シュートからプレーを作る(正面を相手に向ける、両足で飛ぶ、足の下を抜く)(イブラヒモビッチ)
(映像出典:www.marca.com/edicion/marca/futbol/internacional/es/desarrollo/1176616.html ※リンク切れ)
今、中盤から前線へスルーパスが出る。
フォワードはこれを外にコントロールした後、中央を向いてディフェンスを牽制し、アウトに切り返してシュートを打つ。
ボールの動きとしては中 → 外 → 中 → 外 → 中という順番になる。
この時のフォワードの動きを拡大する。
外に動く状態から中を向く。
ここまでは普通だが、ここから独特の動きが見られる。
両足を揃えて空中に浮いている。
体の軸がほぼ真っ直ぐに伸びどちらにも傾斜のない、いわゆるニュートラルな状態にある。
この体勢からは左右どちらに動くこともできる。
対処するディフェンスは、それに対応するためにスピードを緩めざるを得ない。
そこに一瞬の間が生まれ先手を取ることができる。
ここから左へ動く。
ここから歩幅が小さくなる。一般にはスモールステップと呼ばれる動きである。
ニアにインステップで打つように踏み込む。
足を返しインサイドでファーへ打つ。
この時ディフェンスの足の下を通す。
シュートの打ち終わりにおいて、全くバランスが崩れていない。
この一点だけでも、この選手の能力の高さがわかる。
一連の流れにおいてシュートを打つ選手は、下の状態をイメージしてプレーを組み立てている。
ディフェンスの足の下を通すシュートが最終目的になっている。
キーパーはこのようなプレーに対応しづらい。
その理由はディフェンスの足が目隠しになることが一つ、ファーへのシュートコースはディフェンスが切るものとして優先度を下げることが一つである。
このプレーを成功させるためには、ディフェンスに足を出させなければならない。
それには、シュート前のスモールステップが重要な役割を果たしている。
これはシュートに足を合わせるだけでなく、ディフェンスをおびき寄せる意味がある。
また両足を空中に浮かせることで相手の動きを止め、先手を取ったことも関係している。
一瞬対応が遅れることでディフェンスに焦りが生まれる。焦ったディフェンダーは飛び込むタイミングを見つけると、思わず足を出してしまうことが多い。
ボールをコントロールし体の正面を相手に向ける前の段階で、最後のシュートのイメージを明確に持っていると見てよい。
この流れはこれまで見た様々なプレーと共通性を持っている。
最後のプレーから逆算してプレーを作るという意味ではサビオラと共通している。
相手の方向に体の正面を向け、相手の動きをコントロールするという意味ではイエーロ、サビオラと共通している。
キックの方向を変えて足の下を抜くという意味ではマティアス・フェルナンデス、ルーニーと共通している。
コントロール後、両足の状態を同じにして左右どちらにでも動く体勢を取りマーカーの動きを制するという意味では、ファン・ニステルローイと共通している。
体の軸をほぼ真っ直ぐにした体勢で、一瞬の間を作るという点でアニュコフと共通している。
また相手の足の下を抜くシュート(軸足抜き)で見た、後ろから追ってくるディフェンダーの足元を抜くパターンの具体例にもなっている。
いつもお世話になっております。
返信ありがとうございます。
>一つコツを覚えると、大げさでなく、世界が違って見えることがあります。
>サッカーの技術を向上させる楽しみの一つだと思います。
全くそのとおりですね。
私もコツ習得をを繰り返して上達してきました。
プロとなると長い時間をかけて数え切れないくらいのtipsを得ているのでしょうね。
しかし、私はよくサッカーの技術書を読むのですが、蹴球計画さんに書いてあるようなtipsを書いている書籍は今まで見たことがありません。
もしご存知なら紹介していただけると幸いです
>具体的には、下の文章で、サビオラが用いている方法です。
>http://c60.blog.shinobi.jp/Entry/392/
早速試してみます。
これを見て、ロナウジーニョがバルサ一年目のときにサビオラのポストプレーに対して左サイドから似たようなパスを通していたのを思い出しました。
サビオラはロナウジーニョから技を盗んだのでしょうかね。
ファンニステルローイの技ですが、あれはいつだか私が「後ろ向きや半身で縦パスを受けたときにもマーカーの足をとめるには」と悩みを書いたものへの
一つの答えになっていると理解しました。
ありがとうございます。
ただ、マーカーとの距離が後ろ向きでもしっかり把握できてないといけないので、今までの正対系の技の中でももっとも習得が難しそうですね。
トラップの段階で相手をずらして正対でピン止めしてシュートなんて、ファンニステルローイはどれだけCFのtipsを積み重ねてるんだろうと思いますよ。
2008/10/22 19:42 - もんぐり
こちらこそいつもお世話になっております。
まず、返信が遅れましたことをおわびいたします。
おっしゃるように、プロともなると、本当に多くのTIPSを身につけていると思います。
最近しつこく個人技編を増やしているのは、それを一つでも多く紹介することでプロに学び、
プレーをする、サッカーを見るという行為がより楽しくなるのではないかと考えるからです。
私もコツを発見すること習得することは大好きです。
もし、個人技で誤りがあったり、よりよい技があればお教えください。
サッカーの技術書は、スペインに来た当初よく探しました。
しかし、どうもこれというものはありませんでした。
例えば、ドリブルの種類を解説した写真入りの本があるのですが、
そのドリブルをどのような場面で、どのような目的で使用するのかということは書いてなく、
網羅的なものになっています。
トルコとポルトガルの試合で見たように、状況と目的があって技術がうまれます。
http://c60.blog.shinobi.jp/Entry/319/
そこにある程度の答えを出したい、また、そのことを選手にきちんと教えられるようになりたい、
というのが、技術編を書く動機のように思います。
サビオラもロナウジーニョから多くを学んだのではないかと思います。
少なくとも、エトーはフィニッシュの部分で多くを学んだ形跡があります。
ゴール左側からファーに巻くように、もしくはその逆でニアを抜くようなシュートは、
ロナウジーニョとともにプレーすることでたしかになったのではないでしょうか。
トッププロに技術を教えられる人は少なく、よりうまい人の技術を盗むことが一番よい方法です。
ロナウジーニョやジダンという選手の価値は、その辺にあります。
余談ですが、メヒアやパボンといった選手は、日々フィーゴやジダンを相手に練習をしていました。
その当時、批判をされながらもチャンピオンズリーグの舞台で十分にプレーしていました。
マドリーを出て、練習相手が変わると、そのレベルを保ち続けるのは難しいのかもしれません。
今回、シャビの両足飛びをテーマにしましたが、正面、背中向きに関わらず
両足を同じ状態にすることは、相手を止める効果が高いようです。
http://c60.blog.shinobi.jp/Entry/411/
今後ともよろしくお願いします。
2008/11/05 02:03 - studio fullerene C60
【蹴球計画】より ※この内容は蹴球計画のミラーサイトとして作成しています。詳細についてはこちら。