コーナーキックを好きになろう!クローズ編 検討の巻
「今回は前回に引き続いてのクローズ編であるな」
「その中でもコナーキックの後、二回以上のタッチで決まるものを見ていこうと思う」
「具体的にはこういう系統やな」
「実はここで面白い事実がある」
「なんや」
「クローズに蹴られて2回以上のタッチで決まるものは8つある」
「クローズ全体は26あるから、3分の1くらいか」
「そしてその8つのうち意図的に決まったものは1つしかない」
「どういう意味や」
「だから8つのうち7つは下のような形でディフェンスが触れた後で決めるとか、競り合いでこぼれたボールを押し込むとかなんやな」
「赤い線がDFが触れた後のボールということか」
「最初からそれを計算してコーナーをデザインすることはないから、その意味で意図的ではないということやな」
「それにしてもあれやな」
「あれとはなんや」
「クローズでこぼれ球やディフェンスの触ったボールを押し込むことが多いというのは、一般的に言われている”クローズは守りにくい”という言葉を裏付けるものではあるな」
「確かにそうやな」
「これはこれで興味深い」
「ちなみにたった一回意図的に決まったプレーというのは、冒頭に挙げたものになる」
「ニアでそらして、ファーで決めるパターンやな」
「これはオープンでは重要な変化だったが、クローズではどうも難しいらしい」
「まあそれはそうやで」
「そうなんかね」
「オープンだとゴールから逃げるボールをゴール方向に返すからフェイントになるわけでクローズの場合、最初からゴールに向かっているボールを同じ方向に弾くわけやからあまりフェイントにならんやろ」
「それはあるな」
「しかしこうなるとクローズではコーナーキックの後、2回のタッチで決まるものの設計が難しいな」
「難しいというかサンプルが一つしかないわけやから、データから作るのは無理やな」
「じゃあ今回の設計編はこれで終わりか」
「そういうことになる」
「それもなんかあれやな」
「確かにあれであるな」
「しょうがないので、クローズとオープンの時のゾーンの差などについて議論してみんかね」
「ええで」
「ワンタッチで決まる図の比較をするとして、前回見たクローズのものはこうだった」
「オープンはこうやな」
「こうなると重ねてみたくなるのが人情というものやな」
「点線がクローズ、実線がオープンやな」
「これを重なりが良い部分とそうでない部分でわける」
「まず、良い部分はこうなる」
「ゴールエリアより、センターサークル方向にあるゾーンは重なる部分が大きい」
「ただし黒で表されるシュートゾーンについては、注意が必要やな」
「クローズの時は、よりニアポスト側にくるわけやな」
「この図は大切で、コーナーキックで最初に注目すべきゾーンを表している」
「ここから逆算して選手の動きを予想すればええわけやな」
「そして重なりの良くない部分というのは、次のようになる」
「重なりが良くないというか、オープンとクローズで全く重なっていない部分やな」
「ゴールエリアの中から引く選手と、ファーポスト前でシュートを打つ選手の存在やな」
「その2つはクローズにだけ見られる特徴やな」
「ボールがゴールに近づくという特徴から現れるゾーンやな」
「面白いことに2006-2007シーズンの後半において、上のゾーンから引いた選手がゴールを決めたという例は一つもない」
「つまり引く選手はあくまで囮であり、シュートを決めることは少ないということか」
「そうなるな」
「言葉を変えて言えば、シュートを打つ人間はあくまでも前に走り込んでくるということやな」
「ディフェンスにとっては重要な情報かもわからんな」
「クローズについてはこんなもんかね」
「あとはこの図について考えたいとこやな」
「これがどうした」
「クローズにおいてニアに選手を集めると見せかけておいて、ファーポストのゴールエリアの縁辺りにボールを蹴るパターンを使うチームはわりと多い」
「見るといえば見るパターンやな」
「これは一見よさそうに見えるが、データからすると決まりにくいらしい」
「確かに一回も決まっていない」
「監督としてはクローズにおいて、これと上にあげたニアポスト前でそらすパターンは決まりにくい、とうのを覚えておくのは有益だと考えられる」
「要するに下の二つの図やな」
「まあ、たまたま現れたパターンが少なかったという可能性は捨てきれないので、サンプルをより集める必要はあるんやけどな」
「次回は最終回ということでショート、オープン、クローズの長所と短所などを眺めてみましょうというところで」
「今回はこの辺で」