2008/06/25 ユーロ2008 準決勝 (1)

ドイツ 3-2 トルコ

監督 ファティ・テリム
フォーメーション 1-4-1-4-1


「トルコがついに敗れた」

「本当に苦しい中で2-2の同点にまで迫ったが、最後は物量の差に屈した形になった」

「先発はこう」

「トルコ側としては、試合前に考えることがいくつかある」

「一つはチームの力関係からして守備に穴を空けたくない」

「ドイツに先に点を取られては非常に苦しくなる」

「特にドイツの左サイドをきちんと止めたい」

「今のドイツが良い形になるのは、カウンターからスペースに走ったポドルスキーからと、縦から中に切り返したラームからのクロスやからな」

「しかし守備を固めたいのはやまやまだが、トルコ側としてはそれだけでもまずい」

「何しろベンチに選手がいない」

「怪我人と出場停止で、一時はサードキーパーがフィールドプレーヤーとして入るんじゃないかと言われていたくらいやからな」

「おまけに逆転逆転また逆転で勝ってきただけに、ピッチ内の選手の疲労も気にかかる」

「持久戦になった場合、トルコに有利になるとはとても思えない」

「となると守備を固めて早めに勝負をつける、というのが一番良いということになる」

「それは普通に考えると無理やな」

「まあな」

「守備を固めて持久戦というのは可能でも、守備を固めて早く勝ちに持って行くなどという都合のいい話は普通ない」

「しかしトルコはそれをやらねばしょうがない」

「はたしてどのような手段に出るのかと見ていると」

「まず守備を固めるという意味では、次のようになっていた」

「鍵は一番前にいる9番のセミフで、彼がまずメッツェルダーの前に立ち、カジムがラームにつくことでメルテザッカーへのパスを誘う」

「メルテザッカーにパスが出たら、戻すパスコースを切りながらボールを追う」

「それにより、メルテザッカーがパスを出さなければならない状況を作り出すわけやな」

「上のようにボールを追っていけない状況では、セミフは下のように位置する」

「左のボランチへのパスコースを切るような位置にいる」

「ここからメッツェルダーにパスが出たらなるべく早く詰め、もしヒツルスペルガーがフリーになるようなことがあればすぐにヘルプに行く」

「この場合、直接メルテザッカーにプレッシャーをかけてはいないものの、その周辺へのパスを出しにくくさせることで無理にボールを持たせている」

「ドイツの左右を比べると左のメッツェルダー、ラームよりも、右のメルテザッカー、フリードリッヒのコンビの方がボールを持たせて安心なため、このようなディフェンスが成り立つ」

「メルテザッカーから良いパスが出ることはほぼ皆無やからな」

「彼がボールを持たされたというのは、データにも残っている」

「UEFA(※リンク切れ)によると、ドイツで最も多くパスを出したのはメルテザッカーで62本になる」

「まあこれでそれが証明されるわけではないが、矛盾しない結果ではある」

「ちなみにメルテザッカーが出したパスの本数はポーランド戦でチーム7位、クロアチア戦6位、オーストリア戦3位、ポルトガル戦9位やな」

「トルコはメルテザッカーにボールを持たせて左にボールが流れるのを防ぐ、メルテザッカーにパスを出させることでドイツのペースを乱すというのを眼目に守備をしていた」

オランダ戦のロシアと同じで、なるべく下手な選手にボールを持たせて、なるべく楽に守ろうという手であるな」

「プレスだけが守備ではないということやな」

「これでトルコは試合前の一つの課題、守備で穴を空けないを達成しようとした」

「そしたら次は早めに点を取って試合を決めに行く、という課題が問題になる」

「その点については下の写真が興味深い」

shasin_01.jpg

「赤いトルコは左に攻めている」

「ボールの前と横に非常に多くの選手がいることがわかる」

「敵ペナルティーエリアと、そこから引いたサイドに合計8人」

「つまり一番後ろは2人」

「極限まで攻撃に人を割いている」

「これが前半の12分だから、最初から勝負に出ていると思っていい」

「持久戦にしようという配置ではないな」

「しかし前に述べたように守ってから、上の写真のように攻めるというのは楽ではない」

「結構な距離を走るでな」

「そこにも、後半ガス欠になる前に勝負を決めようという意図が見える」

「そして思惑通りトルコが先制する」

「下の流れでスローインから」

「中央から1人サイドに回り込むように流れる」

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「ボールを受け胸でバックパス」

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「クロスにダイレクトで合わせたシュートはバーに当たり、それを押し込む」

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「トルコとしては狙い通りの展開に持ち込んだ」

「ここからが問題やな」

「ここで方針を変更して後ろに人数を割き、リードを保ちに行くか」

「それまで通り人数をかけて追加点を狙いに行くか」

「トルコは後者であったと思われる」

「というのが下の図やな」

shasin_09.jpg

「これはトルコが左に攻めている」

「やはりきちんと前に人をかけている」

「実はここからカウンターを喰らう」

「ボールを奪われてサイドのポドルスキーに走られる」

shasin_11.jpg

「このときやはり、最終ラインはツーバック状態になっている」

「ポドルスキーがボールを持ち、追ってきたディフェンスと正対した場面がこう」

shasin_13.jpg

「5対5でディフェンスは数的優位を確保できていない」

「そのため赤の2の選手は、良いカバーリングのポジションを取ることができなかった」

「そこからクロス、外から中に入ったシュバインシュタイガーに決められる」

shasin_15.jpg

「試合前、トルコの選手にどういう指示が出ていたのかは気にかかる」

「点を取っても前半はこのまま行けと言われていたのか」

「2点取ったら引けと言われていたのか」

「はたまた別の指示が出ていたのか」

「実に気になるところやな」

「1点取っても引くなという指示が出ていたということは、監督が1点では勝てないと思っていたことにもなる」

「何はともあれ、前半は1-1で終了」

「後半はこちらから」


【蹴球計画】より ※この内容は蹴球計画のミラーサイトとして作成しています。詳細についてはこちら

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