2009/04/28 UEFAチャンピオンズリーグ 準決勝1st Legion (2)
ランパードのメッセージ
「さて」
「ここではランパード、特にその手の動きに注目してみようというわけやな」
「手は口ほどに物を言うという諺もあるくらいやしな」
「まず軽い例としては下のようなものがある」
「今、白丸で囲まれたトゥレがボールを持ち、それをドログバが近くでマークしている」
「オレンジの丸で囲まれたのがランパード」
「トゥレが画面奥へ切り返した時、ランパードは右手を上げ、手のひらをドログバに見せる」
「これはステイの合図でドログバはトゥレを追わなくていい、俺が対応するという意味になる」
「それを受けてドログバは立ち止まりトゥレを離す」
「ここでトゥレを追うなというのはもちろん、マルケスへの守備が甘くなるのを恐れてのことである」
「次の例ではセンターサークル内のトゥレにボールが入る」
「黄色い丸がドログバ、オレンジの丸がランパード」
「トゥレからシャビへのパスに対して、ランパードがまたも右の手のひらをドログバに見せる」
「これもステイの合図で、ドログバはシャビに行かなくていいことを示している」
「そっちは俺が回るからお前は残ってトゥレをマークしろ、ということやな」
「実際、ドログバはボールを追わない」
「ランパードとミケルがボールを追い、マルケスとシャビの前に壁を作り、ドログバは中の守備を担当している」
「次はピケが前にドリブルで攻めて来る例」
「まずランパードはサイドを向きつつ、中のトゥレを指差す」
「これは俺がボールに被せるから、トゥレを見ておけという合図やな」
「ここでピケが中に切り返す」
「この時、ランパードは画面外を指差している」
「その先にはもちろんマルケスがいるはずで、ドログバにそっちのケアをうながしている」
「ピケを空けてトゥレ、マルケスを抑える方針が見える」
「それについては次なんかも強烈やな」
「アビダルからピケにバックパス」
「この時、ランパードは画面左を見ている」
「そしてまたも画面外を指差す」
「これはドログバにマルケスのマークを指示している」
「常識的には言ってることが無茶苦茶やねんけどな」
「上の図からドログバを除くと、ピケを抑える選手は誰もいない」
「それでもかまわない、ピケは無視してマルケスを抑えろ、という方針であることが上からもわかる」
「ちなみにランパードは、ドログバだけでなく中盤全体にも指示を出す」
「下ではセンターサークル内でトゥレがボールを持っている」
「この時、オレンジで囲まれたランパードは左手を横に上げている」
「トゥレは自分とドログバで対応するから、中盤はここに出るなという意味やな」
「実際、ドログバが下がってくる」
「ここで彼に待ての合図を送る」
「実は上の2つの図は、最初の例と同じものなんやけどな」
「上のようにランパードが全体を仕切る姿は度々見られる」
「下などもその例でサイドに出たマルケスがフリーになる」
「この時、ランパードは左手を横に上げ全体に下がれの合図を送っている」
「それに従って中盤の選手が下がる」
「中へ進路を取ったマルケスに対応する準備をしながら、中央を指差す」
「もうお分かりのように、これはドログバにトゥレを見ろの合図である」
「同じような姿が以下にも見られる」
「例によって黄色の丸がドログバ、オレンジの丸がランパード」
「ピケがボールを持ちランパードが、下がれ下がれの合図を送る」
「ランパードの指示に従いエシエン、バラックなどが位置を下げているのがわかる」
「ここからマルケスにパスが出る」
「これは良くない」
「極めて良くない」
「サイドライン際でマルケスをフリーにするのと、これだけ中央でフリーにするのとでは全く意味が異なる」
「上が離しても良い例、下が悪い例やな」
「誰がミスを犯しているかというと」
「ドログバで下の形からふらふらとピケに近寄った」
「この日のチェルシーの守備でそれは誤りで、逆に動いてマルケスへのパスを出しにくくさせ、もしボールが出たらその後のプレイを阻害しなければならない」
「マルケスの前が空いた理由その3はドログバの誤り、という結論になる」
「上の流れでも彼がマルケスを見なかった結果、下のようなピンチを招く」
「フリーになったマルケスに、ランパードが応対に出る」
「正面に入ったところで」
「中央側を抜き」
「人の間を通し」
「エトーに渡る」
「これこそマルケスやな」
「守備としては、ディフェンスラインからこのゾーンにボールを入れられては中盤に何人置いても無駄になるので、一番嫌なパスである」
「それをいとも簡単に通すのがマルケスで、それがために相手チームは多大な苦労をして、彼がボールを持たないようにする必要がある」
「彼の得意なパスの概念図は下のようになる」
「赤い正面へのパスを見せて足を返し、白いパスを通す」
「直接急所をえぐるパスを出せる」
「だからマルケスの前に入る時は、正面に入り過ぎず、2度ほど軸足側にずれて立つ方が良い」
「しかし一つ不思議なことがある」
「なんや」
「マルケスは上のパスが得意なはずなのに、この試合ではほとんど出なかった」
「ふむ」
「チェルシーの守備が外れる場面はあったのに、そのわりには縦に入れるパスが少なかったのではないかというのを次に見てみたい」
「長くて大変ですがこちらからどうぞ」
【蹴球計画】より ※この内容は蹴球計画のミラーサイトとして作成しています。詳細についてはこちら。