正しいインサイドキックとは 練習法
これは「正しいインサイドキックとは まとめ2」の続きである。
正しいインサイドキックを身につけるための練習法を見る。
正しいインサイドがどのようなものかについては「正しいインサイドキックとは 正しい蹴り方」を見ていただきたい。
最初に正面より軸足側に蹴るキックを練習する。
正しいインサイドキックは以前にも見たように、正面には飛ばない。
間違ったパター型のインサイドを身につけた人は、パスを体の正面に出すイメージを持っている。このため正しいインサイドを上手く蹴れないことがある。
まずはそのイメージを捨て、基本のパスは正面より軸足側に飛ぶことを思い描くことから始める必要がある。
蹴る時はなるべく体の力を抜き軸足の先を正面に向け、立った状態からそのまま蹴る。軸足の踏み込みは必要ない。
蹴り足を振り上げ足先をやや開いた状態で固定し、そのままボールの少し外側から振り下ろしてインサイドでボールを捕らえる。
上図では体の軸を傾けているが、練習では軸をなるべく立てた状態で蹴る。
この蹴り方を用いるとボールは自然と正面より軸足側に飛ぶ。
最初は無理に大きな角度をつけようとする必要はない。
15度程度で十分である。
軸足がぐらつかぬ最低限の力だけを使い、残りの部分は出来る限り脱力して蹴る。強いボールを蹴る必要はない。
この時、足をなるべく体の上のほうから動かす。これについては後に詳しく述べる。
どうしても軸足を踏み出してからでないと蹴れない場合は軽く踏み込んで蹴り、徐々に踏み込みを小さくし最後は立った状態からそのまま蹴るとよい。
次に逆方向に蹴る例を見る。
これがどのようなものかについての詳しいことは「正しいインサイドキックとは 正しい蹴り方 裏」を見ていただきたい。
今度は上と同じ状態から、正面よりも軸足方向に蹴る。
この時、最初は蹴り足をひねる必要はない。
蹴り足と同じ側の胸を引き、体にアーチを作るようにすればよい。
そうすればボールは自然と蹴り足側に飛ぶ。
胸を引きアーチを作るとは、具体的に以下のようになる。
右胸に注目して見て頂きたい。
アーチとは下の状態を呼ぶ。
ここでは軸を傾けて蹴っているが、練習では胸を引いた時に自然に傾く程度で蹴る。
胸を引くタイミング、アーチを作るタイミングなどは上の写真を参考にされたい。
繰り返しになるが蹴り足方向に蹴る場合、最初は足をひねることを考えず、他の部分を脱力したまま胸を綺麗に引ことを意識する。
そうすれば自然に足が返りボールは望んだ方向に飛ぶ。
ここでも自然に一番楽な状態で蹴ればよく強く蹴る必要はない。
ボールが蹴り側に飛ぶようになったら、同じ場所にボールを置いたまま最初の練習、つまり軸足方向へ蹴る練習に戻る。
同じ持ち方から、左右どちらにも蹴れるようにならなければならない。
最初は片方が上手く蹴れる場所では、他方が上手く蹴れないことが多い。
ボールに対する立ち位置を変えながら最適な場所を探すとよい。
持ち位置が定まったら、次に足を捻るキックを練習する。
具体的には下のような蹴り方である。
軸を立てたまま足を返しながら蹴る。
これも力を抜き、上の選手のようにややだらりとしたまま蹴るのが望ましい。
このキックは方向変化が小さく大体正面方向に飛ぶ。
以上のことができるようになれば、同じ踏み出しのインサイドで下の3種類のパスコースを手に入れることができる。
これは相手との駆け引き、組み立て、スルーパスなどで大きな意味を持つ。
以上のことをある程度できるようになるのに、そのような蹴り方をしたことがある人で15分ほど、何となく形になるのに30分ほどである。
初めての人でも1時間も練習すれば、ボールを持つ位置と大体の蹴り方はわかるはずである。
この時、パター型を習い正面にパスを出すことを基本アイディアとしていた人は、ボールの持ち方を前と比較していただきたい。
下のように変化しているはずである。
パター型
正しいインサイド
その差
これは下の理由による。
今、パター型で下のような位置に置いて蹴るとする。
ここから足をひねって蹴ろうとすると下のようになる。
多くの人にとって、軸足と蹴り足が近過ぎて非常に蹴りにくい。
これは実際にやってみればすぐわかる。
またやってみずとも下のパター型を正確に蹴っている選手の映像を見れば、内側から足を返した場合に非常に厳しい姿勢になることがわかる
これを解決するにはボールを軸足から遠ざける必要がある。
そうすれば内側から蹴ることは容易になる。
確かに容易になるのだが、ボールが前にあり過ぎると捻りが上手く伝わらない。
また逆方向へ蹴る足を入れにくい。
これを解決するには、ボールを下げることになる。
結果的に右利きであれば、より右後方にボールを置くようになる。
これは一つ正しいインサイドキックが優れている点である。
上手い選手の表現に「懐の深い持ち方をする」というものがある。
懐が深いというのは守備者から見てボールが遠いということである。
上で見るように正しいインサイドでは、実際にボールが守備者から遠ざかっている。
