2008/10/04 リーガ・エスパニョーラ 6節 (1)

ビジャレアル 2-1 ベティス

監督 マヌエル・ペレグリーニ
フォーメーション 1-4-4-2


「さて」

「少々遅ればせながら、第6節のビジャレアル対ベティスをお届けしようかと」

「少々じゃないやろ」

「この試合では、ビジャレアルの選手交代が非常に効果を発揮した」

「負けてるビジャレアルは後半、監督のペレグリーノが面白いというやつやな」

「その辺りを見て行こうかと」

「よかろう」

「先発はこう」

「前半を通して、全体的にビジャレアルの方が優位だった」

「しかし終わってみると0-1」

「あら」

「まあ」

「こうなると後半の動向が気になる」

「後半開始からはメンバーの変更なく、システムの変更もなし」

「ラインの裏を狙うボールが増えたくらいかね」

「時間は経過するが得点は動かず」

「はたしてペレグリーノはどうするのか」

「ビジャレアルのベンチは下の通り」

「58分に2枚同時に交代されるのですが」

「選手の特徴を知っておられる方は、どうなるのかを予想して以下を読まれると面白いかと」

「そして交代後の試合展開によってさらなる変化をどう行うか、についても考えられるとさらに面白いのではないかと」

「いうところで」

「少し間隔を空けて交代後へ」


「ペレグリーノの選択はこう」


58分

「セナとロッシが外れて、ピレスとギジェ・フランコが入る」

「左にピレスが入り、中央にイバガサ」

「まずイバガサが中で、ピレスが左というのはわかりやすい」

「長いボールを正確に蹴り、ラインの裏に落とすボールも正確なイバガサは中央で力を発揮する」

「おまけに相手と正対してからの組み立ても上手い」

「ピレスはボールキープに優れ、周囲にスペースを作り出して後に味方を利用するのが上手い」

「特に左から中央に入った時に良い」

「攻めるにおいて、上の組み合わせは非常によろしい」

「セナを外したのは休ませるためかね」

「この場合、問題の解答としてはセナかエグレンを外して、イバガサが中、ピレスが左というもので正解になる」

「皆様の答えはいかがだったでしょうか」

「で、前線の交代はどうかということになる」

「ロッシはスピード、技術に優れ、中に入るピレスとクロスするように左に出て良い」

「となるとロッシを残してもええはずやな」

「まあこの試合、ロッシの調子は悪かった」

「それが理由だとすると、この問題自体卑怯な設問やな」

「そうやな」

「認めてどうする」

「一応、理屈っぽく説明するなら消去法でやるしかない」

「ふむ」

「まず怪我でもなければビエラ、シガン、ブルーノの投入はない」

「ブルーノは守り向きだし、センターバックとキーパーはよほどのことがないと代えない」

「カニとカソルラでは、今現在、カソルラが明らかに優っている」

「これも極端な疲労か怪我か休養目的でないと代えない」

「となるとマティアス・フェルナンデスとギジェ・フランコが残る」

「マティは左から中央に入ってのスルーパスが一番良く、本人も左に行きたがるからピレスと被りやすい」

「となるとギジェとジョレンテで組んで、イバガサがサイドに展開した後のクロスを叩き易くする方が良いということになる」

「しかしや」

「なんや」

「消去法でギジェが残るとしても、ジョレンテと代えるか、ロッシと代えるか、理屈だけでは決めきれないのと違うかね」

「そうやな」

「素直に認められても困る」

「問題の解答としてはロッシ、ジョレンテを外してギジェを入れる、で正解になる」

「皆様の答えはいかがだったでしょうか」

「上の交代に続き、60分にベティスも動く」

「左のマルク・ゴンサレスを下げてモンソンを投入」

「うむ」

「これは」

「ようわからん」

「フェルナンド・ベガは攻めにおいて使えない」

「相手の右サイドバックであるアンヘルがフリーになっていたので、そこを押さえに行こうという意味だとは思う」

「ただし攻撃には非常に支障が出る」

「一長一短で、マルク・ゴンサレスの調子が上がらないということが決定打なのではないかと」

「全く縦に抜けられない」

「あれでは彼の良さが出ない」

「互いに手を打ち合った後」

「68分にセットプレーからゴンサロが決めて同点」

「余韻覚めやらぬ70分にジョレンテが決めて逆転」

「58分の2枚代えからわずか12分」

「ビジャレアルが逆転する」

「いや、おみごと」

「それでや」

「ここからが問題なわけやな」

「その時点での配置はこう」

「ビジャレアルは完全に攻めの形で、守備には向かない」

「そこで次の図からピレス、ギジェを除く選手でどうするか」

「当然こうなる」


76分:

