2009/03/28 ワールドカップ2010 予選

スペイン 1-0 トルコ

監督 ビセンテ・デル・ボスケ
フォーメーション 1-4-4-2


「さて」

「スペインはまたも勝って、負けなしのグループトップ」

「気味が悪いほどの順調さやな」

「プレーの落ち着きぶりはデル・ボスケのチームらしい」

「まあそうなんやけど、この試合は色々と不思議な部分があった」

「理解できそうで理解できないシステムが、いくつか出てきた」

「先発はこう」

「トルコはまごうことなき1-4-4-2」

「スペインはというと」

「なんやろな」

「1-4-4-2のいわゆるロンボ、菱形バージョンに見える」

「それにしてはカソルラの位置がおかしいねんな」

「シャビと同じような高さにいることが多い」

「システムとしては完全に左右非対称で、攻撃においては下のように動く」

「問題のカソルラは左のウィングのような位置に上がる」

「組み立てが詰まるとシャビがその後ろに下がる」

「右サイドはほぼがら空きでセルヒオ・ラモスの独壇場」

「サイドや裏へ長いボールを送るのはシャビ・アロンソ」

「そのような組み合わせやな」

「こうしておけばセルヒオ・ラモスとシャビ・アロンソの能力は使いやすい」

「デル・ボスケが対称性を崩す時は、選手のベクトルを矛盾なく噛み合わせるためであることが多い」

「しかしそれにしては、この配置は変でビジャは左の方が良いし、カソルラは右の方が良い」

「極めて実験臭のする布陣やな」

「予選で実験とは男前やな」

「それにしてもカソルラは右利きなのかね、左利きなのかね」

「右やと思うけど、フリーキックでは左で蹴る位置に立っていた」

「いわゆるアストゥリアス人両効き理論の表れやな」

「誰も認めてへん理論やけどな」

「寂しい話やな」

「それはそれとして、上のように組むと明らかに右サイドにスペースを残す」

「それは別に恐くないというのが下の絵やな」

「左前にいるアルダは中に入り、縦には全く行かない」

「実際にトルコのそのスペースは死んでいるので、ビデオをお持ちの方はご確認いただければと」

「おまけに後ろから上がってくるイブラヒム・ウズルメズは、全く攻撃に効かない」

「セルヒオ・ラモスに完敗もいいとこだった」

「ラモスに負けたというだけじゃなく、普段からボール扱いに自信がないんやと思うで」

「相手が近づいてきただけで、すぐ半身になってボールを庇おうとするあたりは、そんな気配がある」

「デル・ボスケは多分、彼の能力の低さをよく知ってこの形に組んだのと違うか」

「そうなんか」

「ハーフタイムの濃厚な挨拶を見る限りトルコ時代の部下というか、一緒のチームにいたはずやで」

「そうかもしれん」

「以上のように特殊な布陣で臨んだスペインであったが」

「上手くいったとはいい難い内容だった」

espturnagare.jpg
www.as.com/futbol/partido/Espana-Turquia-0279100801630650(※リンク切れ)


「たまに現れるASの流れ図で、点が上に来るほどそのチームが攻めていたと思っていい」

「開始からスペインは鳴かず飛ばずやな」

「むしろ5分あたりには終わったに近いピンチを招いていた」

「前半どうなるかと見ていると」

「30分を過ぎたあたりで動きがあった」

「カソルラが逆サイドに出てビジャが左にくる」

「選手を得意な場所で使う、という意味ではこちらの方が良い」

「その後、トゥンジャイのパスからアルダに完全な形を作られるが、トラップミスで事なきを得て」

「前半は0-0で終わる」

「注目の後半」

「うむ」

「元通りやな」

「ビジャが左に来ることが多くなったのは違うが、基本同じやな」

「試合の流れも前半と同じ」

「トゥンジャイに危ない形でシュートを打たれるが、枠をそれて事なきを得て」

「迎えた58分」

「トルコが先に動く」

「セミフを下げてアイハン」


58分: セミフ → アイハン

「これは」

「何というか」

「一歩引く形で1-4-1-4-1」

「これも難しい変化やな」

「それまでの分かれは、トルコにとって悪くなかった」

「その中でシステムを変える積極的な意味は薄い」

「誰かインタビューできる人に理由を聞いて欲しいところやな」

「トルコが選手を代えた2分後にスペインが先制」

「セットプレーからセルヒオ・ラモスがミスで膝に当てたボールが、ちょうどピケの前に転がって得点」

「何というかデル・ボスケの運を感じるゴールだった」

「逆にトルコにとっては最悪のタイミングでの失点」

「ここでスペインは、さっさと実験的配置をお終いにする」


64分: ビジャ → マタ

「ごく普通の1-4-2-3-1」

「鉄板システムやな」

「これに対して点を取らなければならないトルコは、再びフォワードを増やす」


72分: アルダ → ゴクハン、 カソルラ → シルバ

「やってることがちぐはぐやな」

「まあ不運な失点ではあったからしょうがない」

「監督としてはこういう形が一番嫌なんやけどな」

「この辺りから無理に攻めるトルコの裏を取る形で、スペインのチャンスが増え始める」

espturnagare.jpg
www.as.com/futbol/partido/Espana-Turquia-0279100801630650 (※リンク切れ)


「トルコはそれでも行かなければしょうがないので、さらに行く」


85分: エムレ → サブリ

「1-4-3-1-2」

「やられたらやり返す布陣だったが」

「むしろ一方的にやられそうなシーンを残しつつ試合は終了した」

「しかし双方、短い時間に色々とチームをいじった90分だった」

「中でもポイントは、スペインの最初の謎布陣とトルコが58分に引いた理由やな」

「その他の変更は意味がわかりやすいんやけどな」

「上の二つは、よくわからないので」

「何かご存知の方はお教えいただければと」

「あと個人技術編として、足の甲で後方回転をかけるトゥンジャイ編がありますので」

「そちらもご覧いただければというところで」

「また次回」

「ご機嫌よう」


【蹴球計画】より ※この内容は蹴球計画のミラーサイトとして作成しています。詳細についてはこちら

[ 前の試合へ | 選択に戻る ]