ボールを取られる取られないは、最終的に1cm、1mmといった差で決まる。
数cmでもボールが相手から遠ざかるなら、その意味は極めて大きい。
もし10cm変わるのなら天と地ほどの差といってよい。
ボールを置く位置が変わるのは、基本のアイディアを正面へのパスから斜め前へのパスに変え、蹴るメカニズムも違うのであるから当然である。
ボールの持ち方が違いは、サッカーの上手下手に決定的な影響を及ぼす。
持った時の姿勢、ボールを置く場所というのはサッカーにおいて根本的な重要性を持っている。
一つの持ち方でより多くの可能性を秘めているほど良い。
これまで何度も見てきたように正しい蹴り方とパター型では、そこからの変化の可能性は比較にならない。
貧しいパター型を教える弊害はここにもある。
パター型を基本とした場合、選手は体の正面へ蹴ることを中心にイメージを作ることになる。
これはサッカーにとって非常に不都合である。
体の正面とパスの方向がずれることを基本とする方が、はるかに豊かなプレーができる。
次にそれを述べるべきであるが、実際にキックの練習する際には体のより上側、より内側から足を動かして蹴るということが極めて重要になる。
このためその点を先に見た後、パスが正面からずれることを基本とするべきであることを述べる。
「体のより上側、より内側から足を動かしてボールを蹴る」
*追記
- 練習法でわかりにくい点、練習した結果上手くいかなかった点などありましたらぜひお教え下さい。
- 正しい蹴り方の利点は逆足で練習するとよくわかります。これまで苦手だった人も、より自然に正確に蹴ることができるので試してみて下さい。
はじめまして、いつも興味深く拝見しています。
●練習した結果
「蹴り足を振り上げ、足先をやや開いた状態で固定し~(略)~ボールを捕らえる。」
上記の文章などを参考に、大まかな蹴り方はつかめましたが、
蹴りだした後のボールに斜め回転がかかり軸足方向へ逸れる(スライス?)軌道となりました。(まっすぐ進まない)
これはボールをとらえる部位またはスイングの軌道に問題があるように感じるのですが、
正しい蹴り方で蹴りだされたインサイドはどのような軌道を描くものなのでしょうか?
2008/11/27 03:08 - tak
軌道は、真っ直ぐです。
実験してみたところ、ボールを軸足から離す、足首を強く固定する、膝を強く伸ばす、という条件をそろえると回転がかかりやすくなりました。
この逆を意識すれば、真っ直ぐに飛ぶはずです。
ボールを軸足に近づける、足首を軽く固定する、膝を自然に伸ばす、という点に気をつければよいと思います。
最初は、逆に蹴ることを考えずに、真っ直ぐなボールが軸足側に飛んでいくことだけをイメージして、楽に蹴ってみて下さい。
また、逆足の方が楽に蹴ることができる場合もあるので、そちらで感覚をつかむのも良いかもしれません。
またなにか問題がありましたらお寄せ下さい。
2008/11/28 06:28 - studio fullerene C60
自分なりに噛み砕いてみました。
はじめまして。とても楽しく興味深く読ませていただきました。
読んで試してみてふと思ったこと(私なりに噛み砕いて考えたこと)を書かせていただきます。
間違っていたらご指摘下さい。
1.足首~膝(足の付け根から上半身も)
正しい蹴り方(シャビ型と言わして下さいw)だとシュートもパスも足首~膝の開き方一つで違うだけですよね。
例えばインステップキックの足(足首~膝)の軌道でインパクト時に足首~膝の角度を変えてつつ強弱を変えればシャビ型のパスになる。
(多少状態の被せ方等は異なるが・・・)
しかし、パター型からはインステップに行けないと判明。初期のスタート時から膝・足首が違うとおっしゃっていましたが、
そもそも足の付け根部分(身体も)までも開いてパター型になっていると判明。
パター型からシュート(インステップ)に行けないことはないけど、異なるのは「重心」。
2.重心
パター型だとこれまでの文中でも書いているように重心が後ろに行きますね。でもシャビ型だと重心はボールの上(?)。
つまりインステップでのシュートと同じ重心でパスが出せる。
シュートはパスの延長線と考えるならばシャビ型の方が理にかなってますし正しいですよね。
すごい目からウロコのような文章でした。
今度、実戦で試そうと思います。
2010/06/12 12:31 - コージ
1 基本的にシュートもパスも蹴り分けに違いはないと考えています
2 ディフェンスに多いのですが、よく蹴るたびに後ろにそっくり返る人がいます。
そうなっては狭いスペースでプレーする際に支障が出ます。
おっしゃるように、重心は上方に保つ方が有利です。
技術を実際に使っていただけるのはありがたい限りです。
なにかお気づきになられましたら、またお寄せ下さい。
2010/09/08 19:33 - studio fullerene C60
無題
はじめまして。参考になるのでいつも見てます。
正しいインサイドキックについて色々質問したいことがあります。
1,蹴るときに軸足の膝は曲げますか?