「ジョレンテが外れてブルーノが入る」

「ブルーノがボランチ、イバガサが前線へ」

「ブルーノを入れることで守備を強化し、イバガサ、もしくはギジェが下がり、アウレリオをマークする」

「ちなみにこのブルーノという選手は体を合わせた守備が得意で、グラウンダーで正確につなぐこともできる」

「長いパスは少し苦手やけどな」

「中盤を締めて逃げ切りに入ったわけやな」

「実は、最初の二枚代えとこの交代はセットになっていないといけない」

「二枚代えて」

「ブルーノが入る」

「ふむ」

「攻める体勢を整えました。首尾よく逆転しました、次に守る手がありませんじゃ話にならんわけだ」

「そりゃそうやな」

「だから最初に代える時に、そのまとめ方まで考えておく必要がある」

「しかしなあ」

「しかし何だ」

「これ、できひんチームもあるねんな」

「例えばレアル・マドリーとかか」

「中盤を締める手段がないねんな」

「行ったら行きっぱなしで、いつもばたばたやしな」

「それに比べて、ビジャレアルは良い選手を揃えていると感心する」

「ピレスにイバガサ、マティにブルーノにエジミウソン」

「組み合わせ次第で色々な戦い方ができる」

「ビジャレアルはチーム設計も選手の獲得も実に上手い」

「エグレンなんか、よくこんな良い選手がいたもんだと感心しきりやで」

「中村俊介を体の圧力で封じることもできるし、中距離のボールもきちんと蹴れる」

「一家に一台的な選手と言える」

「そういえばベティスとしては70分に同点にされてから、76分にブルーノを投入されるまで6分の間があった」

「それがどうした」

「攻めの弱いベティスとしては、ブルーノが入って試合が落ち着くと非常に点を取りにくくなる」

「まあそうやな」

「そうなるとイバガサとピレスが中盤にいる間に叩いておきたいのだが、交代を行ったのはブルーノが入った1分後だった」

「もっと早うせいということか」

「それを見越して準備しておき、点を取られた直後に代えてもいい」

「理想論としてはそうかもしれん」

「この試合、ビジャレアルの動きを振り返ると最初がこう」

「次にこう」

「最後にこう」

「これらの狙いはイバガサが中に入って、攻撃の組み立てがうんぬんかんとか、ピレスが左でなんちゃらかんちゃらとか、ブルーノが守備でほんちゃらもんちゃらとか、そういう説明がなされる」

「上でしゃべった通りやな」

「サッカー雑誌などの記事でも、よくそのような表現に出会う」

「そうやな」

「しかし、そこで当然の疑問がわかんかね」

「何の疑問や」

「イバガサが入って組み立てが良くなったというなら、何がどう変わったのか、例えば前半はこうでしたが後半はこうでした、という具体例が気になる」

「具体例か」

「こういう場面でこうでしたが、イバガサだとこのように違います、と言うようなことが言えれば一番わかりやすいし、参考にもなる」

「そりゃそうやな」

「で、実際にやってみたわけだが、これがなかなか難しい」

「そりゃそうやろ」

「それでとりあえず、この文章を出して追々そのような点について解説しようという話になったわけだ」

「ちゃんとやるのか」

「やるで」

「はたして、どのようなものになるのか」

「お楽しみというところで」

「また次回」

「ご機嫌よう」

交代による変化の具体例


【蹴球計画】より ※この内容は蹴球計画のミラーサイトとして作成しています。詳細についてはこちら

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