2009/04/14 UEFAチャンピオンズリーグ 準々決勝2nd Legion

バイエルン・ミュンヘン 1-1 バルセロナ

監督 ユルゲン・クリンスマン
フォーメーション 1-4-4-2


「バルサは無事に勝ち抜け」

「トータル5-1やしな」

「第2戦の先発はこう」

「バイエルンは、4-0で負けた緒戦からずいぶんと変えたわけやけれども」

「中でも特徴的だったのはリベリの動きかね」

「フォワードとも中盤とも、サイドとも中央とも言えない位置で浮いていた」

「基本的に上がるアウベスを追わない」

「ゼ・ロベルトが出て対応するが、中に絞っていた場合などは遅れることも多い」

「危ないといえば危ないけど、そこを受けてはいられない」

「4点差やしな」

「バルサとしては、その4点を守ればよかった」

「楽な状況ではあった」

「その中できらりと光るプレーを見せた選手がいた」

「その名もアビダル」

「アビダルはバルサに来て以来、あまりにも組み立てが下手でチームの流れを切ることが多かった」

「例えば、敵陣でディフェンダーとの距離がある状態でボールを持ったとしても」

「前に出てこられると簡単に後ろを向いてバックパス」

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「受けた選手がプレッシャーを受ける」

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「といった形でチームに害をなすことが多かった」

「自分がプレーしなければならないのに、責任を人に押し付けようなパスを出していた」

「それが去年の夏にグァルディオラが就任し、今年の2月くらいには明らかな改善が見られるようになった」

「まず簡単に後ろを向かなくなり、体を相手に向け左右へのパスを出す姿勢を見せるようになった」

「この試合では前に踏み込んでのパスフェイクで、前に出る相手を止めるシーンがあった」

「例えば次の形やな」

「自陣でボールを受ける」

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「バルサは左に攻めている」

「詰めてくる相手に対して」

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「大きく前に踏み出して、パスフェイクを見せる」

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「それをキャンセルし」

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「相手の横を抜き」

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「無事にパスが通る」

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「実に素晴らしい」

「以前のアビダルのプレーとは天と地ほどの差やな」

シャビで見た相手方向に踏み込む大切さ、プレーベクトルを前に向ける大切さというのがここでも見られる」

「ちなみに上のプレーがまぐれではないということが、下の流れでわかる」

「いや、まぐれでこのプレーはできんぞ」

「それはあるけれどもや」

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「上の状態で相手に詰められる」

「ここで体の正面を一度相手に向ける」

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「これも非常に大切やな」

「その後、右足を前に踏み込み左足でのパスを見せる」

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「モーションをキャンセル」

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「この過程でディフェンスの両足が、一旦横に揃っている点が注目やな」

「そこからもう一度キックモーションを起こしてパス」

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「無事、味方に渡る」

「これまた素晴らしい」

「寄せてくる相手に向かって前に踏み込み、出足を止め、距離を保ってからパス」

「ほとんど別人のようなプレー振り」

「ちょっと、キックフェイクの後のバランスがあやしいけどな」

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「傾き過ぎておっとっと、みたいな感じやな」

「これだと例えばパスフェイクからアウトで切り返したり、モーションをキャンセルした後、もう一度ボールを踏んで向きを変えるといったことはできない」

「そうは言っても、2年前と比べたら長足の進歩やで」

「人というのは上手くなるもんやな」

「プレーに対する正しい技術、そのもととなる正しいアイディアを持つことがいかに大切かを物語っているのではなかろうかと」

「アイディアというのは重要やな」

「ある意味、正対と踏み込みというアイディアにおいて、アビダルはシャビに追いついたともいえる」

「ただその後、実際の行動においてどれほど上手くできるかというのは別問題で、才能やら肉体的条件やらが関わってくる」

「ある状況で有効な技術、行動というのはほぼ決まっているけれども、細かいところは自分に合わせて改造する必要がある」

「それで言えば、ファン・ボメルなんかがそうかもしれん」

「どういうことや」

「彼は実はゴールにつなげるために相手を崩すアイディアという点で、非常に優れている」

「確かに」

「例えばこの試合でインステップフェイクから足を返し、インサイドでスルーパスを出す場面があった」

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「赤がシュートフェイクの方向」

「白がパスの方向」

「結局、誰も反応してなくて後ろに抜けただけやったけどな」

「それはそれとして、この時のパスモーションは下のようになる」

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「ふむ」

「ボールが軸足のずいぶん前にあり、体を後ろにそらしながら蹴っている」

「なるほど」

「これは蹴り方としてはあまり良くない」

「確かに良くない」

「上はインステップからインサイドへの変更で、いわゆるステップサイドの裏と呼ばれるものだったわけだが」

「同じ選手が、インサイドの表から裏へ変更する場合に次のように蹴る」

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「やはりボールを前目において、後ろに傾きながら蹴っている」

「同じアイディアをもとにしながらシャビのフォームとは著しく異なる」

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「これはファン・ボメルが自分の体に合わせて、技術を変形させた結果ではなかろうかと思うわけや」

「そうなんかね」

「おそらく骨格、筋肉や関節の柔軟性といった点で、シャビのように蹴るのは難しいため、上のような蹴り方にいきついたのではなかろうかと推察されるわけなんやけどな」

「それはバルセロナのメディコにでも聞かんと真偽がわからん話やな」

「まあ確かに」

「この試合、ファン・ボメルといえばインステップから、インサイドで上とは逆の変更から見事なスルーパスを通した」

「42分54秒くらいの出来事やな」

「そちらの詳細はこちらにありますので、よろしければご覧下さい」

「また上で出てきたアビダルの詳細についてはこちらこちらですので」

「よろしければご覧下さい」

「ビジャレアルが敗れ、スペイン勢はバルセロナを残すのみ」

「ビジャレアルは最近5位に落ちたとはいえリーグで4位を保ちつつ、本当に良くここまで辿り着いた」

「最後は満身創痍でロンドンにたどり着き、文字通り力尽きた」

「以前にも見た通り、現在の選手構成でここまで来れたこと自体が英雄的功績ではなかろうかというところで」

「また次回」

「ご機嫌よう」

無題
いつも更新お疲れ様です。
この試合のボメリンは良かった様に私も思います
事項で指摘されているパスは素敵でした。
あれって以前c60さんがおっしゃられていたランパードパスというやつでしょうか。

バルサの選手は点差のせいかシャビを筆頭に足元へのパスばかりで面白くなかったですが・・
2009/04/16 23:58 - ゴジラ

Re:無題
はい。
体の正面に対して90度方向を狙うパスです。
モウリーニョの時代のチェルシーが多用するため、以前チェルシーパスという名前を用いました。
基本的に、グティパスも同じ理屈で相手の裏を取ります。
ファン・ボメルは、一般的にボメりんというのでしょうか?実は、知り合いにも彼をそう呼ぶ人がいます。
返信が遅れ、申し訳ありません。
2009/05/06 22:17 - studio fullerene C60

【蹴球計画】より ※この内容は蹴球計画のミラーサイトとして作成しています。詳細についてはこちら

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