クリスティアーノ・ロナウド、ドリブル、コース取り
「クリスティアーノ・ロナウドに関してやな」
「彼ほど毀誉褒貶喧しい選手も珍しい」
「ある人は世界最高と言い、ある人は屑といい」
「その理由などを考えてみようという話であるな」
「多分、彼を嫌いな人は下のようなプレーが大っ嫌いやと思うねんな」
「まずサイドに流れフリーでボールを持つ」
「やや外にふくらみながら縦に進んで、ペナルティーエリア横に至る」
「そこでひとまたぎ」
「左足で軽くもう一度」
「右でもう一回」
「左でぴょん」
「右でほい」
「左でとう」
「ここまでやって本当に右で切り返す」
「しかしルイス・ガルシアに見切られ」
「体を前に入れられて」
「クリスティアーノ・ロナウドのファール」
「散々またいだわりには、肝心な所を完璧に見切られている」
「こんなプレーは見た目が派手なだけのまやかしで何の結果ももたらさない、極めて非効率なプレーだ」
「というような批判は可能である」
「おまけにコース取りも下手過ぎてお話にならない」
「ということもできる」
「クリスティアーノ・ロナウドが通ったのは赤い線」
「この状態で一発で勝負を決めようとするなら、青いルートを通ってシュートを打つ方がいい」
「Cのつかない方のロナウドならほぼ間違いなくその形で相手に向かい、右足でのまたぎ一回から縦に抜けてゴールを狙う」
「赤いのはサイドで時間を稼いで、味方が中に入ってくるの待つのに適している」
「味方を待つなら時間を稼ぐやけど、自分で仕掛けるなら赤いコースは時間とスペースを失うだけになる」
「それを選択しながら、ごちゃごちゃ技を見せた挙句に自分で仕掛けて潰れる」
「コースとプレーが矛盾してけしからん」
「こんなプレーは見た目が派手なだけのまやかしで、何の結果ももたらさない、極めて非効率なプレーだ」
「というような批判が再び可能である」
「クリスティアーノ・ロナウドはわりとこういうプレーが多い」
「急激な角度で切り返す自信があるからスペースがある時、サイドへサイドへ行くことがある」
「自信持ち過ぎといえば持ち過ぎなんやな」
「そんなこんなで彼への批判は絶えない」
「おまけに、効率の良いプレーの権化であるカカーがすぐ傍にいる」
「何だ、クリスティアーノ・ロナウドはカカーより50億くらい高いくせにそれより下手じゃないか、これまたけしからん」
「といった議論はこれからずっと続くと思われる」
「うむ」
「しかしチームとの関係を考えたとき、そういう話は無意味になる」
「ある選手がいたとしてその選手の良いところがチームを補う形になっていれば、そこにかけがえのない価値がある」
「クリスティアーノ・ロナウドの長所を考えるにゴールを決める力、スペースがある状態での縦へのスピード、相手ゴール前での高さ、といった特徴がマドリーにとっては重要である」
「ゴールを決めるという特徴はヘレス戦、ビジャレアル戦での開始直後に見られた」
「縦へ抜ける点はエスパニョール戦で、グティのパスを受けて決めたゴールで見られる」
「相手ゴール前での高さではヘレス戦での2点目、コーナーからの得点がある」
「良い点がきちんと出ている」
「それが出ている間はいくらまたごうが、なめた感じの引き技でアンヘルを怒らせようが、セットプレーの守備でマークを簡単に外そうが、それは枝葉の部分である」
「最後のは枝葉じゃすまんのと違うか」
「そうかね」
「守備で使うなら人をマークする役じゃなく、ゾーンを押さえる役に回した方がええと思うけどな」
「ついでに言えば、交代に怒って新聞ネタになるのもご愛嬌である」
「それもどうかと」
「とにかくクリスティアーノ・ロナウドという選手から良い機能を取り出し、それがチームに役に立っていればいいわけで、それに関してはペレグリーニは非常に素晴らしい感覚があるというのはビジャレアルで見ることができた」
「何しろあのリケルメを使いこなした人やしな」
「やろ」
「最後は離婚同然みたいな別れ方やったけどな」
「そうやったかね」
「何しても人は悪い方に注目していると袈裟まで憎い方式で、何でもかんでも嫌いになってしまうことが多いので、クリスティアーノ・ロナウドの技術面で優れた点にも目を向けたい」
「例えばなんや」
「シュートにおけるインステップなどは非常に興味深い」
「そんなに強く見えないのに、なぜか入るしな」
「次はそんな点に注目してみようかと」
「続きはこちらから」
「どうぞ」