2008/10/26 リーガ・エスパニョーラ 8節

ビジャレアル 4-4 アトレチコ・デ・マドリー

監督 マヌエル・ペレグリーニ
フォーメーション 1-4-4-2


「さて」

「今週は良く点が入った」

「レアル・マドリー対アスレチックが3-2」

「バルサ対アルメリアは5-0」

「そしてこの試合は4-4」

「3試合で18点とはなかなか」

「素晴らしいな」

「先発はこう」

「ビジャレアルはいつものメンバーだが、アトレチコが目新しい」

「1-4-1-4-1やな」

「アグエロを休ませるのが目的かね」

「もう一つは、ビジャレアルの中盤を止めるのが目的やろうな」

「それで試合の方はというと」

「まず2分にシモンが決めて0-1」

「後に見るように見事なミドルだった」

「21分には左サイドを抜けたシモンからクロス、ディフェンスの苦しいクリアを拾ったフォルランが決める」

「0-2」

「アトレチコとしては万々歳な展開となった」

「中盤の守りを固めた状態で2点もリードを奪ったら、そら嬉しいわな」

「これに対し、ビジャレアルはボールをキープするもなかなか決定機が訪れない」

「こうなると戦術的に興味深い」

「確かに」

「攻める側にとって1-4-1-4-1というのは非常に崩しにくいシステムで、ビジャレアルがどのような方法を用いるかというのは見所になる」

「この日のベンチは下の通り」

「普通に考えるとベティス戦のように中央にイバガサを入れたいところだが、招集されていない」

「となるとどうやって攻め手を強めるか」

「ピレスを中に動かすか」

「サイドでフリーになる機会が多いものの、クロスが当たっていなかったベンタを代えるか」

「ギジェ・フランコを入れて前線で混乱を巻き起こしていくか」

「はたして誰をどの順番で入れるのか」

「非常に楽しみだったわけだが」

「前半が終わる前に事件が起きる」

「時は36分」

「アトレチコのバネガが、2枚目のイエローを受けて退場する」

「ありゃりゃ」

「これでビジャレアルとしては、あまり交代を心配する必要はなくなった」

「しかしこのバネガの退場はない」

「ファールをしたのは敵陣、しかも後ろを向いたペルニアが相手で危険を犯す意味はひとかけらもなかった」

「勢い余ってというやつかね」

「どうやろな」

「何にせよ、つまらないファールで退場されたアトレチコもがっかり、ペレグリーニの交代を楽しみにしていた人もがっかりと、2重のがっかりが場を支配した」

「前半はそのまま終わり後半が始まる」

「セイタリディスが下がりアントニオ・ロペスが入る」


46分:セイタリディス → アントニオ・ロペス

「こりゃどういう意味やろな」

「イエローももらってなかったし、怪我ちゃうかと思うけどな」

「ビジャレアルは10人のアトレチコを攻め、47分に1点を返す」

「セナのミドルシュートやな」

「これをレオ・フランコがぽろりとこぼす」

「無回転の妙な変化をしたから、難しいと言えば難しい」

「51分にはジョレンテが決めて同点」

「ロッシのパスから抜け出し、早く寝過ぎたレオ・フランコの脇の下を通して決めた」

「そして57分」

「ピレスが落としたボールをゴンサロが決めて逆転」

「あっという間の出来事だった」

「たまらずアトレチコは交代」

「60分、パウロ・アッスンソンが下がりラウール・ガルシアが入る」


60分:パウロ・アッスンソン → ラウール・ガルシア

「しかし68分にはカソルラのパスからロッシが抜け出し4-2」

「1人少ない状態で2点のリードを奪われる」

「アトレチコは終わったと思われた」

「9割くらいの人がそう思ったやろな」

「それは両監督の交代にも表れる」

「まず70分にビジャレアルは、カソルラを下げカニを入れる」

「76分にアトレチコはマニシェを下げ、ミゲル・デ・ラス・クエバスを入れる」


70分:カソルラ → カニ、76分:マニシェ → ミゲル・デ・ラス・クエバス

「最初にカソルラからカニへの交代だが」

「これはご苦労さん交代で、代えの効かないカソルラを少しでも休ませるためやな」

「次にマニシェからクエバスへの交代だが」

「これは、アギーレがこの試合を少し諦めたことを示している」

