サイドのエースに対する対応と変化


2008年4月29日 チャンピオンズリーグ準決勝
マンチェスター・ユナイテッド 1-0 バルセロナ

該当試合はホーム・アンド・アウェー方式の第二試合である。

第一試合はバルセロナのホームで行われ、0-0で終了した。
第二試合におけるバルセロナの先発は次のように予想されていた。



これに対し、スペインマスコミのほとんどが相手のシステムを1-4-3-3系と予想した。

El Mundo



エル・ムンド



Marca



マルカ

しかしバルサの予想先発に対して、マンチェスター・ユナイテッドが1-4-3-3系のシステムを取ることは考えにくい。

バルセロナの予想先発は次のようである。

これに対し新聞社は対戦相手のシステムを1-4-3-3系であると予想した。


エル・ムンド



マルカ



Q1.
新聞社の予想が高確率で間違っている理由を述べよ。
この試合はホーム・アンド・アウェーの第二戦であり、
第一戦はバルセロナホームで行われ0-0で終了した。
同点の場合、アウェーゴールを2倍して勝敗を決める。


A1.
1-4-3-3系のシステムでは、メシへのマークが甘くなるためである。

バルサが1点を取れば、アウェーゴールの関係でマンチェスター・ユナイテッドは2点を取らなければならない。
最も突破力のあるメシをフリーにすることは失点の可能性を高める。

これを避けるためには以下のような形で、メシ周辺のスペースを狭くする必要がある。

この図と比較して1-4-3-3系のシステムは明らかにサイドに大きなスペースを残す。


エル・ムンド



マルカ

エル・ムンドの図よりもマルカの方がメシのマークという点では良い。
しかしながら1-4-3-3は中盤左の選手がドリブルでかわされるともろい。

バルセロナ対サラゴサ戦(※リンク切れ)にその例が見られる。

マルカの図においてサイドのフォワードを下げた1-4-1-4-1は有力である。

メシを止めるのに良い。
しかし守備に偏重した布陣であり、前線でクリスティアーノ・ロナウドが孤立する。
両チームの戦力やホームで戦うことを考えれば、あまりにも消極的である。

マンチェスター・ユナイテッドに先制点を決めれられ、バルセロナは得点が必要になった。
しかしメシへのチェックが厳しく、突破口を見出せないでいた。



Q2.
後半における、バルセロナの交代と配置の変更を予想せよ。
ただし、メシは交代させないものとする。



バルセロナ先発



バルセロナ控え

*図において選手は起用されやすいポジションの周辺に配置されている


A2.
右サイドでの守備が厳しいならば位置を動かすことが考えられる。

このような場合、左右の選手を入れ替えることがよく行われる。
しかし左サイドのメシは右よりも明らかにプレーが落ちる。
このためポジション変更では中央に配されることが多い。

シーズン中、最も多く行われたのは下のような変更である。

この試合ではアンリを左サイドに入れ、メシをトップ下のような場所に配した。

中盤をひし形に組んだ1-4-4-2の変形に近い。


Q3.
バルセロナがメシを中央に配した。
これに対するマンチェスター・ユナイテッドの変更を予想せよ。
ただし選手交代は行わないものとする。




マンチェスター・ユナイテッド先発


A3.
マンチェスター・ユナイテッドはパク・チソンを中央に移動させた。

これは中央で数的不利を招かないためである。

また、これにともないクリスティアーノ・ロナウドを左に移動させた。
ザンブロッタをマークさせるためである。

パクの移動により、左サイドにスペースが残る。
しかしザンブロッタにはクリスティアーノ・ロナウドが対応するため、それほほどの心配はない。
もしザンブロッタがフリーになったとしても、ドリブル、クロスともに得意ではないため問題はない。

仮にメシがサイドに戻ったとしても、再びパクを戻せばよい。

バルサの変更に対し、上記のマンチェスター・ユナイテッドの対応は非常にスムーズに行われた。
試合前、後半開始前にそのような指示が出ていたとすれば非常に的確であったと言わざるをえない。


【蹴球計画】より ※この内容は蹴球計画のミラーサイトとして作成しています。詳細についてはこちら

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