シュートやパスで相手の足元を抜く場合、一度ディフェンスに正対すると良い。
正対とは体の正面を相手の正面に向けることを意味する。
これは相手の足を揃え、利き足方向にスペースを作る効果を持つ。
以下に具体例を見る。
2007-2008シーズンチャンピオンズリーグ決勝、マンチェスター・ユナイテッド対チェルシー戦の42分におけるルーニーのプレーである。
ここではシュートではなくクロスが目的となっているが、フェイントなどのメカニズムは同じである。
ここでディフェンダーの重心が後ろにのっているのがわかる。
正対して前進する構えを見せることで、ディフェンスにこの体勢を取らせることができる。
一度相手を押し込むことにより、横へのドリブルが楽になる。
以上のように一度相手と正対し押し込む姿勢を見せられると、ディフェンスは横の動きに対する反応が遅れる。
この遅れを取り戻すために大きく足を出すため、その下を抜きやすくなる。
このようなパスは俗に「股抜き」と言われる。
しかし股を抜くよりも相手の軸足を意識し、その横を通す感覚を持つ方が良い。
片足で立つ人間は軸足を動かすことができない。
このため足元を抜いてシュートやパスを送る場合、その横を通せばカットされる心配はない。
よって動きの中でマーカーの軸足を意識することは非常に大切である。
相手と正対する。一度正面へ押し込む。利き足方向へ切り返す。相手の軸足を意識しながらキックモーションに入る。足を返して軸足の横を抜く。
具体的には以上の手順でこのプレーは行われる。
右足でシュートを行う時、角度の変更は下の図のようになる。
ピンクがフェイントのシュートコース、青が実際のシュートコースである。
一般的に15度前後ずらせばよい。
インフロントからインステップ、インステップからインステップ、インステップからインサイドにサーフェスを変えて角度を変えることが多い。
基本的な状況において、このテクニック自体は難しくない。
踏み込んだ後、体の中心、肋骨のやや下側を後ろに引くようにすると蹴りやすい。
ラウール(※リンク切れ)や、フォルランのシュートでもそれは見られる。
ラウールのシュートはいわゆる股抜きであり、フォルランは違う。
しかし軸足の点からみればラウールは相手の軸足の内を通しており、フォルランは外を通している。
上の二つのシュートは内側、外側の差があるのみで、軸足の横を抜くという点において原理的に同じである。
練習法
以下の点が大切である。
・相手と正対する
・一度正面へ押し込む
・利き足方向へ切り返す
・相手の軸足を意識しながらキックモーションに入る
・足を返して軸足の横を抜く
以上の手順を習得する最も単純な方法は1対1からのシュートである。
この場合、キーパーを必要としない。
タイミングはファーに打つシュートがブロックされるタイミングで足を返すのが最もよい。
フェイントをかけるためには先手を取る必要がある。この練習ではドリブルで一度相手を押し込むことがそれにあたる。
パスを出す選手を用いる場合、下の練習も有効である。
この場合、一度正面を向いて押し込む必要はない。
また軸足の内側だけでなく、外側を抜くシュートも重要になる。
下のような状況では、後ろからシュートブロックに来るディフェンスの足元を抜くプレーが有効である。
裏を取られた守備者は、慌てて足を伸ばすケースが多い。
シュートブロックに来た場合、ニア方向に踏み込んだ後、一瞬待ってから足を返せばちょうど逆サイドに抜ける。
この技術はシュートやクロスにおいて、敵をあざむく最も簡単な方法の一つである。
下のような形ではスルーパスに使うこともできる。
応用範囲が広く、ぜひ身につけたい技術の一つである。
【蹴球計画】より ※この内容は蹴球計画のミラーサイトとして作成しています。詳細についてはこちら。