにマスコミには劇的の文字が躍る」

「確かに展開は劇的なものだったが、はたして内容はどうかというところやな」

「この試合では交代のチームに及ぼす影響が非常によく出ていたので、その点を見ていきたいと思う」

「先発はこう」

「スペインは前も試合と同じ。スウェーデンは右サイドが変わっている」

「試合開始からはスペインのペースだった」

「実によくボールを保持した」

「しかしボールは持っているものの、中央の固いところを避けて外へ外へボールが流れた」

「赤がなくて青ばっかりということやな」

「スウェーデンはマルチェナ、プジョルを空けて中央に壁を置くようにしていたことも関係している」

「上の状態では見た目は攻めていても、あまり有効ではない」

「それはシュート数にも表れていて、前半15分でシュートは1本にとどまった」

esp-swe-nagare_01.jpg

「恒例のUEFAページ(※リンク切れ)から拝借した図やな」

「左から右に時間が流れて、目盛り1つが1分を表してる」

「スペインのシュートは3分半の1本だということがわかる」

「しかし15分に2本目のシュートでスペインが先制する」

「ショートコーナからトーレスやな」

「これで勢いづくかと思いきや」

「全くの逆で、その後はまるっきりスウェーデンが優位に立った」

「ゴールを決めた後、スペインは次のシュートまで23分を要した」

「その間にスウェーデンは5本のシュートを放ち1ゴールを上げた」

「この押し返しの主役になったのは、やはりというかイブラヒモビッチだった」

「点を取った後のスペインが、前から行くのか引くのか中途半端だったこともあるけどな」

「前半、イブラヒモビッチに通ったパスのトップ3は下のようになる」

「メルベリから5本、ストールとニルションから4本ずつか」

「長め目のパスが、ディフェンスラインからイブラヒモビッチによく入っていたことがうかがえる」

「これがいかに多かったかというと、他のパスと比べるとよくわかる」

「これか」

「90分で一番多かったパスはニルションからリュングベリへの9本、次はメルベリからストールへの8本と、ストールからエルマンデルへの8本」

「イブラヒモビッチへのパスは前半45分での数値やから、それと匹敵する数字なわけやな」

「いかに彼がキーであったかがわかる」

「それにしても、これをやられるとスペインはつらい」

「スペインの弱点がもろに出るしな」

「どんな形にせよ、中盤が押し下げられることに弱い」

「セナが入っても、今の組み合わせでは中盤でなかなかボールを取れない」

「その辺りはペルー戦をご覧いただくとして」

「25分にはプジョルが負傷する」

「交代はアルビオル」

「彼の方が高さに強い意味はある」

「しかし、39分にスウェーデンはイブラヒモビッチがゴールを決めて追いつく」

「前半はスウェーデン優位のまま終わり後半に入る」

「そこで驚きの交代が出る」

「イブラヒモビッチが下がり、ローゼンベリが入る」

「何と」

「最も大切な選手がいなくなってしまった」

「将棋で言えば、いきなり飛車と銀が盤上から消えたようなもんやな」

「将棋で言わんでもええけどな」

「理由は怪我か監督との喧嘩以外に考えられない」

「膝に痛みを抱えていたそうやから、その関係やろな」

「その結果、後半のデータはこうなる」

esp-swe-nagare_04.jpg

「スウェーデンは45分とロスタイム合わせてシュートは2本のみ」

「交代で入ったローゼンベリに、後方から渡ったパスは次の通り」

「ストール、ハンション、ニルションから1本ずつのみ」

「メルベリからはゼロ」

「前半との違いは明白やな」

「3人合わせて75%オフみたいなもんやな」

「以上のことから、この試合のスペインの勝因はイブラヒモビッチがいなくなったことであると言うことができる」

「この試合、スペインは負けた方がよかったかもわからんな」

「何でや」

「その方が修整に力が入るやろ」

「それはそうかもわからんが、この試合でアラゴネスの交代がぴたりと当たったのは心強い要素ではある」

「58分の二枚代えやな」

「シャビ、イニエスタのバルサコンビを下げて、セスク、カソルラを入れた」

「セスクもバルサ関係者やけどな」

「その結果、下のようになった」

esp-swe-nagare_04.jpg

「再びのデータ図か」

「明快にシュートが増えている」

「それにしても58分で交代を3つ使い切るとは大胆やな」

「ギャンブラー・アラゴネスと呼ばれるだけのことはある」

