2008/05/07 リーガ・エスパニョーラ 36節

レアル・マドリー 4-1 バルセロナ

監督 ベルント・シュスター
フォーメーション 1-4-4-2


「さて」

「クラシコであるな」

「結果は4-1」

「大差というか、何というか」

「先発はこうやな」

「マドリーの狙いは前回のクラシコ(※リンク切れ)と一緒で中央前方の選手、つまりグティがトゥレをマンツーマン気味にマークし、サイドバックは2人のフォワードが下がって対応する」

「前回はグティの位置にラウールがいた」

「こんな感じやな」

「前に上手くいったので、今回も二匹目のドジョウということかね」

「変える必要はないということやろな」

「この試合の動きも前回とほぼ同じだったが、メシに対するマークには気を使っていた」

「マルセロと1対1にしては危ないので、彼がボールを持つとかならずスナイデルがヘルプに行き、マルセロは縦をスナイデルが中を切っていた」

「時間をかければロベンも下がってきて、トリプルチームのような状態になる」

「対策は万全という感じやな」

「そして試合の方はというと」

「12分にラウール、20分にロベンが決めて2-0とマドリーがリード」

「バルサとしては困ったことになった」

「そこで23分に交代が行われる」

「グジョンセンがアウトでジオバンニ・デ・ロス・サントスが登場」

「フォワードが1人多過ぎやしないかと思っていると」

「下のようになった」

「メシが中か」

「中やな」

「今までだと負けている後半の勝負手やな」

「それを23分で出す辺りなかなか」

「前回の教訓から対策を考えた結果がこれ、ということかね」

「これで上手くいったかどうかというと」

「この交代をきっかけに持ち直した、という点では良かった」

「マドリーは左のロベンを止める手段を入念に講じておいたのに、それを外された形ではある」

「ジオバンニに2人行くのは行き過ぎだし、そうすると中盤が相手メシの回りにスペースができる」

「おまけにジオバンニとマルセロを1対1にしてしまうと、ドリブルで抜かれる可能性が十分にある」

「さらにはメシは頻繁に上がるマルセロをマークする必要がないので、足を溜めることができる」

「マドリーにとっては色々と悩ましいところやな」

「しかし、良いことばかりでもないのが世の常というか何というか」

「今までも守備の薄かった中盤にメシを入れて、持つのかどうかというのは疑問やな」

「持たなかったのは後半の2失点でも明らかではないかと」

「どうなんやろな」

「とにかくバルセロナはチームとしてボロボロであったな」

「レアル・マドリーには、最低限の後ろが耐えて前が決めるという構造があった」

「決して安定な構造ではないねんけどな」

「はたしてバルサはどうしてしまったのか、反省してみたいところではある」

「反省会か」

「そうやな」

「まずシーズン最初の問題はロナウジーニョやな」

「外すか使うのか中途半端な時期が長過ぎた」

「彼を支える選手を切り過ぎたせいで、もはや使う場所はなかったんやけどな」

「その辺りはこちら(※リンク切れ)をご覧いただくことにしてだ」

「去年の終わり頃は彼を使わないことでチームが安定してきたと思ったら、12月も終わりのクラシコで思い出したように使う」

「それでまたおかしくなってきた」

「ロナウジーニョは使う使わないでチームのバランスを完全に変えてしまうから、中途半端に使う道なんかないのにな」

「天才と毒物の紙一重というやつかね」

「その後しばらくして外すことに決定した」

「それはそれとしてや」

「なんや」

「この試合のバルサの先発を見ると、ロナウジーニョ以外の問題も良く表れていると思わんかね」

「これはなんや」

「バルサの課題の上位3つで、重要な順に線が濃くなっている」

「ほほう」

「まず一番の課題はメシやな」

「メシか」

「彼を攻撃の核に据えるのか据えないのか、決心をつけないといけない」

「いけないも何もロナウジーニョがいない以上、彼を中心にするしかないんちゃうかね」

「能力的にはそうだとしても怪我が問題やろ」

「怪我はなあ」

「毎シーズン、長期に渡って戦列を離れる選手を中心に据えるのは難しいで」

「その選手が凄ければ凄いほど、いないときの反動もきついしな」

「やろ」

「とは言っても来シーズン一杯は様子を見るのと違うかね。次も怪我をしたら、それこそ考えなあかんとは思うが」

「じゃあ、メシは中心に置くと決めて次はサイドバックやな」

「ザンブロッタとアビダルか」

「この2人の組み立て能力、プレッシャーをかわす能力、クロスを上げる能力というのは極めて低い」

「バルサの使い方に合わんと言えば合わんな」

「つないで攻めるのであれば、サイドバックがポロポロとボールを失っては話にならんやろ」

「バルサはパスを回す運命にあるから、この2人は変えないとしょうがない」

