2009/02/28 リーガ・エスパニョーラ 25節
エスパニョール 0-2 レアル・マドリー
監督 フアンデ・ラモス
フォーメーション 1-4-1-4-1
「さて」
「マドリーはエスパニョールに勝ち」
「バルサはアトレチコに劇的に破れ」
「その差は4ポイント」
「リーガも盛り上がって実に素晴らしい」
「そうなんかね」
「そりゃいつまでも大差がついてるよりは、望ましい状態であるのと違うかね」
「かもわからん」
「そこで本日はエスパニョールに注目しながら、システムと天才の関係などを見て行こうかと」
「脈絡がわからんがよかろう」
「先発はこう」
「マドリーは1-4-1-4-1か」
「そうやな」
「エスパニョールは1-4-2-3-1」
「それを取り出すとこうなる」
「よろしい配置やな」
「左右にネネーとルイス・アルシアがいて、ボランチのモイセス・ウルタドも優秀だしハルケは組み立て抜群、パレッハは守備の厳しさに加えてボールを持ってもばたつかない」
「それに加えてトップ下にはデ・ラ・ペーニャ」
「弱いはずがない構成ではある」
「それなのに下から2番目19位」
「ティンティン・マルケスの時代に無理をしたつけかね」
「それはわからんが今のチームでも、どうしても組み合わせが良くない部分がある」
「下の部分か」
「デ・ラ・ペーニャは前を向いたら一瞬でラインの裏を取るパスを出すことができる」
「受ける人がいれば、それで点が入る」
「ところがイバン・アロンソは裏に抜けるのが得意ではない」
「これではトップ下にペーニャを置く意味が半減する」
「半減どころではないと思うけどな」
「イバン・アロンソはディフェンスを背負ってのプレーが良い」
「しかしそれでは噛み合わせが悪く、両者にとってよろしくない」
「やはり下のように組みたい」
「前にタムードか」
「ラインの裏に出るセンスにおいて得がたい選手やしな」
「デ・ラ・ペーニャとの相性も抜群」
「ロナウドを最初の恋人とするなら第二の恋人」
「普段も非常に仲がいい」
「とまあそんな話は置いておいてや」
「実際にこの試合では62分に交代が行われ、この形になった」
「その相性のよさというのは65分22秒に、ペーニャのパスからタムードが裏に抜けるシーンにも見られますのでよろしければご覧下さい」
「オフサイドやったけどな」
「あのプレーが生じることに意味があるねん」
「この交代は、デ・ラ・ペーニャの攻撃才能を利用するために行われたと言えるわけだが」
「その才能をさらに発揮させる方法がある」
「禁じ手やな」
「ペーニャ・ボランチ説」
「前に送るパスコースの多さという点で、前とは比較にならない」
「この試合ではリードを奪われた73分にラモンに代えてコロを入れ、実際に下の形になった」
「やはりこの位置からの展開力は見事だった」
「良くなった理由はラスから離れたことも大きい」
「デ・ラ・ペーニャはラスを前に置いた際、距離を保つのに非常に苦労していた」
「彼が一対一で苦しむというのはほとんどない」
「逆に言えばラスの能力の高さが垣間見られる事実ではある」
「買ってよかったラサナ・ディアラ」
「何の標語かね」
「この試合の後半に見られた2つの形はデ・ラ・ペーニャの才能を活かす、という意味において良い解になっていると考えられる」
「より輝くのは下の形やな」
「しかしこれをやると守りはがたがたになる」
「デ・ラ・ペーニャは、120%ほどの確率で守備向きではないからな」
「守備向きではないというか、守備をしない方がいいと言うか」
「守備者に一番大切なのは忍耐という要素で、それを全く持たない彼をディフェンスラインの前に置くと何が起こるかわからない」
「バルベルデやロティーナが下の形を試しても、どうにも上手くいかなかったことを見ると普段は上で戦い、どうしても点が欲しい場合のオプションで下を使うというのが安定解だと思われる」
「他に攻撃に抜群の才能を持つが、守備に大穴がある選手を有効に活用する方法としては下の形が有名やな」
「リケルメやロナウジーニョをいかした形か」
「エスパニョールでも、ルイス・フェルナンデスがこれを用いてデ・ラ・ペーニャを使い、非常にいい結果を出したことがある」
「何かあれやな」
「何がなんや」
