2009/04/28 UEFAチャンピオンズリーグ 準決勝1st Legion (1)
バルセロナ 0-0 チェルシー
監督 フース・ヒディンク
フォーメーション 1-4-3-3
「さて」
「世の中がクラシコで盛り上がる中、一つ前のバルサ対チェルシー」
「遅ればせながらというやつやな」
「結果は無得点の引き分け」
「チェルシーとしてはしてやったり」
「バルサとしては憤懣やる方ない」
「そんな結果だった」
「先発はこう」
「バルサはいつもの人々」
「チェルシーの方は配置がガタガタしているが、こう描くのが一番正しい」
「守備における狙いと関係しているわけやな」
「その狙いを一枚絵で表すと次のようになる」
「まず基本はピケを空ける型の守備で、ランパードとドログバでマルケス、トゥレ・ヤヤを押さえる」
「そう組むと下のパスが厄介であるということを以前、セビージャ戦で見た」
「そこでエシエンをピケとアンリの間に入れることで、それを消す」
「逆サイドではボジングワがメシにほぼマンツーでつく」
「今までに見られたバルサ対策の総決算のような形で、これで抑えられなければバルサは本物であると言える」
「チェクからドログバへのキックも執拗に見られたしな」
「特に試合開始直後は、意図的に多く使っていた」
「あれは弱点を突く以上に、ホームで勢いに乗って前に出てくるバルサをいなす意味もある」
「ついでに敵地でミスの出やすい開始5分程度、なるべく自陣からボールを遠ざける効果もある」
「大事な試合における入りの常套手段ではある」
「それはそれとしてチェルシーが下の形で守っているというのは、開始しばらくでほとんどの人がそのような気がしたのではないかと思われる」
「しかしそうであると断言できそうで、できない部分があった」
「妙に例外項というか、矛盾する出来事が多かった」
「その辺りは後ほど見ることにして、まずは上のようであったという証拠の方から見てみようかと」
「よかろう」
「下の絵では赤っぽいバルサが右に攻めている」
「ピケがボールを持つ」
「黄色い円で囲まれているのが、ドログバとランパード」
「手前がドログバ、奥がランパード」
「ピケがドリブルで持ち上がる」
「しかしランパードはそれに詰める気配を見せず、中央に残る」
「おまけにアンリへのパスコースには、きちんとエシエンが入っている」
「ちょうど上で見た形になっている」
「しかしこれだけでは偶然の可能性が高い」
「そこで次にドログバとランパードは、本当にピケを無視していたという事例を見てみようかと」
「アビダルからピケにバックパス」
「ここではドログバとランパードの体勢に注目したい」
「例によって手前がドログバ、奥がランパードやな」
「ボールがピケに行く途中、ドログバはピケの方を向いているがランパードは完全に横、つまりトゥレの方向を向いている」
「ピケがボールコントロール」
「何とドログバは逆方向を向き、ランパードにいたっては完全に後ろを向いている」
「何というか無茶苦茶な状況やな」
「ボールから目を離すなとはよく言われる言葉だが、ドログバもランパードも全く無視している」
「ピケが前にドリブル」
「やっぱり2人とも別方向を向いている」
「ピケが8mほど進む」
「ドログバはやっとボールに向き直るが、ランパードは後ろを向いている」
「さらに5mほど進む」
「ランパードはやっとピケを向く」
「センターサークルに入ったところで、ドログバがマルケスへのパスを切りながら寄せる」
「上は偶然では絶対に起こらない流れで、チェルシーがピケを空けて守備を組み立てた証拠になる」
「ドログバはマルケスを見ることが最優先事項で、ランパードはトゥレを見ることが最優先であるとしないと説明がつかない」
「なるほど、チェルシーはそのように守備をしていたのか」
「めでたしめでたし」
「とは行かない」
「上でも出たようにそれと矛盾する状況が多く見られた」
「マルケスが前の空いた状況でボールを持つ場面が、非常に多く見られた」
「まずは下の流れ」
「アビダルからピケにバックパスが出る」
「そこにドログバが詰める」
「もともと詰め切れる距離じゃないので、簡単にマルケスにパスが出る」
「届いた後の状況はというと」
「マルケスの前に無限の荒野が広がっている」
「これはおかしい」
