2008/04/19 リーガ・エスパニョーラ 33節
バルセロナ 0-0 エスパニョール
監督 フランク・ライカールト
フォーメーション 1-4-1-2-3
「いわゆるバルセロナダービーだったわけだが」
「バルサは今節も勝てなかった」
「先発はこうやな」
「バルサはイニエスタやメシを温存か」
「水曜日にマンチェスター・ユナイテッド戦があるからな」
「おまけに前回に見たトゥレを前に上げるバリエーションはまたもお預けやな」
「残念ながらそうやな」
「もしかしたら、マンチェスター戦に温存しているのかもわからんぞ」
「それやったら嬉しいけどな」
「エスパニョールはリエーラが出ていない」
「ベンチスタートで後半には出てきた」
「スペイン代表に選ばれた頃の彼は実に自信に満ち溢れていて、一つ一つのプレーが確信に満ちていた」
「最近は今ひとつ攻めていけないというか、無難なプレーに流れがちやな」
「何があったんやろな」
「タムードも怪我以降いまひとつで、3人の内2人が思わしくない」
「監督も頭の痛いところや」
「それはさて置き、この試合では一つ面白いプレーがあった」
「なんや」
「下のプレーやねんけどな」
「イニエスタがディフェンスに向かってドリブルをして、中央を押し込んだ場面やな」
「その通り」
「これがどうした」
「この相手に向かってドリブルをするという行動は、上手い選手と下手な選手の分かれ目であるわけや」
「前にもそんな話があったな」
「相手に向かう効能というのは進行方向の両脇にスペースを残すことで、このスペースを自分の都合の良い場所に作れば次のプレーが楽になる」
「それが上の最後の写真やな」
「実際のプレーは次の写真の一番上のように進む」
「中にはたいてワンツーか」
「これはよくある形なわけや」
「この場合の常道と言ってもいいくらいやな」
「ところが実は2番目の写真のパターンも非常に有効なんやな」
「スルーパスか」
「このプレーを行うにはパスを受ける選手の動きが重要で、写真のように最初から浮いておくよりも、わざとディフェンスにマークをされやすい位置から少し下がる振りをして縦に抜けた方がいい」
「要するに下がることでマークを釣り出し、その裏を取るわけやな」
「模式的に書くと下の形やな」
「ふむ」
「実は相手がゾーンディフェンスの場合、このような形で中盤の守備者を中央に向かって押し込んでいくと、縦にスルーパスが出る状況になりやすい」
「この手のスルーパスはジダンやデ・ラ・ペーニャの得意技やな」
「それが次の図やな」
「ジダンか」
「ジダンで、試合はチャンピオンズリーグに勝った年のホームでのバイエルン戦や」
「ちょっと古いな」
「まず一番上の写真ではサイドラインに近い位置でボールをもらう」
「次に中央を向いて一番近いディフェンダーに向かってドリブルを開始するわけやな」
「これは実はあまり普通の行動ではない」
「周囲に十分スペースがあるのに、わざわざ相手との距離を縮める必要はないな」
「実はその狙いというのは次の図でわかる」
「デフェンスの間を通すパス狙いか」
「この場合、一番上に示された3つの間を一発のパスで通すことを狙っている」
「いわゆる門狙いというやつやな」
「これが”中盤の守備者を中央に向かって押し込んでいくと、縦にスルーパスが出る状況になりやすい”という文章の具体例なわけや」
「最初からゾーンの間を狙わず、そこを狭める選手に向かってドリブルすることで、動けないようにしておもむろに間を通すわけやな」
「おまけに後ろの選手はカバーリングのために中央に動くから、縦にパスが通りやすい状況が生まれる」
「パスを出す方はそれで良いとして、受ける方もその意図をわかっていないとあかんな」
「それが2枚目の写真で一度戻る動きをしたフォワードが、縦に出ることでこれを受けようとしている」
「ラウールやな」
「この場合、ラウールはジダンが中央へドリブルをした時点で、このパスを予想していたと思っていい」
「ほんまかいな」
「そうじゃないとこうもいい場所に、こうもいい動きで入り込むのは難しいで」
「以心伝心か」
「出すも出したり、受けるも受けたり。両者ともに匠の技というわけやな」
「でもこれは手筋として使えるな」
「ボールを持った選手が中央の守備者に向かってドリブルをして、中へのパスフェイクから縦にスルーパス。この時、フォワードは一度下がってから縦に抜ける」
「これさえ知っておけば、タイミングを合わせるのはわりと簡単やな」
「皆様も一度試してみられてはいかがかと」
「ただし最初の部分、つまり相手に向かってドリブルを仕掛けるということができないと絵に描いた餅になるで」
「そこは普段のミニゲームやら何やらで、ボールを持ったら必ず一番近いディフェンダーに体を向けて相手を止める。といった行動を繰り返して度胸と技術を身につけて行くしかない」
「その辺りも試していただければというところで」
「また次回」