2,膝の屈伸とムチ効果はどちらを優先的に意識したほうがいいですか?
3,蹴るときに左手(右利きなので)も一緒に振り上げたほうがいいですか?
4,アウトサイドキックも練習したほうがいいですか?
5,左足も練習したほうがいいですか?
以上の質問にお答えいただければ幸いです。
2011/12/30 12:06 - パサー
無題
コメントします。
上の記事の正しいインサイドキックの裏で、「胸を引き、アーチを作る」と書いています。
その下にシャビが実際に胸を引き、アーチを作って裏のインサイドキックを蹴っている写真があります。(すごく分かりやすいです。)
ただ、シャビは蹴った後、不自然な体勢になっています。
パター型のように、体全体が後ろに傾いているわけではありませんが、パスアンドゴーが出来る体勢ではないように見えます。
蹴球計画さん的にはどう思われますか?
2011/12/30 12:18 - try90
無題
こんにちは。
正しいインサイドキックを練習しようと思っているのですが、
表の蹴り方はボールを蹴るとき、足をどうゆう具合にしてボールを蹴ればいいのでしょうか?
1,ボールを押し出すように蹴る。
2,ボールを擦るように蹴る。
3,ボールをなでるように蹴る。
その他
また、正しいインサイドキックの裏は1から3のどれなのでしょうか?
2011/12/30 17:07 - カットイン
無題
一つお尋ねしたいことがあるのですが、正しいインサイドキックの練習の順番として、
1,利き足の正しいインサイドキックの表
2,利き足の正しいインサイドキックの裏
と、上の記事に書いてあるのですが、僕的には、
1,利き足の正しいインサイドキックの表
2,利き足と逆の正しいインサイドキックの表
3,利き足の正しいインサイドキックの裏
の順番のほうがいいと思います。
理由は、正しいインサイドキックの裏というのは比較的蹴りにくいと思います。
確かに蹴り分けという面では裏のインサイドキックは優れていますが、そもそも正しいインサイドキックじたいが駆け引きになっているし、
蹴りやすい蹴り方で蹴ったほうが精度も当然上がります。
これらのことについて、間違っている所などありましたら、ご返信よろしくお願いいたします。
2012/01/09 12:33 - ロンド
無題
はじめまして。参考になるのでいつも見てます。
正しいインサイドキックについて色々質問したいことがあります。
1,蹴るときに軸足の膝は曲げますか?
2,膝の屈伸とムチ効果はどちらを優先的に意識したほうがいいですか?
3,蹴るときに左手(右利きなので)も一緒に振り上げたほうがいいですか?
4,アウトサイドキックも練習したほうがいいですか?
5,左足も練習したほうがいいですか?
以上の質問にお答えいただければ幸いです。
2012/01/28 22:02 - パサー
無題
一つお尋ねしたいことがあるのですが、正しいインサイドキックの練習の順番として、
1,利き足の正しいインサイドキックの表
2,利き足の正しいインサイドキックの裏
と、上の記事に書いてあるのですが、僕的には、
1,利き足の正しいインサイドキックの表
2,利き足と逆の正しいインサイドキックの表
3,利き足の正しいインサイドキックの裏
の順番のほうがいいと思います。
理由は、正しいインサイドキックの裏というのは比較的蹴りにくいと思います。
確かに蹴り分けという面では裏のインサイドキックは優れていますが、そもそも正しいインサイドキックじたいが駆け引きになっているし、
蹴りやすい蹴り方で蹴ったほうが精度も当然上がります。
これらのことについて、間違っている所などありましたら、ご返信よろしくお願いいたします。
2012/02/07 19:02 - ロンド
無題
正しいインサイドパスはまっすぐ蹴れないということですが、
試合前のアップなどでするいわゆる向かい合ってのインサイドパスはどういうことなのでしょうか?
体を少し斜めにしているのですか?
2014/12/06 10:21 - ドリブらー
【蹴球計画】より ※この内容は蹴球計画のミラーサイトとして作成しています。詳細についてはこちら。