「そして最後にボージャンとグジョンセンや」

「トップがボージャンだとボールに触るために下がったり、サイドに流れたりする機会が多くゴール前の選手が足りなくなるのは確かやな」

「おまけにグジョンセンを中盤で、イニエスタやデコの代わりに使うのは無理がある」

「言われてるほど悪いとは思わんけどな」

「そうなんか?」

「ゾーンの間でパスを受ける動きなんかは抜群に上手いで」

「でもそこからパスが出てこないで潰れてしまうことが多いやろ」

「確かにそんなこともあるけど守備でも惜しみなく走るし、相手に当る度胸もあるから今のバルサの中盤には貴重やと思わんか」

「そこや」

「どこや」

「その走って当れる選手というのがまた問題や」

「そうなのかね」

「今のバルサを見るとアンリ、メシ、シャビ、イニエスタ、ボージャン、ジオバンニ、エスケーロといった瞬発力型やテクニック型の選手が多く、

 長距離を走り続けてスペースを生めてバランスを取るとか、泥臭く相手に当っていくとかいった人材が足りない」

「デコはどうした」

「昔は彼に加えて、モタやファン・ボメルやジュリやジオがいたことを思えば明らかに人手不足やろ」

「薄いのは薄いな」

「薄過ぎるからチームのバランスが保てないわけで、それを埋める補強候補などを考えてみようと思うわけだ」

「例えばハーグリーブスか」

「いきなり確信を突きよるな」

「中盤でバランスも取れてサイドバックでも間違えない。条件にあてはまるやろ」

「それはそうやけど、海外に手を伸ばしてやれハーグリーブスが欲しいとか、やれシュバインシュタイガーが欲しいとか言い出すと夢物語になるので、リーガ関係者で実際に買えそうな選手を選ぶと良いと思うわけやな」

「さよか」

「そこで結論としては下のようになった」

「これまた何とも言えん面子やな」

「ええやろ」

「ええというのか何というのか」

「セルヒオ・ガルシアとルイス・ガルシアはセンターフォワードに入っても良く、サイドでもプレーできる」

「このルイス・ガルシアは、エスパニョールの方か」

「そうやな」

「マキシ・ロドリゲスは左右のサイドで良く、トップ下からボランチでも働く」

「サパテールは中盤のバランスを取れて、サイドバックでも一通りの仕事ができるな」

「イラオラはサイドバックでプレッシャーをかわすのが上手く、中盤に出てもいいし、実はボランチもできる」

「ゴンサロは守ってよし、組み立ててよし、サイドバックも可能やな」

「ガライはどうしたんや」

「もうラシンから買ったらしいから入れてみた」

「ガライはキック力があるのは確かやけど、細かい組み立てが上手いかどうかはよくわからんのやけどな」

「それは来てからのお楽しみやな」

「左はホセ・エンリケにアントニオ・ロペスか」

「ホセ・エンリケはドリブル良し、クロス良し、スピードもあってタックルも上手いというスペイン期待の星や」

「ビジャレアルからニューカッスルに買われて行ったのではなかったかね」

「どうも不満があるらしく、スペインに帰りたがっているそうな」

「もう一人がアントニオ・ロペスとは手堅いな」

「ロングキックが正確、フリーキックも抜群。仕事熱心で周囲とのバランスに気を使い、最近は右サイドバックとしても信頼されている」

「左利きの右サイドバックというのは珍しい」

「これらの選手であればバルサに足りない、走力、バランスを取る力というものを補完できるのではないかと思うのだが」

「ふむ」

「おまけに各自様々なポジションでプレーできるため、ボージャンをセンターフォワードで使ったり、グジョンセンを中盤で使うような無理をしなくてもすむ」

「いわゆるポリバレントな選手というやつか」

「実験としてこのメンバーで様々なシステムを組んでみるとよくわかる」

「なんじゃそりゃ」

「まずバルサ的1-4-3-3を組むと次のようになる」

「サパテールが2人いるのは気のせいか」

「9人しかおらんのやから、誰かが2箇所やらなしゃあないやろ」

「豪気やな」

「次に1-4-4-2を組む」

「左前のアントニオ・ロペスがどうかとも思うが、普通に戦えそうではある」

「3バックも可能やで」

「しかし何にしても、9人も取るわけにはいかんやろ」

「4人くらいは取って欲しいと思うねんけどな」

「シーズン後に期待かね」

「去年からの酷いバルサが、どうにか改善されることを祈らずにはいられない」

「補強の前に作戦担当者を交代させれば、なお良いかね」

「そのあたりも注目ということで」

「また次回」

「今回も中盤でのプレスへの対策戦術問題集の続編がありますので」

「そちらもご覧下さい」

「ではまた」

「ご機嫌よう」


【蹴球計画】より ※この内容は蹴球計画のミラーサイトとして作成しています。詳細についてはこちら

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