2008/10/18 リーガ・エスパニョーラ 7節
アトレチコ・マドリー 1-2 レアル・マドリー
監督 ハビエル・アギーレ
フォーメーション 1-4-3-1-2
「さて」
「なんや」
「本日はマドリード・ダービー」
「最近、一部で見る価値なしダービーと言われているやつか」
「そうなんか」
「どうせ毎回レアル・マドリーが勝つんだから、見る必要もないということらしい」
「アトレティとしては屈辱的な言葉やな」
「確かに」
「ドラマとしては、いつも面白いと思うねんけどな」
「色々あるのは確かやな」
「まず今回の先発はこう」
「ふむ」
「ふむ」
「アトレチコが個性的やな」
「1-4-3-1-2」
「普段は1-4-4-2やのにな」
「アギーレは2006-2007シーズンのセビージャ戦で、これをやって大失敗した」
「この文章やな(※リンク切れ)」
「要するにセビージャというのはサイドの攻めが滅法強くて、そこを呼び込む1-4-3-1-2やら1-4-4-2の中盤菱形は、はっきりと良くない」
「この前のバルサ戦のエスパニョールと同じ感じか」
「そうやな」
「ただこの試合のマドリー相手やったら、サイドを呼び込んでも上の2チームほど恐くはないやろ」
「それはそうかもしれん」
「サイドにいるのはファン・ニステルローイとイグアインで、ナバス、プエルタと比べてサイドでの突破力は劣る」
「去年のロビーニョと比べてもそうやな」
「懐かしいな」
「そうは言っても、マルセロが上がってくると恐い意味はある」
「ファン・ニステルローイが非常によく下がって中盤を埋めるのに比べて、クン・アグエロはそれほど下がらないからマルセロがフリーになりやすい」
「だからサイドを空ける意味はあまりない」
「もしかしたら左はハインツェだと読んでいたのかもわからんな」
「確かにそれやったら右のセルヒオ・ラモスは怪我持ちだし、ハインツェは上がられても恐くない」
「うむ」
「先発の読み間違えかね」
「どうやろな」
「ちなみにマドリーの先制点は1分で、後から見るようにマルセロからファン・ニステルローイへのパスで決まっている」
「見事なシュートやったな」
「やはりシステムが悪かったと」
「しかしまあ、あれはファン・ニステルローイのマークを外す上手さと、シュート力がおかしいとも言える」
「そういう説もある」
「それより今回のアトレチコの配置は、守備というより攻撃でおかしいと思うねんな」
「攻めか」
「マドリーは構造的な弱点として、下の赤い点線のゾーンが空きやすい」
「中盤がすかすかで、特にサイドバックの前が薄くなる」
「そこを攻めたいところだが、アトレチコの配置では上手く攻められない」
「アグエロが右に流れてそこにロングボール、というのはよく狙っていた」
「それはいいとして、他にサイドのゾーンに入ってプレーできる選手がペルニアしかいない」
「フォルランはあまり流れへんしな」
「ラウール・ガルシアとマニシェは中央から前に出てシュートを打って、よくサイドでは大したプレーはできない」
「上のエスパニョールだとラモンとネネーやから、サイドでプレーできる選手を揃えている」
「その形だと中盤が横に出てプレーすることができるが、アトレチコの配置では難しい」
「となるとペレアが上がるかペルニアが上がるかやな」
「ペレアは上がっても脅威にならず、ペルニアのクロスだけが頼りになる」
「うむ」
「後半からシモンとルイス・ガルシアを使うのだが、それなら最初から1-4-4-2に組んだ方がサイドを攻めやすい」
「理屈上はそうやな」
「現実もそうやで」
「シモンは怪我上がりだったから、その辺が関係しているのではないかね」
「それにしても後半から使ったわけだし、システムを崩す理由としては弱くないか」
「ああ言えばこういう奴やな」
「この後の配置変更を見ると、その疑問はさらに深まる」
「まずこの試合最初の変更は30分」
「ペレアがスナイデルの顔を叩いて退場する」
「ドリブル中に手を広げたものだったが、故意と認定された」
「故意は故意やけどな」
「その結果こうなる」
30分:ペレア退場
「ハイティンガが右に出て、ラウール・ガルシアが下がる」
「数字は1-4-2-1-2やな」
「これはいかんということで、アントニオ・ロペスが37分に入る」
37分:ラウール・ガルシア → アントニオ・ロペス
「これは、ラウール・ガルシアがイエローを受けていたことも関係している」
「それもつかの間、39分」
「今度はファン・ニステルローイが退場する」
「激し目のレイトタックルで一発退場」
「審判が釣り合いを取ったとも言える」
「その結果、下のようになる」
「マドリーは1-4-3-2に近い」
「1点勝ってるチームがこの配置を取るのは珍しい」
「そんなこんなで色々とあった前半は0-1、マドリーのリードで終わり」
「注目の後半開始」
「下のような配置になる」
46分:ペルニア → シモン
「シモン登場」
「アトレチコの配置は1-3-4-2」
「ここが謎の部分でもある」
「マドリーの方は1-4-3-2」
「アトレチコは1-3-4-2」
「マドリーの方は中央を厚くし、アトレチコはサイドを重視している」
「試合開始とは、いわば逆の形やな」
「さらにアトレチコは下のようにマドリーの弱点を攻めやすい」
「ふむ」
「10人になってそれを狙うなら、なぜ前半の始めからそれをやらないのか不思議ではないかね」
「よくわからんところではあるな」
「おまけに後半のアトレチコはよく攻めていたというデータもある」
参照:www.as.com/futbol/partido/Atletico-Real-Madrid-0289000700020013 ※リンク切れ
「確かにシュート数が増えてはいるが、それが全部サイドから攻めたおかげだともいいきれない」
「試合はこのまま進み、下のような配置に変わる」
67分:スナイデル → ファン・デル・ファールト、67分:ウィファルシ → ルイス・ガルシア、77分:デ・ラ・レー → ハビ・ガルシア
「マドリーは67分スナイデルからファン・デル・ファールト、77分デ・ラ・レーからハビ・ガルシアに変わり、そのままの位置入る」
「アトレチコは67分、ウィファルシが怪我で下がり、ルイス・ガルシアが入る」
「そして最後は84分、ラウールがドレンテに代わる」
84分:ラウール → ドレンテ
「実はこれが重大な意味を持っていた」
「試合終了間際の90分」
「アトレチコがシモンのフリーキックで同点に追いつく」
「カルデロンは歓喜の渦」
「ところが長いロスタイムの96分」
「ハイティンガがドレンテを倒してPK」
「イグアインがこれを決めて試合終了」
「何というドラマ」
「ドラマはドラマだが、試合に対する審判の影響が強過ぎて素直に楽しめない」
「2人退場させて最後はPKやしな」
「その他にも色々とおかしかった」
「まあ後半の戦術的には、レアル・マドリーがついに下の形にしなかったことが興味深い」
「1-4-4-1か」
「勝っていて1人退場が出たら、これがいちばん一般的やしな」
「アトレチコのサイドからの攻めも止めやすい」
「シュスターは最後の最後までアトレチコと叩き合いを挑んで、紆余曲折を経てそれは正しかった」
「紙一重やったけどな」
「そこを見切れるところがすごい」
「それは確かに」
「今回も試合内容より、試合展開の方が興味深いデルビであったかと」
「審判のクロス・ゴメスが大活躍」
「マルカの審判採点で久しぶりに0点を見た」
「そんなデルビであったというところで」
「今回の個人技編はこちらですので」
「興味のある方はご覧下さい」
「というわけで」
「また次回」