2014/07/09 ワールドカップ2014 準決勝
ブラジル 1-7 ドイツ
監督 ルイス・フェリペ・スコラーリ
フォーメーション 1-4-2-3-1
「さて」
「前回にブラジルの設計なるものを見た」
「そこでは、ブラジルが意図的にファールをかけてくるゾーンがあるという話だった」
「それに対してドイツはどのような対策を取るのか」
「それが興味といえば興味だった」
「まず、ファールゾーンでボールを持たないことを基本としていた」
「持つとしたら下の状況」
「自分が前を向いていて、プレッシャーを受ける可能性がない」
「この時はボールを持ってもいい」
「しかし自分が後ろを向いている、およびブラジルが噛み付きにきている」
「そういう時はさっさと蹴る」
「胸でもそらす」
「このゾーンで無駄に長くボールを持たないように気を使っていた」
「その他には、そもそもそのゾーンを飛ばすという対策も見られた」
「次の例では後ろ向きの選手にボールが入って素早く戻す」
「ここで前を向くことは優先事項ではない」
「そして戻ったボールを前に蹴る」
「これで大体ブラジルのゾーンを抜けている」
「さらには別の例」
「低いボールで中盤を抜く」
「こうすれば原理的にファールをされる心配はない」
「これは多分、一番最初に思いつく対策やな」
「長く持たない、ボールを早く動かす、先に前に当てる」
「カウンターの持つ特徴によく似ている」
「当然カウンターも狙っている」
「次はオスカルのパスを取ったところから始まる」
「ケディーラさんに脱帽せざるを得ない」
「ブラジルの守備が整わない隙を上手く抜けている」
「ファールゾーンで長く持たない、ボールを早く動かす、先に前に当てる」
「後はカウンターを狙う、ボールを持つ時は前を向いていて、かつプレッシャーがない場合かファールゾーンを抜けてから」
「これを基本としていたため、ブラジルは狙ってファールをする機会自体ほとんどなかった」
「それでも機会を捉えてはやっていた」
「試合が壊れるまででは2回かね」
「最初がこれ」
「これはボールを取るためというより、ワンツーなどを防ぐ目的で倒している」
「一部でモウ・アッタックと呼ばれる技やな」
「そうなん」
「モウリーニョが監督になってから、マルセロはこの技を得意とするようになったからそう呼ばれる」
「聞いたことないけどまあええわ」
「2回目はこれ」
「この段階でもう危ない」
「横向いて下がりながらボールを持っている」
「このゾーンでのブラジルの好物ではないか」
「予定通り」
「ナイスチャージ」
「監督が避けたかったプレーそのものだと思われる」
「ドイツはこれを食らわないように、実に気をつけてプレーしていた」
「それはそれとして」
「何と結果は1-7」
「あらビックリ」
「当然敗因はということになる」
「やっぱりホームでブーイングされてしまったフレッジかね」
「彼だけに責任を押し付けるのは無理がある」
「しかし前線が弱いというのは確かにあった」
「マイコンがまさにブラジルの狙い通り、理想的な取り方をしている」
「しかし最後はフレッジがパスをカットされて終わる」
「前の試合でも同じようなことがあった」
「ブラジルの9番なんだから、この状況からならもうちょっとこう何とかしてくれとは思う」
「こうってどうやねん」
「突破するとか自分でシュートに持ち込むとか、こう色々だな」
「それは単にないものねだりではないかね」
「まあそうやけど、もっとこうチャンスになる何かをだな」
「言いがかりにしか聞こえへんで」
「何かあるやろ、すっきりしない、もやもやっとした何かが」
「むしろこっちの方が、その気持になるんとちゃうか」
「こんだけスペースのある状況で、勝手に横向いて後ろ下がってファールされたらそらあかんわな」
「ブラジルの前線が弱いとは言われていたけど、それは確かにある」
「この試合はフッキさんがひどかったしな」
「20分までのプレーを見ているとチャンスのパスが通らず、組み立てのパスは間違え、ドリブルで駄目な取られ方する」
「フェリポンも頭が痛い」
「やっぱり、ネイマールは必要やってんなということがわかる」
「ネイマールの代わりにオスカルを上げると、今度は中盤からパスが出なくなる」
「攻撃のタレントがやたらと少なかったのが、今回のブラジルとも言える」
「まさかブラジルでそんなことを言う日がくるとは」
「思い起こせば1994年」
「ローマリオ、ベベット、マジーニョ」
「そこにマジーニョを入れるのは違うだろ」
「そして思い出の2002年」
「ロナウド、ロナウジーニョ、リバウド」
「そりゃ点は取れる」
「それに比べて今回は駒が足りない」
「でも開催国で、優勝を義務付けられている」
「きつい」
「優勝が義務とか、戦力があってもきついに決っている」
「それなのにずいぶんと厳しい条件でやらないといけない」
「それもあって、前回みたような設計に至ったものと思われる」
「守れるし点も取りやすくなる」
「でもあれは、できるだけ裏設計にしておく必要がある」
「表沙汰にできる設計ではないしな」
「多分、分かる人はブラジルのメンバー表を見た瞬間にわかる」
「しかしどんなに疑われても、表向きは違うと言い張れるのが望ましい」
「だから最初のクロアチア戦はファールが5個しかなかったし、次のメキシコ戦も相手よりファールは少ない」
「トーナメント初戦のチリ戦も露骨なことはしていない」
「しかし、そこでPKまで行く大苦戦」
「一度負ければそれで終わりのトーナメント」
「これはもう奥の手を出さざるを得ない」
「というのがコロンビア戦だったと考えられる」
「ただ出さざるを得なくなるのが早過ぎた」
「あそこまでモロにやってしまうと相手はもちろん、審判がそれを警戒する」
「それは非常にまずい」
「できれば決勝まで隠して、最後に無茶苦茶やって大勝利、優勝おめでとうが理想ではある」
「前回のオランダで、決勝はやったもん勝ちなのははっきりしている」
「しかし今回のブラジルにそこまでの余力はなかった」
「結果的にはそうやな」
「でもチーム事情的に、優勝の可能性が一番高い設計の1つであったように思う」
「フェリポンの設計はフェリポン苦肉の設計でもあった」
「と思われるわけですが」
「いかがなものかと」
「しかしあれだ」
「何だ」
「3位決定戦のブラジルはどうなるんやろ」
「そこは真面目に勝ちに行くしかないんちゃうか」
「選手はそうかもしれんけど、観客はどうするんやろ」
「やっぱりブーイングちゃうか」
「そうなると、かなりつらい試合になるで」
「オランダのやる気がなければ大丈夫」
「オランダはまたPKで負けた」
「ユーロ2000の後、オランダサッカー協会の人間が、”いやー本当にPKで勝つ方法を教えて欲しいんだけどねー”と冗談気味に言っているのを見たことがあるが、目は笑っていなかった」
「そら1992、1996、1998、2000とPKで負けたらそうなるわな」
「最近少し良くなったと思ったら、今回も結局PKで負けた」
「クライファート何か、つらかったかもしれん」
「まさに我が事やしな」
「まあ」
「そんなこんなで」
「気がついてみるとワールドカップも残り2試合」
「最後の結果を楽しみにして」
「また次回」