正しいコントロールとは 利点1、勝手に止まるメカニズム
正しいボールコントロールの要素を組み合わせると自然にボールが止まる。
これが第一の利点である。
ボールに触れる最初の段階で上から足を近づけ、ボールを足と地面との間に挟む。
このことによりボールの勢いが減じることは明らかである。
次の段階として、地面と足の間に挟まったボールは反作用として足を押し返す。
これを利用して足首を外側に向けて変形させる。
衝突において足首が変形すれば、ボールが強く跳ね返ることはない。
さらには上から近づけた足が下に落ちることで自然と逆回転がかかる。
逆回転がかかれば足から離れたボールが遠くに行くことはない。
以上のように正しいボールコントロールの要素を組み合わせることで、いわば勝手にボールが止まる。
足を引く動作はこれらの要素をほとんど持たない。
最悪というべきはボールの中央に触り足を引く動作である。
ここで主となるのはボールに接触しながらの移動過程において、力を加えながら徐々に勢いを弱めることである。
完全に操作に依存しており、自然に止まる要素を全くといっていいほど持たない。
地面との間に挟むことはできず、足首の変形は弱く逆回転をかけることは非常に難しい。
それをやや改良したのが下の行動である。
中央よりやや上側を触りながら引く。
これであればボールが地面と挟まる効果を利用することができる。
しかし足首の変形、逆回転という要素はほぼ完全に抜け落ちる。
引きながら逆回転をかけようと思えば下のように足を動かさざるをえない。
これは極めて不自然な動きであり必ずバランスの崩れをともなう。
足を引くこととバランスの崩れの関係については後に詳しく見る。
引くという動作を意識しそれを主体とする限り、サッカーにおけるボールコントロールが上手くなることはない。
おそらくこれを読まれる方のほとんどは、トラップにおいて足を引けと教わったであろうと推測される。
しかしそのような方法を取る選手は、例えば近距離からの強いグラウンダーのパスを止めることが苦手なはずである。
近距離では引くための準備動作が間に合わず、また強いボールに対しては引く動作そのものが間に合わないため、ボールがあらぬ方向に跳ねる。
そのような傾向がある方はぜひ一度正しい方法を試していただきたい。
驚くほど簡単に止まるようになるはずである。
試す場合の一つの注意点は、正面から来たボールを正面に止める状況で行わないことである。
状況そのものがサッカーにおいて不自然であり、正しい技術の成長を阻害する。
例えばマイナスに来るボールをコントロールしてシュートする場面を想定して行うとよい。
運動感覚の優れた人なら15分もあれば十分であり、そうでない人でも1週間ほどの練習で簡単に止められるようになるはずである。
その過程で不都合な点などがある場合にはぜひお教えいただきたい。
よく知られているようにコントロールにおいては、足元に止めるだけでなく次のプレーに移りやすい場所にボールを置くことが重要である。
次に正しい方法はその点でも優れていることを見る。