楔型インステップキック 練習法


これまで楔型の特徴、メカニズムを見た。
次に具体的な練習法を見る。

1.地面に向かって踏み込み、その力で体の中の筋肉を伸ばす

最初は筋肉にほとんど力を入れず、筋肉が伸びと反対に縮む反射(伸張反射)をメインとして蹴る練習をするとよい。
弱いキックであれば、それだけで十分蹴ることができる。
この時、無駄な力をいれなければ無回転になりやすい。
蹴る前のボールは止まっていても、軽く前に転がっていてもよい。


2.筋肉の伸びに同期させて筋肉を縮める

次に伸縮反射に筋肉の収縮を同期させる練習をする。
最初は強く縮めようとせず軽い力で行い、最も良い結果が得られるタイミングを習得する。
また一番上の筋肉、つまり下図のピンクの横線部分を収縮させるタイミングのみに集中するとよい。
tachigeri_67.jpg

タイミングさえ合えば、他の筋肉を意識しなくても十分に強いキックができる。
また弓型になれていると、胸から太ももにかけての筋肉を強く引っ張ろうとする傾向が出やすい。しかし楔型におけるそのような力みは、むしろ動作を阻害する。

その他に注意すべきは以下の点である。


・助走、踏み込みを真っ直ぐに

ボールに対して真っ直ぐ、もしくはほんの少しずれた角度で助走する。
斜めから踏み込んでも楔型で打つことはできるが、応用と考えた方が良い。


・体を真っ直ぐに保つ

正面から見て体を真っ直ぐに保つ。現実には直線になることはないがイメージとして真っ直ぐに保つ。
蹴り足が窮屈だからといって中央のように上体のみを傾けてはいけない。弓型をイメージして手を大きくひらくと、このような状態になりやすい。
体が斜めになるのであれば、全体を斜めにする方が良い。
またフォロースルーにおいて飛び上がることは最初意識しなくてもよい。


・ボールを捕らえる位置

以下の図は、「Ossa Pedis(足の骨、足骨)」を参考に、必要な部分のみをやや詳細に描いたものである。

右足の甲であり図の左が親指を表す。

楔型では赤丸で示された親指の付け根から、オレンジ丸で示された楔状骨の突起部分を結ぶ骨の周りで打つと無回転になりやすい。

最も真っ直ぐに飛びやすいと考えられるのは、以下の楕円部分で蹴った場合である。

この部位で強くボールを潰すように蹴れば、二回曲がって落ちるような無回転独特の変化をするボールになりやすい。

該当部位の左右の傾斜を利用すれば、ほぼ同じモーションから左右に蹴り分けることができる。

このキックもほぼ無回転で飛ぶ。

これらの部位で捕らえながら、後方回転がかかってしまう場合は、足首が曲がっているか、体が後ろに反っている可能性が高い。

上記の場所の他、親指の付け根や、楔状骨、その周辺で蹴っても無回転に近いキックになる。
反復により、蹴りやすい部位を自得するとよい。

練習におけるキーワードは真っ直ぐ、リラックス、タイミングだと考えられる。
最初はキックの強さを目指すより、歩行からの接続がより自然になるように心がける方が良い。

楔型のインステップは無回転で蹴りやすく、むしろ無回転になることが自然である。
もちろんこれは楔型でしか無回転を蹴ることができないという意味ではない。
弓型でも蹴ることができる。

次に弓型と回転しないキックの関係を見る。


【蹴球計画】より ※この内容は蹴球計画のミラーサイトとして作成しています。詳細についてはこちら

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