ルックアップの改善1
ここでは改善が必要な例を見る。
画面左、矢印のついた選手の顔の動きに注目する。
ボールを蹴るまで、味方は以下の距離を動いている。
この間、一度もボールから目を離して前を見る動きは見られない。
加えて、パスが自分に来るまでの間に顔を上げる動きも見られない。
これはルックアップとして極めて下手なプレーである。
この選手はルックアップの基本を知らないように思われるが、そうではない。
味方のドリブルに対し、接触と接触の間に前方を確認している。
以下、同じ選手の顔の動きに注目する。
パスでボールが動く間に前方を確認している。
味方のドリブルに対する顔の動きは以下のようである。
味方間のパスにおける顔の動きは以下のようである。
タッチの間、ボールが動く間に別の場所を見るという基本がきちんとなされている。
自分にパスが来る場合も同じである。
ボールを来るまでに、一度縦方向を見てコントロールを行っている。
ここでも基本通りにルックアップが行われている。
以上からこの選手は味方がボールを持っている時、また自分にボールが来る時、どのタイミングで顔を上げるべきか理解していると考えられる。
にもかかわらず、全くそれができない事がある。
味方のドリブル
自分へのパス
ただひたすらボール方向を見ている。
このように知っているのにできない、わかっているのにできない、ということは往々にして起こる。
例えばパスが欲しくて欲しくてたまらない場合、味方が自分にパスを出すのか出さないのかそればかりが気になる。
そればかり気になるがゆえに、ボールだけに目が行きルックアップを行わない。
ルックアップを行っていないがゆえに、もしパスが来ても周囲の状況を把握していない。
このため守備者が寄せてきているのか否か、周囲との関係でどこにボールを置くべきかがわからない。
結果として中途半端なプレーを行いボールを失う。
これに類することは、現実によく起こるものと考えられる。
自分にボールが欲しい時は、それがチャンスにつながる時であることが多い。
上のような選手は普段は周囲を見ていたとしても、肝心な場面でそれができずにボールを失うことになる。
そのような選手はどんなに上手く見えても下手である。
ルックアップをいつ行うべきかどのように行うべきかをわかっていたとしても、それを肝心な場面で実行できるかどうかは別問題である。
ルックアップの改善が、プレーの改善につながることは多いと考えられる。
次回もそれについて見る。