2008/05/20 UEFAチャンピオンズリーグ 決勝プレビュー
マンチェスター・ユナイテッド 対 チェルシー
ゲームプラン
チェルシーの先発は、非常に高い確率で次のようになる。
左にカルーを置けばカウンターの威力が増し、マルダを置けば守備的に安定する。
チェルシーは下のように引いて守る。
ボールを奪った後、ドログバへ、もしくはサイドへのロングボールからカウンターを行う。
この目的のため押し込まれた側と逆の選手は前に残る。
左サイドを攻められた場合、右のジョー・コールが高い位置を保つ。
チェルシーとしては、マンチェスターが短いパスをつないで攻めてくる方が望ましい。
これは1-4-1-4-1は相手ボランチへのプレッシャーをかけやすいシステムであり、1-4-4-2のパス回しを寸断するのに適しているからである。
中盤でボールをひっかけてカウンター。
これがチェルシーのパターンである。
ユナイテッドがあえてそれに立ち向かうなら、下のような先発が考えられる。
1-4-1-4-1に対抗するためには、プレッシャーのかかりにくいディフェンスラインからの組み立てが鍵になる。
ここのため、サイドはブラウンよりもハーグリーブスの方が良い。
しかしこのように組まれる可能性は低い。
プレッシャーのかかる試合ではミスがでやすいことを考えても、相手の得意な土俵で戦う必要はない。
チェルシーのように中盤の守備が堅いチームに対しては、そこを飛ばすのが最も簡便な対策である。
ディフェンスや中盤のラインも無理に上げず、相手にボールを持たせる形にすればよい。
その方がチェルシーにとっては苦手な形である。
この場合、マンチェスターの先発は以下のようになる。
チェルシーのドログバと比較して、クリスティアーノ・ロナウド、テベスはロングボールを受けるのに適しているとは言い難い。
その不利をおしておしてでも、中盤を飛ばす方が良い。
前半は相手の固い部分を避け、スペースの生じる後半に勝負をかけるのが妥当である。
交代:チェルシーが不利な場合
左にマルダを置いた場合、チェルシーの先発は次のようになる。
チェルシー不利の場合、つまり得点が必要な場合の交代は次のようになる。
さらに時間が進んだ場合、中盤の選手を外してシェフチェンコを入れる。
これに対し、マンチェスターはサイドの選手を代えて対抗する可能性が高い。
最終的にテリーを上げたパワープレーも考えられる。
その場合、5バックで対抗するのが妥当である。
交代:マンチェスター・ユナイテッドが不利な場合
先発を次のように仮定する。
ここからマンチェスターが攻める場合、その変化は多岐に渡る。
例えばサイドを代えるならば、下のような交代が考えられる。
疲れやすいサイドを攻撃に有効な選手に代えている。
しかし、同じメンバーで下のような配置も可能である。
相手のチェルシーは、守備において変化の少ないチームである。
ジョー・コールをカルーかマルダに代えた後は、80分過ぎまで交代を遅らせる可能性が高い。
これは先発の状態で十分に守備を重視していることと、控えに先発以上の力を持つ選手が少ないためである。
その意味において、チェルシーの対応は読みやすい。
しかし、それに対して上記のどちらが有効か断言することは難しい。
ユナイテッドの攻撃における変化が多い理由は二つある。
一つは前線で複数のポジションをこなす選手が多いためである。
もう一つは、ベンチに先発と同等かそれ以上の攻撃的才能を持った選手がいるためである。
このため可能な組み合わせの数が非常に多い。
例えばサハを使う場合、次のような形も考えられる。
選択肢が多いというのは、一般的に良いことである。
しかしあまりにも多過ぎる場合、迷いを生じさせる原因となる。
無数の可能性の中から最適なものを選び出すのは常に難しい。
この試合において戦術的に最も興味深いのは、マンチェスター・ユナイテッドがリードされた場面での交代と配置の変化である。
【蹴球計画】より ※この内容は蹴球計画のミラーサイトとして作成しています。詳細についてはこちら。