スウェーデン 1-2 スペイン
監督 ルイス・アラゴネス
フォーメーション 1-4-4-2
「グループリーグ突破も決まった」
「勝ち越し点が決まったのは、93分」
「その幕切れにマスコミには劇的の文字が躍る」
「確かに展開は劇的なものだったが、はたして内容はどうかというところやな」
「この試合では交代のチームに及ぼす影響が非常によく出ていたので、その点を見ていきたいと思う」
「先発はこう」
「スペインは前も試合と同じ。スウェーデンは右サイドが変わっている」
「試合開始からはスペインのペースだった」
「実によくボールを保持した」
「しかしボールは持っているものの、中央の固いところを避けて外へ外へボールが流れた」
「赤がなくて青ばっかりということやな」
「スウェーデンはマルチェナ、プジョルを空けて中央に壁を置くようにしていたことも関係している」
「上の状態では見た目は攻めていても、あまり有効ではない」
「それはシュート数にも表れていて、前半15分でシュートは1本にとどまった」
「恒例のUEFAページ(※リンク切れ)から拝借した図やな」
「左から右に時間が流れて、目盛り1つが1分を表してる」
「スペインのシュートは3分半の1本だということがわかる」
「しかし15分に2本目のシュートでスペインが先制する」
「ショートコーナからトーレスやな」
「これで勢いづくかと思いきや」
「全くの逆で、その後はまるっきりスウェーデンが優位に立った」
「ゴールを決めた後、スペインは次のシュートまで23分を要した」
「その間にスウェーデンは5本のシュートを放ち1ゴールを上げた」
「この押し返しの主役になったのは、やはりというかイブラヒモビッチだった」
「点を取った後のスペインが、前から行くのか引くのか中途半端だったこともあるけどな」
「前半、イブラヒモビッチに通ったパスのトップ3は下のようになる」
「メルベリから5本、ストールとニルションから4本ずつか」
「長め目のパスが、ディフェンスラインからイブラヒモビッチによく入っていたことがうかがえる」
「これがいかに多かったかというと、他のパスと比べるとよくわかる」
「これか」
「90分で一番多かったパスはニルションからリュングベリへの9本、次はメルベリからストールへの8本と、ストールからエルマンデルへの8本」
「イブラヒモビッチへのパスは前半45分での数値やから、それと匹敵する数字なわけやな」
「いかに彼がキーであったかがわかる」
「それにしても、これをやられるとスペインはつらい」
「スペインの弱点がもろに出るしな」
「どんな形にせよ、中盤が押し下げられることに弱い」
「セナが入っても、今の組み合わせでは中盤でなかなかボールを取れない」
「その辺りはペルー戦をご覧いただくとして」
「25分にはプジョルが負傷する」
「交代はアルビオル」
「彼の方が高さに強い意味はある」
「しかし、39分にスウェーデンはイブラヒモビッチがゴールを決めて追いつく」
「前半はスウェーデン優位のまま終わり後半に入る」
「そこで驚きの交代が出る」
「イブラヒモビッチが下がり、ローゼンベリが入る」
「何と」
「最も大切な選手がいなくなってしまった」
「将棋で言えば、いきなり飛車と銀が盤上から消えたようなもんやな」
「将棋で言わんでもええけどな」
「理由は怪我か監督との喧嘩以外に考えられない」
「膝に痛みを抱えていたそうやから、その関係やろな」
「その結果、後半のデータはこうなる」
「スウェーデンは45分とロスタイム合わせてシュートは2本のみ」
「交代で入ったローゼンベリに、後方から渡ったパスは次の通り」
「ストール、ハンション、ニルションから1本ずつのみ」
「メルベリからはゼロ」
「前半との違いは明白やな」
「3人合わせて75%オフみたいなもんやな」
「以上のことから、この試合のスペインの勝因はイブラヒモビッチがいなくなったことであると言うことができる」
「この試合、スペインは負けた方がよかったかもわからんな」
「何でや」
「その方が修整に力が入るやろ」
「それはそうかもわからんが、この試合でアラゴネスの交代がぴたりと当たったのは心強い要素ではある」
「58分の二枚代えやな」
「シャビ、イニエスタのバルサコンビを下げて、セスク、カソルラを入れた」
「セスクもバルサ関係者やけどな」
「その結果、下のようになった」
「再びのデータ図か」
「明快にシュートが増えている」
「それにしても58分で交代を3つ使い切るとは大胆やな」
「ギャンブラー・アラゴネスと呼ばれるだけのことはある」
「そしてそのアラゴネスと、ロシア戦で途中交代をめぐって悶着をおこしたトーレスはフル出場」
「めでたいことやな」
「そういえばや」
「なんや」
「ペルー戦でトーレスとビジャのコンビネーションが見られない、という話をしたやろ」
「したな」
「それを読んだ人から、ロシア戦でその点を注意して見たけど真偽の程がわからなかった。その話は本当なのか、というメールが来たわけや」
「ほほう」
「そこで次にそれを考えて見たいわけや」
「こちらをご覧下さいというところで」
「またお会いしましょう」