「この図を見ると今のチームでこそ、これをやると上手く行きそうな気がするな」
「それぞれのポジションに求められる能力を備えた選手が揃っている」
「これはぜひ一度試してもらいたいところやな」
「それは無理かもしらんが、リケルメやペーニャのような天才をいかす場合は、上の3つのシステムを憶えておけば便利なので」
「ぜひテスト対策に使っていただければと」
「ちなみに普通のシステム論からすると下のようにも組みたくなるが、あまり上手くいかない」
「これをやる時は相手のサイドからの攻撃が弱ければ弱いほど良い」
「スペースの多いサイドを崩されなければ、中央の厚みが効いてくる」
「理論的には、そのはずやな」
「しかし大体の場合、サイドを押し込まれて下の形になる」
「後ろが下がるスピードに前の三人がついていけず、中盤がぱっかりと空く」
「こうなると結局カウンター中心の戦いをすることになる」
「シュスターのマドリーは、わざとこれを狙って勝っていた」
「それを狙う時は最初に相手に攻めさせるわけだから、守備によほどの自信がないとできない」
「マドリーはその点、非常に強かった」
「最近はラスを買ったおかげで益々強くなった」
「この6人は凄いな」
「守備において、それぞれの分野で世界一かそれに近い選手しかいない」
「昔、バルサのロナウジーニョ、メシ、エトー、アンリを指してクアトロ・ファンタスティコスと呼んでいたが、これこそセイス・マグニフィコスやな」
「ファンタスティック・フォーに荒野の6人か」
「7人じゃないのが残念ではある」
「残念といえば、ペペにハルケのような組み立て能力があればと思うことはままある」
「それをやると、ただの反則キャラになってしまうで」
「そうやけど完璧に果てしなく近い選手、というのを一度見てみたいやんか」
「それやったらハルケではなく、マルケスをくっつけたらええやろ」
「それやとちょっとやり過ぎかなと思ってな」
「不思議な遠慮やな」
「相手との駆け引き、同じモーションからボールの軌道を変える技の多彩さという点で、やはりマルケスに一日の長がある」
「ハルケとゼ・カストロにはぜひ頑張っていただきたいと思う今日この頃やな」
「そう言えばや」
「なんや」
「マルケスで言えば、ちょっと面白い写真を見つけたんやけどな」
参照:https://www.marca.com/2009/02/05/futbol/copa_rey/1233872806.html
「マルカのコパの記事か」
「これ上半身と下半身が見事に捻れてるやろ」
「そうやな」
「このことはデ・ラ・ペーニャの話に通じると思うんや」
「この写真か」
「これはパスで相手を騙す時のインパクトで、上半身と下半身があっちむいてほいをしている」
「上下を分離させることができれば相手を騙しやすい」
「マルケスもパスによる組み立てが上手いことを考えると、2つ上の写真はその能力の秘密の一端を語っておるのではないかと思うわけや」
「組み立ての上手下手において相手を騙すのは本質的に重要やしな」
「そういう話や」
「マルケスついででいえばバルサは上手くいっていない」
「アトレチコにも負けて4試合ほど勝ちがない」
「そのアトレチコ戦で一番気になるのは、サイドを下げた点にある」
「スリートップというより1-4-1-4-1か」
「バルサはこれをやると絶対に駄目で、苦しくても前のように前からプレスをかけた方が良い」
「それで上手くいかんから下げたんやろ」
「それはそうやけどや」
「この前のリヨンなんか完全にバルサの右狙いで、中央で3本ほど短いパスをつないだら、ほとんど見ないでそちらのサイドに長く出していた」
「そこに必ず流れたベンゼマか上がったグロッソがいる」
「やっぱり穴を埋めたくなるのは仕方がない」
「でも今さら下げても自信なさげな姿をさらすだけやから、今までやってきたことを貫いた方がいいとは思わんかね」
「理想論やな」
「そんなこんながどうなるか」
「コパ、リーガ、チャンピオンズと続く勝負の期間」
「今後を注目しながら」
「また次回」
「ごきげんよう」
おまけ:怒るデ・ラ・ペーニャ
下の配置でデ・ラ・ペーニャがフリーである時、サイドから1人交わして中に切れ込んだネネーがクロスを上げた。これにデ・ラ・ペーニャは激怒した。