マンチェスター・ユナイテッド 0-0 ビジャレアル
監督 マヌエル・ペレグリーニ
フォーメーション 1-4-4-2
「ビジャレアルは敵地で引き分け」
「非常に良いスタートを切ったのではないかと」
「相手は去年のチャンピオンやしな」
「先発はこう」
「両者共に1-4-4-2であるが」
「はたしてこの両者がぶつかった時に、どのような展開になるのか」
「ビジャレアルの側から予想した後に以下を読まれると、より興味深いのではないかと思われますので」
「展開とその後の交代を少し考えていただきたいわけでありますが」
「もちろん、お急ぎの方はそのままお読みいただいても何が起こるというわけではありません」
「あたりまえやろ」
「何も起きようがないわな」
「起きたら面白いけどな」
「というわけで」
「ビジャレアルの起用に注目してみるというと」
「目に付くのは下の赤丸のポジションやな」
「サイドにピレスとカニ」
「相手がマンチェスターだという点を考えると、これは危ないように見える」
「2人ともテクニックはあるが、サイドの選手としては走力がない」
「その両者を同時に置くと、マンUの中盤に対して明らかに走り負けをする可能性が高い」
「特に右サイドが心配やな」
「ナニ、エブラを揃えるユナイテッドに対して、はたしてカニで大丈夫かどうかが問題になる」
「ナニ対カニってのも面白いな」
「結論を言えば、やはり大丈夫ではなかった」
「サイドを押し込まれてクロスを上げられるのはもとより、押し下げられた後のカウンターにも支障をきたした」
「そんなこんなで前半はボコボコにやられ」
「これはいかんということで」
「後半からカソルラが登場する」
「これでビジャレアルは息を吹き返す」
「攻撃面ではカソルラがサイドを縦に長く持ち込むことで周囲が楽になり、また相手陣では右サイドから中央に入る彼を経由することでパスが回りやすくなった」
「さらに50分を過ぎると、下のように配置が変わる」
「マティが左に下がってピレスが前へ」
「最初の図と比べるとサイドの走力、前に出るスピードというのがまるで違う」
「しかし、こうなるとあれやな」
「なんや」
「何で最初からカソルラを使わなかったのか、というのが問題になるわけやな」
「そうやな」
「いわゆるローテーションというやつかね」
「それもあるかもしらんが、もう一つは前半のビジャレアルが、常に試合のテンポを落とそうとしていたこともあるやろな」
「キーパーはゆっくりゆっくりボールを蹴ってたな」
「スローインもファールもゆっくりやったしな」
「ファールがあった地点にボールを戻すのに高く上げて途中の選手がキャッチ、それをわざと短く投げてキッカーがのんびり取りに行く」
「時間稼をぎスローテンポにするための常套手段ではある」
「ユナイテッドとハイペースの試合をしたら不利だという判断かね」
「そうなるとサイドでどんどん行くよりも、カニ、ピレスでボールをキープし、中盤でのパス回しを強化するという考えも成り立つ」
「この感じは面白いな」
「何でや」
「試合前にある人が”サイドに起点を作り、中盤でボールをキープするためにカニ、ピレスを使う”と主張したとするやろ」
「ふむ」
「それに対して”いや、それでは中盤で走り負け押し返しも効かないからカソルラ、マティの方が良い”と異を唱えたとする」
「それがどうした」
「この段階では、どちらももっともらしく聞こえる」
「サッカーは何をやっても、一長一短に近いところがあるからな」
「ところが試合でやるときちんと優劣が出る」
「まあそうかね」
「具体的に見ればカソルラが出た方がボールを前に運びやすい、押し戻しやすいというのは下のようになる」
「中心からやや左下でボールを持っている選手がカソルラ」
「ここから右にドリブルを開始する」
「2人の間を抜け前の1人を交わし、あっという間にボールを前に運ぶ」
「これをやってくれれば、周囲の選手は非常に楽になる」
「楽になることで、その後のパス回しに余裕が生まれる」
「一点でも相手を押し込めれば良い循環が生まれる例やな」
「次に前にスペースがある場合」
「中央、やや左下でボールを持っているのがカソルラ」
「この場合、浮いた球を膝で前に出して一気に走る」
「結局、後ろから追いかけて来たエブラに押し倒されるが、それはそれで良い」
「前にスペースがある時、前に走るのは当たり前のように思われるがそうでもない」
「例えば下の流れやな」
「カニが自軍エリア前でボールを持つ」
「前には大きなスペースがある」
「前にスペースがあったにもかかわらず、エブラに追いかけられて止まってしまう」
「上に挙げた2つの例からして、カソルラならこの状況でハーフラインの手前までボールを運ぶか、ファールをもらうであろうと予測されるわけやな」
「スピードを上げた状態でのプレーに自信のあるカソルラと、他の選手ではそこが大きく異なる」
「ドリブルでボールを前に運ぶとか、押し返しの起点になるといった表現は良く使われるところであるが、具体的にはこういうことを意味していることになる」
「先発の選択では裏目を引いたペレグリーニであったが、後半からの修整で上手く試合を乗り切った」
「ペレグリーニは前半おかしくても、後半になるときっちり立て直すことが非常に多い」
「前半が悪い時のビジャレアルほど、後半の開始が面白いという話もある」
「それはあるな」
「そんなこんなで」
「また次回」
「の前にや」
「なんや」
「最初の方のビジャレアルの図でカニ、ピレスに加えて、エジミウソンにも赤丸がついてたやろ」
「そうやったっけな」
「その理由がまだ出ていないような気がせんかね」
「理由といっては恐ろしいプレーが多かった以外にないやろ」
「例えばこう」
「画面の中央よりやや上側、少しガニ股気味にボールを持っているのがエジミウソン」
「ボールは右足にあり、ビジャレアルは左に攻めている」
「ここから左に切り返すのだが」
「1人で転んでしまう」
「まあ事故だと思えば事故やな」
「ところが次もこける」
「ボールがこぼれて」
「エジミウソンが回収」
「さあ前に行くぞと思ったら」
「横から来た相手に潰される」
「また寝転んでしまったわけか」
「ちなみにファールじゃない」
「それは問題やな」
「さらにはこう」
「今、右下の選手から画面右上のエジミウソンに浮いたパスが出る」
「エジミウソンがトラップ」
「大いにバランスを崩す」
「引いた画面ですが体が後ろに傾き、完全に平衡を失っているのがおわかりになるのではなかろうかと」
「以上のことからエジミウソンは体の平衡を保つ能力に問題があり、浮き球の処理も苦手ではないかと思われる」
「それはバルサ時代からそうでターンの時、重心が傾き過ぎるから軽いコンタクトで倒れよくボールを失う」
「おまけに後半になると、中盤で相手に横パスしてとんでもないカウンターを喰らっていた」
「こういうミスは、せめて半分にして欲しいところやけどな」
「2回でも多過ぎやで」
「ハイボールに対する強さとかは頼もしいねんけどな」
「そんなこんなで」
「また次回」
「ご機嫌よう」