「そしてそのアラゴネスと、ロシア戦で途中交代をめぐって悶着をおこしたトーレスはフル出場」

「めでたいことやな」

「そういえばや」

「なんや」

ペルー戦でトーレスとビジャのコンビネーションが見られない、という話をしたやろ」

「したな」

「それを読んだ人から、ロシア戦でその点を注意して見たけど真偽の程がわからなかった。その話は本当なのか、というメールが来たわけや」

「ほほう」

「そこで次にそれを考えて見たいわけや」

こちらをご覧下さいというところで」

「またお会いしましょう」

疑問点
先日コンビネーションについて質問させていただいたものです。
御回答賜りありがとうございました。

Web上につきHNで失礼させていただきます。

先ほどビデオを見ていた際、イニエスタのパフォーマンスが気になりました。
ロシア戦のアシストを除けば、目立った働きは出来ていないように感じます。
それは、報道されている食中毒の影響なのか、相手に研究されているのか今ひとつ判然としませんが、
とにかくドリブルで中に突っかけて複数のマーカーに囲まれボールロストが続いています。
やはり、思うような働きが出来ないのは、研究されているからと見るべきなのでしょうか?
それを解決するには、先日指摘されていた、イニエスタを左でも同様の問題が起こると思うのですが。

そして、長くなってしまい申し訳ありませんが、もう一つだけ。

大会前から対期間中を通じ、主にプレミアを主戦場として観戦するサポーターの間から、
過日報じられたアルベロアの発言などを根拠として、トーレスとセスクは代表のプレースタイルには合わない、だから活躍できない。
リーガはプレーのリズムが遅い、それが周囲と今ひとつ合わない原因なのだ、と。
トーレスを活かすには、ボールを奪ったらロングボールを増やすべきなのではないか、という意見が出ています。

こうした意見は、なにがしかのデータに基づくわけではないので、再現性が乏しいのですが、
実際に専門家の方から見ると、どのように映るかについて、次回の更新時等でご教示いただけますでしょうか。

付随する疑問となりますが、私はプレースタイル云々ではなく、緒戦のロシア戦のように、
カウンターをきっちり狙っていけばトーレスも十二分に力を発揮できることから、こうした意見には懐疑的です。

というのは、過日レアル・マドリーのチーム設計を論じていらっしゃった時、
カウンターをきつくするために、ロナウドを入れるべきだと主張しておられたことを思い出したからです。

こうした問題は、トーレスやビジャの能力を活かすためにも、 ボールを奪った瞬間、必ずビジャかトーレスを見て、第一にカウンターを狙い、
それが難しい場合、つなぐ、ということでチームの意識を統一することによって解決可能ではないのか、と
素人目には思えてしまうのですが、いかがでしょうか。

ご教示いただけると幸いです。
2008/06/16 19:29 - ZERO

Re:疑問点
質問ありがとうございます。
箇条書きにて解答させていただきます。

・イニエスタのパフォーマンス
動きは鈍いです。原因はわかりません。
食中毒の影響だとすると、そろそろ回復するのではないでしょうか。
ギリシャ戦では、レギュラー組として唯一先発だそうです。
調整の意味があるのかもしれません。

・トーレス
その指摘は当たっていると思います。
トーレスは、狭いゾーンでのプレーに難があります。
カウンターや、広いスペースのある状態で良いプレーをします。
イングランドでの活躍の一因もそこにあります。

・セスク
セスクについては、そう思いません。
シャビと入れ替えても、トップ下でも、サイドで縦に動く選手がいれば十分機能すると予想します。
ただ、現状ではデータが少ないので断言することはできません。

・カウンター
ビジャ、トーレスはカウンターに向いています。
しかし、中盤でそれを支えることが難しいメンバー構成になっています。
カウンターを主体に戦うなら、体を寄せてボールを奪うことができる選手、
長い距離を前後できる選手が必要になります。
しかし、今の代表は、細かくつなぐ選手を主体として構成されています。
(参考:代表プレビュー、http://c60.blog.shinobi.jp/Entry/307/)
ロシア戦では、カウンターがよく機能しました。
しかし、守備面においては、落ち着いて攻撃を跳ね返したとは言い難く、
相手のミスに助けられた部分が大いにあります。
これを主軸に戦うのは難しいでしょう。
カウンターを主体にしない場合でも、ファーストターゲットとして、ビジャ、トーレスを利用してからつなぐ、
というのは、あるべき姿だと思います。