「これが嫌で最初のように守るのに、これでは話が合わない」
「例えば下の場面でも、マルケスの前に大きくスペースが空いている」
「白丸がマルケス」
「前にパス」
「メシが受けてプロテクション」
「ランパードを置き去りにする」
「見事に最悪やな」
「以前に見たバルサに対するやられパターン、その1やからな」
「ちなみにここでのマルケスは、密かに技を使っている」
「上の2つの写真で黄色い丸で囲まれたのがボジングワ」
「メシをほぼマンツーで守る関係で、中に絞っている」
「ところが一枚目の写真ではメシの近くに居るのに、次の写真では後ろ向きに走っている」
「これは2つの写真の間にマルケスがフェイントを入れたせいやな」
「左足で外に蹴るフェイクから、右足で中に蹴っている」
「組み立て皇帝と呼ばれるだけに、技のレパートーリーも広い」
「実はマルケスが前を向いてパス可能な状況で受けるシーンは、前半だけで16回もある」
「詳しくは後ほどの表をご覧頂くとして」
「16回はいかにも多い」
「確かに」
「その原因が問題になる」
「ふむ」
「その一つの概念図は次のようになる」
「ドログバが攻撃用のポジションを取った後でバルサがボールを回収し、ドログバが戻れない状態でマルケスにパスが出ると前が空く」
「ランパードはトゥレへのパスを切りながら下がるので、マルケスはハーフライン付近まで到達することができる」
「上でマルケスがメシに出した状況が正にそれで、チェフのゴールキックから始まる」
「それを前線でマルダが追ってバルデスと激突」
「マルケスにボールが出た段階でマルダは置いていかれ、彼の穴をドログバが埋めている」
「これはもちろん、マルダとドログバを入れ替えても成り立つ」
「これがマルケスがフリーになるパターン1」
「その2が下の形」
「マルケスサイドバック説やな」
「白丸で囲まれたのがマルケスで通常、4バックの右センターバックがここまで開いて攻めてくることはない」
「3バックならわかるけどな」
「ここまでサイドに出られると、フォワードでは追い切れない」
「よってドログバは追わず、ランパードが回り込んで対応するかミケルが出て、それによって生じる穴にランパードが入ることで解決する」
「マルケスがパスミスでもしてくれたら、ドログバからのカウンターが決まる確率は高い」
「そのミスをしないから、ここまで自信を持って開くんやけどな」
「普通恐くてやらない」
「これがマルケスの前が空くパターンその2」
「その1とその2は理由がわかりやすい」
「マルケスとトゥレを見る2人のうちの1人が攻撃に出て戻ってくれなければどちらかが空くし、マルケスとトゥレの間を異常に離されたら追い切れない」
「この2つで閉じてくれれば話は簡単やねんけどな」
「最初のドログバが追う例なんかは説明がつかない」
「下みたいな形もあるしな」
「今、ドログバがピケとハイボールを競り合う」
「それがバルデスまで抜ける」
「バルデスからマルケスへ、マルケスからアウベスへパス」
「この時、画面右上の選手がドログバで既にバランスを回復している」
「アウベスからマルケスにパス」
「マルケスから引くシャビにパス」
「ミケルが追ってくる」
「シャビからマルケス」
「マルケスからシャビ」
「画面一番上のドログバは、動く気配すらない」
「上の流れもおかしな話で、ピケを空けることを徹底するなら下のようにならなければならない」
「ドログバはアウベスからマルケスに戻るパスを予想して、ボール側に詰めるべきであると」
「そうなれば空いたピケに横パスが出る可能性は高い」
「ところが現実にはそうならず、ドログバは青い矢印のようにピケをマークするポジションを取っている」
「これはいかなることであるかというのが問題になる」
「そりゃそうやな」
「それを解く一つのヒントが下の写真にある」
「ここで画面右中ほどの選手の腕の位置が重要で、前方フリーになったシャビを指している」
「これはそこにきっちり詰めんかい、というメッセージである」
「その送り先は、画面上部でぶらぶらしているドログバに対してであろうと思われる」
「そうであればドログバの動きがおかしいことになる」
「そんな点を次に見てみるわけやな」
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