2008/06/09 ユーロ2008 Group League
ルーマニア 0-0 フランス
監督 ビクトル・ピツルカ
フォーメーション 1-4-1-4-1
「ルーマニアとフランスの試合は今大会初の引き分け」
「おまけにスコアレス」
「攻撃面では実に低調な試合だった」
「スコアの額面通りというか何というか」
「先発はこう」
「まずルーマニアに注目する」
「試合開始直後のルーマニアは、システムがわかりずらくなかったかね」
「何か変な形に見えたな」
「その原因は、まず左前のムトゥやな」
「監督の頭の中では1-4-1-4-1のはずで、ムトゥは下の図の半透明な位置にいることになっている」
「ところが時間の経過とともに、中途半端な位置に浮いていく」
「それで少し変な形に見える」
「1-4-1-4-1では作戦として、サイドを浮かせることもある」
「この試合はそうじゃなくて、監督の指示に承服しきれないムトゥが勝手に浮いただけやと思うで」
「もう一つルーマニアのシステムがわかりにくい原因は、マンツーマンを重視したディフェンスにもある」
「一度マークにつくとゾーンを越えてマークし続けるので、位置関係がわかりにくくなる」
「センターバックなんかフォワードが下がると、どんどんついて行くしな」
「そのセンターバックの穴はラドイが下がって埋める」
「マイナスに戻るボールに対してもディフェンスラインもあまり上げず、非常に古風ともいえる守備方針やな」
「攻撃ではキヴが要になってパスを回す」
「センターバックのタマーシュのクリアボールも、攻撃の起点になる」
「ただ前線が弱い」
「ムトゥは自分の役割に納得しておらず、ダニエル・ニクラエではフランスのディフェンダーに歯がたたなかった」
「この試合で、フランスキーパーのクペのセーブがゼロというのがそれを物語っている」
「相手の対策としては、キヴさえ潰しておけば大丈夫というのはある」
「それについてはフランスの方の動きが面白かった」
「先発の構造はこう」
「構造といっても簡単なものでトゥラランが長いボールを蹴って、マケレレが前にでてボールを散らす。サイドは縦に走るという形やな」
「マケレレにさばかせてどうするという気もするな」
「そうは言っても、昔より狙ったパスが多くてええ感じやで」
「そりゃチェルシーでそうせざるを得ない状況が多いからであって、もともと上手いわけではないから限界がある」
「しかしまあ、フランスの攻撃の単純さというか変化のなさは際立っていた」
「ここにジダンを投入すれば凄いんやろうけどな」
「後ろが固いのは確かやしな」
「フランスはどうにもならんなあという感じで進んで、その交代が実に興味深かった」
「フォワードのアネルカ、ベンゼマを外して、ゴミスとナスリを入れた」
「そして次のようになる」
「交代の後の前線の動きは目をみはるものがあって、キヴとラドイを厳重にマークしていた」
「まるで引き分けを狙いに行くような作戦やな」
「本当に勝ちに行こうと思うなら、前線を守備の負担から開放して相手にある程度やられるけど、こっちはそれ以上にやり返すという方法の方が良い」
「ところが、この負けない作戦」
「それほど叩き合いに自信がないんやろか」
「どうなんやろな」
「残りの相手がイタリアとオランダであることを考えると、ここは思いっきり勝ちに行くべきではないかね」
「それで自分がこけたら元も子もないという考えやろな」
「その判断が正しいのか否か、今後の注目というところで」
「今回はこの辺で」
「また次回」