2009/04/25 リーガ・エスパニョーラ 33節
バレンシア 2-2 バルセロナ
監督 ウナイ・エメリ
フォーメーション 1-4-2-3-1
「さて」
「バルセロナとバレンシアは2-2の引き分け」
「バルサが最後の最後で追いついた形だった」
「この試合と前節のセビージャ戦は、バルサの現状と今後を考えるについて、非常に示唆的なものではなかったかと思うわけだ」
「そうかね」
「そこで以前の対策とそこからの変化を見つつ、これからについて考えてみようと思うんやけどな」
「ええで」
「まず去年の9月の終わりの段階で、下のように守ると良いというのがわかっていた」
「マルケスの前に壁を作りバルサの左を空ける」
「これが実際に有効だったのが12月半ばのクラシコだった」
「プジョルをフリーにすることで、非常に楽な形で守ることができた」
「左のプジョルとアビダルをフリーにしても全くパスが出てこないため、このような方法が有効だった」
「その後、時は流れ様々に改善事項が見られるようになった」
「左サイドバックのアビダルが良くなり、左センターバックにピケが定着するようになった」
「これにより左からの組み立てが良くなった」
「アビダルの進化についてはこちら」
「ピケの良さについてはこちらを参照いただければと」
「以前”ガビ・ミリートが復帰した場合、バルサの左を空ける守り方は破綻するのではないか”という質問を頂いた時、昔の戦例からそれでもマルケスを押さえ、ミリートを空けることになるだろうと予測した」
「はたしてアビダルが良くなりピケが入った今、上のような守り方が有効か否か」
「それが気になる」
「その疑問にある程度の答えが出たのが、1節前のセビージャ戦やな」
「先発はこう」
「特徴としてはこう」
「コネがトゥレにルイス・ファビアーノがマルケスにつき、ピケを空ける」
「上の疑問に解決するためには、ぴったりの布陣だった」
「概念図はこう」
「いきなり相手のユニフォームが変わったな」
「今後のことを考えてということなので、ご容赦いただければと」
「こう守ると、下のような形が増えるということがわかった」
「ピケ、アンリのラインが非常によくつながる」
「セビージャの場合はモスケラがアンリを止められず、攻め込まれた」
「この形で守るのが厳しければどうするか」
「通常であればツートップでピケ、マルケスを抑えに行く」
「下の形やな」
「ただバルサが本気で攻める時は、ピケとマルケスの間を異常なほど離す」
「こうなると、受ける側としては守りにくい」
「例えばピケにボールが渡った時、一人が詰めてもう1人はトゥレへのパスを切る」
「その後、マルケスに横パスが出るとトゥレに寄せていた選手がマルケスに詰める」
「ところが、通常より距離があると詰め切れない」
「その間にアウベスがサイドの中盤の裏へ走り込む」
「守るサイドバックは一瞬、中に入るメシと外のアウベスの2人を見る形になる」
「マークが甘くなったメシにパスが通り、中へのドリブルから縦に抜けるエトーにパス、そのままシュート、もしくは外のアンリに展開」
「いつものバルサパターンにはまる」
「実は今節のバレンシアはピケにも詰める守り方をした」
「図ではシルバが一つ下がっているが、ピケがボールを持つとセビージャ戦よりも遥かに近い位置で守る」
「これは上手くいっていた」
「しかしピケの相棒はプジョル」
「これではバルサに対して守るという意味では、今後の参考にはなりにくい」
「マルケスが居ると居ないとでは、攻める場合にえらい差やしな」
「一方で、バルサに対して攻めるという意味では参考になる試合だった」
「右のパブロ・エルナンデス、左のマタの飛び出し、そこへボールを送るシルバが非常に効いていた」
「バルサに対しては長く攻める方が良いというのは、以前の対策にも出てきた」
「下のような形の攻めは依然有効であると」
「そういうことになる」
「以上をまとめるとバルサを止めるという面ではピケの存在、アビダルの進歩により以前よりも止めにくくなっている」
「攻撃面では依然とかわらず一度プレスを抜けてしまえば、十分に攻めることができる」
「セビージャのようにプレスに負けて、簡単にミスを犯したらあかんねんけどな」
「バレンシアの選手というのはやっぱり上手いんやな」
「あとピケを空ける型の守備も、全く意味がないというわけではない」
「アンリに良い形でボールが入ったらまずいやろ」
「まずいけど、サイドバックがそこでの一対一に負けなければ俄然有利になる」
「それが可能ならの話やな」
「その点ではバレンシアの交代は興味深かった」
62分 ケイタ → アンリ、66分 バラハ → ミチェル
「まずはバルサが62分にアンリを入れる」
「75分に下のようになる」
75分 ミゲル → モレッティ、75分 シャビ → グジョンセン
「ミゲルをモレッティに代え、左のアレクシスを右に持ってくる」
「これはアンリを止めに行った交代と見ていい」
「まあそうかね」
「ここを止められたら、左を空ける型の守備に復活の目がある」
「しかし実戦でそれに賭けることができるのかね」
「難しいかね」
「難しかろうな」
「とにかくポゼッションを高めてくる相手に対する守備というのは、センターバックをいかに抑えるかというのが非常に重要になる」
「ビルドアップからリビルドに入ることが多いからやな」
「そこはチェルシー戦での第一の興味ではなかろうかと」
「下の形はあかんかね」
「これは前期のバレンシアやバイエルン・ミュンヘンがやって、ぼっこぼこに負けた例がある」
「そやけどな」
「バルサは攻められた時に瑕が修整されていないので、より反発力の強いツートップの方がええと思うけどな」
「そんなこんなもどうなるか」
「火曜日のお楽しみというところで」
「また次回」