2008/11/23 リーガ・エスパニョーラ 12節

バルセロナ 1-1 ヘタッフェ

監督 ビクトル・ムニョス
フォーメーション 1-4-4-2


「さて」

「バルサ対ヘタッフェは1対1の引き分け」

「バルサのホームだけに、ヘタッフェとしては大満足やな」

「欲を言えば勝ちたかったやろけどな」

「そりゃ、ほんまに欲張りというもんやんで」

「先発はこう」

「バルサはメシ、マルケスがいない」

「あとイニエスタもやな」

「ヘタッフェはいつものメンバーやな」

「右はコントラじゃなくてコルテスやと思ってたんやけどな」

「ここからマヌー・デ・モラルが先制点を決める」

「18分やな」

「これはひとつ面白い意味がある」

「先制されるとバルサはもろいのではないかという仮説の検証やな」

「バルサはもともと後方、特に右とボランチの横を薄くして攻め前からプレスをかける方式だから、無理に前に出なければいけない状況になると、薄みがさらに薄くなって危ないのではないかということやな」

「それで結果はというと」

「どうなんやろな」

「まずやはり、ピンチにはなりやすい」

「ヘタフェはこれまでに出てきたバルサ対策をきちんと実行していて長い展開からの速攻、特にアルビンとガビランでバルサの右サイドを狙っていた」

「結果としてアルビンが完全に抜ける場面があり、逆サイドでマヌーが抜ける場面もあった」

「ただそこから前に行けなかった」

「ピケのナイスカバーやな」

「サイドに大きくカバーリングする状況でのピケの動きは良く、このような状況で抜かせなかった」

「これはもう能力勝ちやな」

「ピケの優秀さが際立つ場面と言える」

「他では下のような場面もあった」

「中央、センターバックの前の一番いい場所でボールを持ってサイドに2人」

「攻撃としてはよだれの出る状況で、前の2人がスルーパスを狙って動き出す」

「間を通せばギリギリの状況が演出されるはずだったが」

「パスは出ず中途半端にキープした後、適当なシュートで終わってしまった」

「もったいないな」

「あれキープしてたのアルビンやろ」

「多分な」

「そこのパスやピケとの一対一は、どうにかして欲しいところや」

「そこさえ抜ければチャンスやからな」

「むしろ大チャンスやな」

「0-1で前半は終わり」

「追うバルサはどうするかと見ていると」

「下のようになる」


54分: ボージャン → ペドロ、フレッブ → アンリ

「ふむ」

「ふむ」

「ボージャンはなかなか信用を得られてないみたいやな」

「彼の使い方としては後ろを固めて、前に残りやすいようにした方が良いみたいやな」

「スペイン対アルメリアみたいな形か」

「両ウィングを変えてきたバルサに対してヘタッフェはどうしたかというと」


63分:グラネロ → コルテス、68分:リヒト → ラファ

「うむ」

「うむやろ」

「グラネロをコルテスはわかるとしてもや」

「走力に欠けるグラネロを外して、サイドの守備を強化しようということやな」

「リヒトをラファは何でや」

「それがようわからんのやな」

「怪我以外の理由やとしたら、ぜひ知りたいな」

「この状況でこの交代をする理由が見当たらんしな」

「何かご存知の方がいらっしゃいましたら」

「ぜひ教えていただきたいと」

「上のように、交代で守りを固めたヘタッフェではあったが」

「73分にバルサが同点に追いつく」

「アウベスのセンタリングからケイタのヘッド」

「そしてグジョンセン登場」


74分:シウビーニョ → グジョンセン

「グジョンセンは信用されてるみたいやな」

「何か悟りを開いたみたいやしな」

「何の悟りかね」

「プレーで力が抜けて、プレッシャーを喰らってもぐにゃぐにゃと抜ける姿は昔はなかったことやで」

「そういえばバジャドリー戦でも、出てくるキーパーを完全に見切って浮かせて決めてたな」

「前よりも相手の動きが最後まで見えるんやと思うけどな」

「そしてヘタッフェの最後の交代はこう」


80分:カスケーロ → セレスティーニ

「もう引き分けでいいですという交代やな」

「結果的に1-1で試合終了」

「ヘタッフェとしては満足満足と」

「確かにそうではあるけどや」

「なんや」

「この状況でヘタッフェが勝てないとなると、バルサに勝つのは相当難しいということやで」

「まあな」

「まずマルケス、メシ、イニエスタがない」

「攻撃において飛車角銀落ちみたいなもんか」

「代わりに選手は入るわけやから、そこまでいかんやろ」

「二番目にヘタッフェは、これまで出てきたバルサ対策をきちんと実行してた」