またなにかありましたらお寄せ下さい。
2008/06/18 02:29 - studio fullerene C60

疑問点
先日コンビネーションについて質問させていただいたものです。
御回答賜りありがとうございました。

Web上につきHNで失礼させていただきます。

先ほどビデオを見ていた際、イニエスタのパフォーマンスが気になりました。
ロシア戦のアシストを除けば、目立った働きは出来ていないように感じます。
それは、報道されている食中毒の影響なのか、相手に研究されているのか今ひとつ判然としませんが、
とにかくドリブルで中に突っかけて複数のマーカーに囲まれボールロストが続いています。
やはり、思うような働きが出来ないのは、研究されているからと見るべきなのでしょうか?
それを解決するには、先日指摘されていた、イニエスタを左でも同様の問題が起こると思うのですが。

そして、長くなってしまい申し訳ありませんが、もう一つだけ。

大会前から対期間中を通じ、主にプレミアを主戦場として観戦するサポーターの間から、
過日報じられたアルベロアの発言などを根拠として、トーレスとセスクは代表のプレースタイルには合わない、だから活躍できない。
リーガはプレーのリズムが遅い、それが周囲と今ひとつ合わない原因なのだ、と。
トーレスを活かすには、ボールを奪ったらロングボールを増やすべきなのではないか、という意見が出ています。

こうした意見は、なにがしかのデータに基づくわけではないので、再現性が乏しいのですが、
実際に専門家の方から見ると、どのように映るかについて、次回の更新時等でご教示いただけますでしょうか。

付随する疑問となりますが、私はプレースタイル云々ではなく、緒戦のロシア戦のように、
カウンターをきっちり狙っていけばトーレスも十二分に力を発揮できることから、こうした意見には懐疑的です。

というのは、過日レアル・マドリーのチーム設計を論じていらっしゃった時、
カウンターをきつくするために、ロナウドを入れるべきだと主張しておられたことを思い出したからです。

こうした問題は、トーレスやビジャの能力を活かすためにも、 ボールを奪った瞬間、必ずビジャかトーレスを見て、第一にカウンターを狙い、
それが難しい場合、つなぐ、ということでチームの意識を統一することによって解決可能ではないのか、と
素人目には思えてしまうのですが、いかがでしょうか。

ご教示いただけると幸いです。
2008/06/16 21:23 - ZERO

返信ありがとうございました
お忙しい中、返信ありがとうございました。
大変勉強になりました。

>>トーレス
やはり、そうなのですね。
私自身も感じていましたが、今後どうなるかに注目ですね。
ただ、今シーズンのプレミアを見ていましたが、
狭いスペースでのプレーも幾分改善したように見えました。
しかし、ポストワークが上手くないのは相変わらずでそれは代表でのプレーと同じです。

>>活躍の一因
広大なスペースというより、下位チームでも無闇にラインを上げるプレミアの悪弊が関係しているように感じました。
中田がいた頃のセリエをよく見ていましたが、
スピードもないにラインを上げたりするプレミアは少し信じられないものがあります。

また、過日の原稿でトーレスが一対一を決めていると、述べられていましたが、
EUROでもそうなるかどうかは疑問の余地があります。
というのは、プレミアのGKはビッグクラブにイングランド人がいないぐらいで
、 あまりレベルが高いとは言えない状況にあります。 セリエやリーガと比較すれば明らかですが。
その当たりを割り引いて考える必要を感じています。

>>カウンター
なるほど、カウンターを機能させるためにはかつてのメンディエタやルフェテのような選手が必要なのですね。
スペインには是非ベスト4に進出してもらいたいですが、
やはりイタリア戦は勝つにせよ負けるにせよ今後を占う試金石になりそうですね。

次回の更新を楽しみにしております。
返信ありがとうございました。
2008/06/18 19:52 - ZERO

Re:返信ありがとうございました
お役に立てればさいわいです。
またなにかありましたら、よろしくお願いします。
2008/06/20 08:21 - studio fullerene C60

【蹴球計画】より ※この内容は蹴球計画のミラーサイトとして作成しています。詳細についてはこちら

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