2009/02/01 リーガ・エスパニョーラ 21節

ラシン・デ・サンタンデール 1-2 バルセロナ

監督 フアン・ラモン・ロペス・ムニス
フォーメーション 1-4-4-2


「さて」

「バルサ対ラシンやな」

「ラシン対バルサやけどな」

「先発はこう」

「ちなみに第2節で戦った時はこう」

「わりと違うな」

「ラシンはディフェンスラインの並びが全く違う」

「しかしあれやな」

「なんや」

「右サイドバックのピニージョスが、遂にレギュラーの座を奪われてもうたな」

「確かに」

「リーガで1、2位を争う気合キャラの彼がいなくなるのはちと寂しい」

「名物といえば名物やったしな」

「これも時の流れかね」

「いきなりしんみりとした話やな」

「それはさて置き」

「なぜこの試合かというと」

「彼がいるからやな」

「シギッチ」

「マドリーではシジッチ」

「その存在が理由のほぼ全てやな」

第4節で見たように、強い強いと言われるバルサにもいくつかの瑕がある」

「そこで見たプジョルを空けるというのは、クラシコでマドリーが試みて上手くいった」

「マルケスの横、アウベスの裏を長く狙う筋は多くのチームが試みて成功している」

「では最後に残ったロングボールでさっさと中盤を飛ばして攻める、というものの有効性はどうか」

「それが疑問だった」

「前線に長いボールを入れるには、それを受ける人がいなければならない」

「でかくて競り合いに強くて、ボールを止める選手が必要になる」

「その意味は202cmのシギッチは最強で、彼がバレンシアから移って以来、ラシン対バルサは注目のカードだった」

「それが遂に実現したと」

「そういう話やな」

「ラシンはどう攻めるかというと」

「下のようになる」

「シギッチに長いボールを集め、それをそらしてペレイラが走り込む」

「もしくはフォローする中盤に渡す」

「できたら逆サイドまで持って行きたい」

「ペレイラとシギッチが位置を変えても同じことが言える」

「実際にこのような攻めは多く見られた」

「そして有効だった」

「前に人数をかけるバルサに対して当たり前といえば当たり前だやけど、理屈がきちんと機能したという点でよろしいのではないかと」

「バルサ側にすれば上の形を防ぐ方法は一つしかない」

「前からプレスで蹴らせない、少なくとも正確には蹴らせないという方法論やな」

「ラシンの選手も前に蹴るのは蹴るのだが、プレッシャーに苦労していた」

「バルサの出足の良さというものは、ますます磨きがかかってきている」

「ただあることがあれば、それも無効化することができる」

「ベタベタな方法やけどな」

「それは何かというと」

「下のようになる」

「キーパーとシギッチをつないでしまうことやな」

「これはどんなにプレスの強いチームでも止めようがない」

「そこを防ごうとすると、別の場所が空いてくる」

「ただ、その60mほどのボールを正確に蹴ることのできるキーパーは少ない」

「まあシギッチの場合、あんまり正確に蹴る必要もないんやけどな」

「何でや」

「彼ぐらいのサイズになると、低く鋭い弾道で合わせる必要はない」

「もっと上から落とすのか」

「垂直に降ってくるようなボールをスペースに出せば、まず間違いなく競り勝てる」

「競り合いに関しては、確かに圧倒的やな」

「恐ろしいな」

「セビージャ戦ではスキラッチを吹き飛ばし、この試合ではトゥレ・ヤヤをものともしない」

「トゥレなんか、普通の選手が当たったら岩みたいなもんやで」

「ラシンのセンターバックのセサル・ナバスは十分過ぎるほど大きな選手なのに、シギッチが隣に来るとなんとなく普通に見える」

「ちなみに194cm対202cm」

「天上界の戦いやな」

「ゴジラ対ガメラか」

「古いな」

「そうか」

「むしろメカゴジラの方がええと思うけどな」

「まあ何にせよ、キーパーのキックというのはロングボールで攻めるにしろ、つないで攻めるにしろ、非常に大切やということやな」

「その点に昔からうるさいのはオランダやな」

「後ろから長短の組み立てを駆使しないといけないから、キーパー、センターバック、サイドバックに対して自然とうるさくなる」

「クーマン、ファン・デル・サール、フランク・デブールといった選手が出る下地はその辺りにある」

「代表でコクをサイドバックで使っていたのも、その点が一つの理由としてある」

「ここが駄目だと、まともにサッカーができないのは昨シーズンのバルサにおいて顕著だった」

「マルケスがいないと、どうにもボールが詰まりアビダル、ザンブロッタの両翼が流れを滅多切りにする」

「そのアビダルやけどな」

「なんや」

「とにかく組み立てが下手やったやろ」

組み立ての話でも下手な例として活躍してたくらいやな」

「例えば下の状況で右に攻めていてボールを持って相手との距離があるにも関わらず、後ろを向くことしか考えず味方を苦難に陥れていた」

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「正対できない、前を向けない選手の典型的な症状やな」

「ところが最近、下のように変わってきた」

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「ほう」

「きちんと相手を向き左右のパスを見せることで出足を止め、ギリギリまで後ろを向いて体勢を悪くすることを避けるようになった」

「ほんまかね」

「ほんまなんや」

「シーズン当初から改善しようという意図は見えたけど、ついに達成されたんか」

「実戦で使えるレベルに達したらしい」

「8月から意識を変えて努力したとして、約半年やな」

「アビダルは29歳やから、その歳でも半年ほどの鍛錬で改善することができるみたいやな」

「貴重なサンプルかね」

「そう思うで」

「やっぱり正しい意識と練習と努力は大切なんやな」

「この試合のまとめとしてはシギッチのような選手がいれば、バルサに対して飛ばし攻めが確かに有効だとわかったことが一つ」

「その点は、フェルナンド・ジョレンテやネグレドでも試してみたいところやな」

「アビダルの組み立てが昨年やシーズン当初に比べて、明らかに良くなったことが一つ」

「これはバルサにとって非常な朗報と言える」

「そして29歳でも半年頑張れば、技術的にまだまだ伸びることが証明されたことが一つ」

「若ければもっと早く伸びるはずやな」

「方向性が正しければやけどな」

「その意味で正しい技術体系というのは非常に大切である、ということにもなる」

「以上3点」

「この試合のまとめということろで」

「また次回」

「ご機嫌よう」

「本日の個人技編はロベン特集ですので」

「よろしければ、そちらもご覧下さい」


【蹴球計画】より ※この内容は蹴球計画のミラーサイトとして作成しています。詳細についてはこちら

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