「実はビジャレアルにリードされた後、アグエロがアップを開始していた」

「しかし2点差がついた時点でクエバスを投入」

「無理してアグエロを使う必要はないということやな」

「ずっと怪我を引きずってプレーしているらしいからな」

「おまけに今週の中日は国王杯」

「手を抜いても誰も文句は言わない」

「今のうちにアグエロを治しておきたい」

「それなら4-2かつ1人少ない状態で使う必要はない」

「つまり負けるにしても、なるべくダメージの少ない形で負けようという意図が見える」

「見えるわけだが」

「実はカニの登場と、シモンをトップ下に上げて点を取りに行ったことが決定的な意味を持っていた」

「ビジャレアルは81分にピレスを下げてマティを入れる」


81分:ピレス → マティアス・フェルナンデス

「これも、もう勝ちましたという交代やな」

「攻めの大駒であり怪我をすると一番困る、カソルラとピレスを代えて逃げ切り体勢に入っている」

「ところがその2分後にアトレチコが点を入れる」

「シモンが浮かせたコントロールからディフェンスラインの裏を取り独走」

「キーパーとの一対一を決めて4-3」

「さらに2分後」

「シモンのフリーキックからラウール・ガルシアが頭で決めて4-4」

「何と」

「まあ」

「恐ろしい展開であることか」

「実はビジャレアルの中で、カニがこれを止めることのできる可能性を持っていた」

「アトレチコの3点目でシモンが裏に抜け出した時」

「カニは一度これに追いつく」

cani_pasar_01.jpg

「しかし間に合わぬと見て、万歳をして通す」

cani_pasar_03.jpg

「結果、シモンはフリーになる」

cani_pasar_05.jpg

「ここから左に打つ踏み込みを見せ、インサイドでこするように逆に打つ」

「下の状態からカニは足をかけることができる」

cani_pasar_01.jpg

「ただし、ここでファールをすれば赤紙退場は間違いない」

「状況は11対10で1人多く、4-2で2点リードしている」

「はたして、かけるべきかかけざるべきか」

「悩むところやな」

「倒せば10対10、2点リードで戦える」

「通せば11対10、1点リードで戦える」

「今夜のご注文は」

「どっち」

「古いな」

「自分が言い出したんちゃうんか」

「それにしても難しいな」

「シモンがシュートミスでもしてくれたら、1人多いまま2点リードで戦えるから一番いいねんけどな」

「カニもそう判断したんやろな」

「倒して退場してフリーキックを決められたら、下手すると逆転まであるしな」

「それは流石に可能性は低い」

「結局どうする」

「監督の立場としたら、気合で倒しとけと言いたいところやな」

「そうか」

「この試合の時間によるシュートとクロスのデータを見ると面白い」

vilatl_nagare.jpg
参照:www.as.com/futbol/partido/Villarreal-Atletico-0289000800420002 ※リンク切れ

「うむ」

「何とも味わい深い」

「前半、ビジャレアルの方がシュートを打ったものの、点を取ったのはアトレチコ」

「後半開始からビジャレアルは1人少ない相手を攻めて、4連続得点」

「アトレチコは58分辺りから、クロス1本上げられない時間が続く」

「そんな中、83分に突如得点」

「2分後にもう1点」

「これに対し、ビジャレアルはカソルラを代えた70分から攻め手が鈍っている」

「交代が的中して同点に追いついたアギーレ、交代が裏目に出たペレグリーニとも言える」

「裏目いうても神様でもなければ、あんな展開を読みきれへんて」

「そりゃそうかもしらん」

「シモンを上げたらそのシモンが点を取った。一方、交代で入ったカニに重大な決断が委ねられていた」

「勝負のアヤはかくも不思議というところで」

「また次回」

「ごきげんよう」

「今週の個人技編はこちらこちらにありますので」

「よろしければ」

「ご覧下さい」


【蹴球計画】より ※この内容は蹴球計画のミラーサイトとして作成しています。詳細についてはこちら

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