2008/06/08 ユーロ2008 Group League

ドイツ 2-0 ポーランド

監督 ヨアヒム・レーヴ
フォーメーション 1-4-4-2


「注目のドイツが登場した」

「優勝候補の一つやな」

「その噂に違わず完封勝利を収めたのではあるが、だ」

「何だ」

「負けたポーランドが実に良いチームだった」

「それは言えるな」

「今回はその辺りを見ていこうかと思うわけや」

「よかろう」

「まず先発はこう」

「ドイツは1-4-4-2、ポーランドは1-4-2-3-1」

「開始直後は確かにこの配置だった」

「しかしながら、ポーランドはすぐに下の図に変わる」

「最初はトップに9番のジェラフスキ、その下に8番のクジヌベク、左に7番のスモラレクだったものが時計回りに一つづつずれた」

「これはどいういう意図やったんやろな」

「この後の交代から判断するとスモラレクではラームをマークしきれないので、クジヌベクを当てようという意図だったと思われる」

「ちなみにこのクジヌベクという選手のポジション移動が、この試合の鍵を握る」

「まさにキーマンだったので8番、クジヌベクの名前は覚えておかれるとよろしいかと」

「それはさておき、ポーランドの攻撃における構造はこうなっていた」

「下から上に攻めているわけやな」

「まず最初に目を引くのはボランチ、18番のレワンドフスキからのサイドへの展開やな」

「あまりにもキックが上手過ぎて目が飛び出そうだった」

「そんなおおげさな」

「いやあれだけの速度と精度で蹴れる選手は、今のリーガにはいない」

「1-4-2-3-1や1-4-3-3のようなシステムは、サイド前方の選手に長い斜めボールが通らないと意味がないから、その点では選手とシステムの相性はええな」

「もう一つの特徴は、左サイドバックから右サイドバックへの矢のようなサイドチェンジで、そこから早く縦に送ることで相手を崩す」

「4番のゴラニスキから13番へのワシレフスキへのボールやな」

「ちなみにゴラニスキは右利きや」

「ポーランドの攻撃が上手くいくのは、主にこの二つのパターンからになる」

「ただ少々残念なこともある」

「第一のパターンで、レワンドフスキのボールを受けるサイドの両選手やな」

「右が17番のウォボジンスキ、左が上でも出てきた8番のクジヌベク」

「この二人は長いボールのコントロールに難がある」

「せっかく良いパスが来たのに、トラップが流れる」

「ワンコントロールで詰めてくる相手と正対して、そこから仕掛けて行けばなんぼでもええ形が作れるのに、コントロールに手間をかけるもんだから、せっかくパスで得た時間的な余裕を無駄にしてしまう」

「もったいないオバケが出るな」

「さらに左のグジヌベクは、ラームとの1対1で全く勝てない」

「右のウォボジンスキは、どうにかコントロールした後の仕掛けでは良い働きを見せていた」

「仕掛けていける選手なだけに、トラップの粗が何とも惜しい」

「何にしても、前半は1-0とドイツのリードで終わる」

「開始後にドイツが攻めて、その後ポーランドが押し返す流れだった」

「そして後半はこれまた面白い展開だった」

「リードを奪われたポーランドは、後半開始からゲレイロを投入する」

「トップ下やな」

「ゲレイロとはスペインっぽい名前であるなと思っていたら、ブラジル人らしい」

「スペイン系やとゲレーロやろ」

「この選手が非常に良い味を出していた」

「下の形やな」

「中央から右に流れてワシレフスキからのボールを受けると、とにかくグニャグニャと左足でボールをキープする」

「その場で足踏みをするようにドリブルができるのは、ポーランドで彼一人やな」

「そこから真っ直ぐ縦に突破したり、逆サイドに展開したり、相手を引きつけて周囲にスペースを作ったりする」

「ポーランドに足りなかった要素を、一人で追加した感じだった」

「彼の活躍もあり、ポーランドは非常に良い時間を迎えた」

「ところが65分にピシュチェクを入れてから様相が一変する」

「ゲレイロを左に置き、8番のクジヌベクを左のトップのような場所に置いた」

「これはどうしたことかと」

「クジヌベクはゲレイロと比較して狭いスペースでボールを扱える選手じゃないから、ぼろぼろとボールを失くす。おまけにゲレイロは後ろに走るとたいした選手じゃないから、ラームに対する左サイドにも穴が空く」

「どう見ても良いことなしやな」

「実際にこの後の時間は、ドイツに流れが移って追加点まで奪われる」

「監督のベーンハッカーの意図が非常に気になる」

「右に流れ過ぎて右の中盤と重なっていたから、それを解消しようとしたのかもしれん」

「結局73分に点を取られた後、75分の交代ではポジションを元に戻していることからも非常な謎が残る」

「まあ単純に失敗だったということちゃうかね」

「相手を一点から崩している時はそれを変えずに、むしろ補強する形の方が良いということやな」

「右で重なるならむしろ右の選手を中に入れて、逆サイドでは8番のクジヌベクよりもボールを受けて勝負できる選手、シュートまで行ける選手、例えばスモラレクを入れる形とかやな」

「この方が良い可能性は高い」

「ポーランドにとって65分から75分までは、魔の10分だったとも言えるわけやな」

「実にもったいなかった」

「また、もったいないオバケか」

「ポーランドは強いが、あとっちょと人材が足りないのも惜しい」

「トップにクローゼ、左サイドにポドルスキーでも借りてこられたら、抜群に良いチームなんちゃうか」

「それを借りたり買ったりできないから、手持ちの駒のみで戦うところに代表戦の醍醐味があるとは思うねんけどな」

「そういえばや」

「なんや」

「クローゼといえば、キックオフのすぐ後にラインの裏に抜け出してキーパーと1対1になった場面があったやろ」

「ゴメスにパスを出して届かなかったシーンか」

「あれについてスペインのテレビ局(※リンク切れ)のページで、”ゴメスが完全にフリーで外した”と書いてあったわけや」

「そうなんか」

「あれは完全にクローゼのミスなので、その解説がこちらにあるというところで」

「今回はこの辺で」

「また次回」

「ご機嫌よう」


【蹴球計画】より ※この内容は蹴球計画のミラーサイトとして作成しています。詳細についてはこちら

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