陥りやすいシュートでの誤り4
前回はシュートの裏で陥りやすい誤りについて見た。
ここでは次のようなシュートを見る。
明らかに巻いて決める意識で蹴られている。
ボールはキーパーの指のすぐ横を通過している。
そしてポストに当たる。
キーパーの薬指の動き、シュート軌道の変化を見るにキーパーは指先でボールに触れている。
最初、シュートは良いコースに飛んでいる。
それにもかかわらずキーパーに防がれている。
次に以下のシュートを見る。
蹴る部分を拡大すると次のようである。
これは裏変換を用いて蹴られている。
右に旋回しながら踏み込み、蹴り足を内側に巻き込み、伸び上がりながら蹴る。
これは裏変換の特徴と一致する。
ボールはバーの近くで次の位置にある。
十分内側と言える。
キーパーの姿勢は次のようである。
正しく反応できていない。
これは逆を取られたためだと考えられる。
ここで見た2つのシュートは、正面から左に蹴る点で一致している。
ともにエリア外、円の一部の中から打たれている。
これに加えて守備者の配置も類似している。
最初に見たシュートの守備配置は以下のようである。
正面に守備者が一人、加えて左右から一人づつ寄せてくる状況で蹴られている。
次に見たものは以下のようである。
やはり正面に一人、加えて左右から一人づつ寄せてくる状況で蹴られている。
類似した状況から打たれているにもかかわらず、蹴り方が全く異なる。
現実として色のついた選手のように蹴る例は多い。
しかしそれは非常に決めにくい蹴り方である。
理由の1つは軌道である。
ポストギリギリを狙うとする。
巻いて蹴る方が真っ直ぐ蹴るより移動距離が長い。
これは最終点に到達するまでに時間がかかることを意味しており、ライン近くに位置するキーパーから見れば追いつきやすい。
2つ目はシュートスピードが落ちることである。
明らかにインサイドで蹴っている。
インサイドで蹴る場合、インステップで蹴るよりもスピードが出にくい。
遅いシュートが長い距離を進む。
そのようなシュートはキーパーに止められて当然といえる。
3つ目は上の例においては、相手の逆を取る能力に劣ることである。
キーパーに逆を取られた様子は見られない。
前回、以下の様なシュートは相手の予測を狂わせやすいことを見た。
このような形で旋回と膝を内側に入れる動作を組み合わせることで、フェイント効果が高まる。
上の流れはゴール右を狙っているように見える。
しかし実際は左に決まる。
シュートで巻いて蹴ろうとする選手は多い。
しかし以上の理由により、ゴールを決めるのに適した蹴り方ではないことを認識する必要がある。
そのような蹴り方は、確かにキーパーがより近い状況で有効である。
この状況であれば、例えば右へのインステップを見せてインサイドで逆を取って決める動作に意味がある。
軌道を外にふくらませることで、キーパーを避けることができる。
しかしより間が離れた状況ではキーパーを避けるメリットより、上で述べたデメリットが大きくなる。
この2つは全く異なる状況であることに注意すべきである。
例えば次のシュートがある。
これも明らかに巻いて決める意識で蹴られている。
遠くから見た図は以下のようである。
シュートは枠を外れている。
にもかかわらずキーパーはそれに触れている。
枠外のボールにもかかわらずブロックされている。
このシュートを決める1つの方法は、より内側により速く蹴ることである。
しかし、そもそもインサイドではボールスピードを上げにくい。
スピードが出ない蹴り方でスピードが必要なシュートを打つ。
技術的に矛盾しており、この状況で用いるには適当でない。
別のシュートを決める手段は相手の予測を外し、遅いスピードでも入るようにすることである。
この場合はすでに相手の逆を取ることに成功している。
シュートフォームは以下のようである。
この流れは足を横から回して、画面右に蹴るように見える。
その効果は一番近い守備者の反応に見られる。
体を回転させて身を守ろうとしている。
これは、自分の方向にボールが飛ぶように見えたためだと考えられる。
守備者の動きを見る限り、相手の予測を外すことには成功している。
この効果は程度の差こそあれ、キーパーにも同様に作用したものと考えられる。
それにもかかわらず、枠外のボールに追いつかれている。
シュートを決めるおそらく最後の方法は、より厳しいコースに打つことである。
この場合、ゴール右上角に打つしかない。
ただキーパーは枠外のボールに届くだけの余裕がある。
このためもし入るコースがあるとしても、非常に狭い場所を抜く必要があると考えられる。
この距離からそのような場所に正確に蹴ることは通常難しい。
シュートにおいて巻いて蹴る意識は、その意識そのものが間違いとなる状況が多い。
その状況とは上のような、ごく一般的なシュート状況である。
そのような場面で使えない以上、シュートの基本とはなり得ない。
長い距離をゆっくり進み、相手の逆を取りにくい、たとえ取ったとしても入りにくい。
この蹴り方をいくら練習しても正しい蹴り方には辿り着かず、むしろ悪い癖を残す。
目の前の守備者を避けるために外から回して打つ場合など特定の状況で有効なシュートであり、これを基本としてはいけない。
単純な裏変換で決まる場面で何でもかんでも巻いて蹴ろうとする選手を見ることがあるが、それは完全な誤りである。
次に無回転シュートについて見る。
【蹴球計画】より ※この内容は蹴球計画のミラーサイトとして作成しています。詳細についてはこちら。