「後ろで下手につながない、長いボールを蹴る状態を素早く作る、右サイドのスペースを狙う、守備ではマルケスとボランチを押さえる」

「その辺の詳しいことはこちらこちらの文章を読んでいただければと」

「それでも勝てない」

「三番目にバルサが無理に出なければならない展開に持ち込んだのに、その裏を取って沈められなかった」

「個人能力の差とヘタッフェ側のテクニック不足のせいやな」

「いやテクニック不足というけどや」

「なんや」

「ヘタッフェくらいの予算規模で、これ以上良い選手を揃えるのは無理やろ」

「それはそうやな」

「リーガ中堅レベルのチームでアルビンよりドリブルで切れ込めて、マヌーより上手いフォワードを揃えるなんてことはほとんど不可能やで」

「2人とも優秀やしな」

「おまけに自陣でバルサのプレッシャーに負ける場面があったとはいえ、じゃあ、カスケーロやグラネロよりボールをキープできる選手を連れて来いと言われても難しいし、

 ガビランより前にボールを持ち込める選手を連れて来いと言われても難しい」

「カタより守れて、きちんとボールが蹴れるセンターバックをつれて来いと言われても難しいな」

「さらにパト・アボンダンシエリに至っては、彼よりキックの上手いキーパーはリーガにいない」

「つまり、長いボールでスペースを突くには良い人材が揃っていたわけだが」

「それでも勝てない」

「うむ」

「四番目に守りを固めても守りきれなかった」

「交代も守備を重視していたけど、後半のプレー内容もそうだった」

「例えば中盤でボールを取り返したとしても、サイドバックがなかなか開かない」

「これはバルサのプレッシャーに負けて、クロスカウンターを喰らうことを警戒している」

「リードを守りきる方針だったと見ていい」

「しかし」

「それでも守り切れない」

「つまりスペインリーグの中堅よりやや上の戦力を持ったチームが、駒落ちしたバルサに対して完全な対策を施して最も有利な展開に持ち込んだが、攻め切ることができず、さらには守り切ることもできなかったということやな」

「一文が長いまとめやな」

「リーガ平均やや上の戦力を持つチームが、最高に近い条件を揃えても勝てないということや」

「少し短くなったな」

「努力してんねん」

「それにしても、これはまいったことやな」

「まいったことや」

「ただチャンピオンズリーグ何かで、戦力的に十分のチームがこの展開になれば攻め切れるのではないかね」

「どうやろな」

「特にマルケスを使ってこの流れになれば、サイドへのカバーはとどかへんやろ」

「かといって彼を使わないと、後ろからの組み立てに支障が出る」

「おまけに攻めてくる選手の質が上がれば、なおのこと危ない」

「そうなった時に大きく引っくり返る可能性は、十分にあるということかね」

「そんなこんなで」

「今回はこの辺で」

「また次回」

「ご機嫌よう」

無題
昨年、日本の雑誌の特集の中に「ビッククラブ対策」という企画があり、当時好調だったエスパニョールのバルベルデ監督が、
レアルやバルサを相手にする際にどう準備するかというコラムを書いていました。

立ち読みだったので細かい内容は忘れたのですが、今でも覚えている事があって、
最後の一文が「これだけ万全だと思われる対策を練っても、勝利の可能性は決して50%に届かない。
ビッグクラブとはそういう存在なのだ」という感じの内容だった事でした。
やはり世界のトップレベルとなると、過密日程に苦しみ相手に研究され尽くしていても、それぞれが簡単には負けない個人能力を持っている事が大きいんですかね。
2008/11/25 08:27 - にゃんこ

Re:無題
なるほど、バルベルデがそのようなことを発言していたとは知りませんでした。
個人技に加え、互いの弱点を補強し、長所を発揮しやすいチーム構成になっていることが必要であろうと思います。

ヘタッフェの対策の上に、あれだ有利な条件をそろえても勝てないということは、中堅レベルのチームに対しては、バルセロナは堅牢であるといえると思います。

エスパニョールは、タムードやルイス・ガルシアを揃え、恵まれている方だと思うのですが、それでもやはり監督がそれだけ苦るしんでいるというのは興味深いことです。

またなにかありましたらお寄せ下さい。
2008/11/27 07:29 - studio fullerene C60

【蹴球計画】より ※この内容は蹴球計画のミラーサイトとして作成しています。詳細についてはこちら

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