2008/06/19 ユーロ2008 準々決勝 (2)
ポルトガルのセットプレーにおける守備
「さて」
「ポルトガルのセットプレーでの守備についてやな」
「最初の失点は下の形からだった」
「左に見えるのがポルトガルゴール」
「最初に結末を見ると下のようになる」
「うむ」
「これ赤いほうが守備なんやで」
「らしいな」
「まことに信じられない位置で、白い選手が2人フリーになっている」
「本当に守る気があるのかすら疑わしい結果やな」
「そこでより詳しく見るために、写真を図に直してみる」
「下の配置を」
「ファーの部分だけ取り出す」
「青がドイツ、赤が守備をするポルトガルやな」
「しかしこれでは選手が団子でよくわからないので、間を離して見て行こうと思う」
「よかろう」
「選手は下の配置から点線のように動いた」
「ドイツは2の選手がニアに入り、1の選手はファーに逃げた」
「ここで面白いのはポルトガルの1がニアに入る選手を追いかけたことやな」
「結果下のようになる」
「写真ではこう」
「これは実に不思議であるな」
「ごく普通に守るなら下のようになる」
「それぞれが一番近い選手をマークする」
「これで何の問題もない」
「もう一つよくわからないのが、赤の2番の動きで敵の2番をマークしないなら後ろに下がらなければいけないし、下がらないのであれば、敵の2番について行かなければいけない」
「そのどちらも行わないというのは奇妙な話やな」
「監督の指示はどうなっていていたのか非常に興味がある」
「ちなみに赤の2番はクリスティアーノ・ロナウドであるな」
「次に2つ目のセットープレーでの失点を見る」
「同じような位置からのフリーキックから」
「インパクトの瞬間」
「ボール移動途中」
「バラックがヘディングをした瞬間」
「いくつか奇妙な点がある」
「まず最後の写真で、キーパーが変な位置にいる」
「ボールに全く届かないのに飛び出している」
「次にヘディングの瞬間、白い選手をマークすべきディフェンダーが離れている」
「最後にオレンジの輪で囲まれた選手は、最初から最後までマークすべき選手に対して遅れた位置にいる」
「世にも奇妙な物語というわけか」
「キーパーについては、しゃあない気もするけどな」
「何でや」
「最初にあんな無茶苦茶な形からやられたら、ディフェンスは信用でけへんから無理にでも前に出てクリアしたろ、という気分になるのはしょうがないないやろ」
「そうかね」
「普通そうやで」
「マークしていたディフェンダーが離れたのは、バラックに突き飛ばされたからやな」
「パウロ・フェレイラか」
「そして最後に一番外側で遅れているのがクリスティアーノ・ロナウド」
「なるほど」
「こう見るとポルトガルは、ファーサイドの守備に問題を抱えている感じやな」
「ボールに近い場所にペペとリカルドカルバーリョを置き、その後ろにクリスティアーノ・ロナウドとフェレイラ」
「その後ろの部分が弱いということになる」
「コスティーニャのような選手があと1人いたら違ったかもわからんな」
「ちなみにドイツのヘディング4人衆の身長はメルテザッカー198 cm、メッツェルダー194 cm、バラック188 cm、クローゼ182 cm」
「ポルトガルの身長上位5人はペペ 187 cm、クリスティアーノ・ロナウド 184 cm、リカルド・カルバーリョ 183 cm、ボジングワ 183 cm、パウロ・フェレイラ 182 cm」
「この状態でロナウドがマークが苦手で、フェレイラが押し負けるようでは、やはり苦しくなる」
「しかしドイツはでかいな」
「さすがというべきやな」
「プレー内容では遥かに上を行っていたポルトガルは、セットプレーの穴を突かれて敗戦」
「難しいものであるな」
「チェコ戦で明らかだったものを、監督のスコラーリがなおしきれないということは、よほど根の深い問題だったのではなかろうかというところで」
「今回はこの辺で」
「また次回」