フランス 0-2 イタリア
監督 ロベルト・ドナドーニ
フォーメーション 1-4-4-2
「イタリアが勝利」
「ルーマニアがオランダに負けたことから、トーナメント進出が決まった」
「ルーマニアは残念だった」
「戦力的に劣勢な中、粘りに粘って最終節に望みをつないだんやけどな」
「これでスペインの対戦相手はイタリアと決まった」
「それもまた難儀なことやな」
「先発はこう」
「フランスはリベリーを左に置いた」
「そこから内側に入れてボールを集めようということで、形こそ違え狙いはオランダ戦と変わらない」
「ことろが前半10分で彼が交代する」
「突然ピッチに倒れ込み足に猛烈な痛みを訴えた」
「骨折ではないかといわれている」
「代わってナスリが入った」
「しかしこれは困る」
「リベリーを中心に相手を崩すはずが、その彼がいなくなってしまった」
「フランスはこの後、ナスリにボールが入らず右サイドをごりごりと進むことになる」
「フランスの計画は丸つぶれ、イタリアは楽にディフェンスできるので大喜び」
「これだけでも十分にまずいのだが、それに追い討ちをかける出来事が起こる」
「23分にラインの裏に抜けたルカ・トニをアビダルが倒して退場」
「おまけにPK」
「ピルロが決めて1-0」
「攻撃の要を怪我で失い、退場で一人少なくなったあげくにリードを奪われた」
「困ったを通り越して絶望的な状況やな」
「フランスはアビダルに代わるセンターバックを入れる」
「10分にリベリーと代わったナスリは、わずか15分で再びベンチに下がった」
「その直後のフランスは1-4-3-2」
「点を取りたいから前に2人残した」
「しかしこれはイタリアを相手にすると良くない形で、ザンブロッタからファーサイドのトニに合わせられて酷い目に合う」
「ルーマニアも同じような形でやられていた」
「これはたまらん、ということでベンゼマを左に下げた」
「一人少ない場合の常識的な形になったわけやな」
「このベンゼマを下げたことは、攻撃面でも良い効果があった」
「彼が左から持ち込むことで、ボールがわりと楽に前へ進むようになった」
「ただそこからが問題で、ペナルティーエリアの前までは来るが、そこから最後の決めるプレーが出ない」
「リベリーがいない影響やな」
「得点は動かないまま時は流れて55分」
「ドナドニは、ピルロをアンブロジーニに代える」
「さすがというか何というか」
「相手が一人足りない状況でも、中盤に穴をあけないことを第一に考える」
「第一戦で見せた性格的な癖がここでも見られた」
「イタリアらしいと言えばイタリアらしいねんけどな」
「らしいといえば、この試合のデータも非常にイタリアらしい」
「UEFA(※リンク切れ)からの図やな」
「これだけを見るとゴール以外のデータは非常に競っていて、とてもどちらかが10人で戦っていたとは思えない」
「ボール支配率なんかは、むしろフランスの方が上やな」
「70分近く一人少なかったチームが支配率で勝っている」
「おまけにシュート数にもほとんど差がない」
「ただそのシュートに関しては、さすがにイタリアというデータがある」
「これは何だ」
「同じUEFAからのデータで左側がイタリアがシュートを打った場所、右がフランスのそれを表している」
「ふむ」
「イタリアは一番シュートを打たせたくないゾーン、つまり赤で囲まれたゾーンで一本も打たせていない」
「言葉を返せばフランスのシュートは、打たれてもあまり怖くないゾーンから打たされていたということか」
「やらせるところはやらせるが、最後の肝心な場所はゆずらない。イタリアの守備の良さが存分に出たデータではなかろうかと」
「リベリーがいれば、そこを何とかできたかもしれんけどな」
「フランスにとっては、とことん不幸であったと」
「その不幸とか不運とかについてやねんけどな」
「なんや」
「最初のルーマニア戦で勝ちにいかへんかったやろ」
「同点でフォワードを代えるには代えたけど、ひたすら守備に使ってたからな」
「それなのに、この試合で下のように組んだ瞬間は博打に出てるわけやろ」
「一人少ない状態で、フォワードを下げへんのやからそうやな」
「ここで勝ち目の薄い賭けに出るくらいなら、ルーマニア戦で無理にでも勝ちに行った方が良かったということになる」
「結果論やけどな」
「結果論というか、このこと自体が賭けに出ることのできるうちに賭けておかないと、後から賭けに出られるとは限らない、ということの教訓やと思うけどな」
「さよか」
「何にしても、イタリアがスペインの相手と決まった」
「両チームの先発を単純に向かい合わせると、下のようになる」
「ピルロがおらんな」
「イエローで出場停止なんや」
「それはスペインにとって朗報やな」
「そうでもないと思うで」
「何でや」
「受けを第一に考えるドナドニとしては、スペインのようなチームを相手にする時は特に中盤での守備を第一に考えたい。そうなるとピルロを外したくなる衝動にかられるはずなんや」
「ほんまかいな」
「だから、むしろピルロがいないことで、の布陣を採用できる意味はある」
「どうなんやろな」
「ドナドニにとっては、ピルロよりガットゥーゾの出場停止の方が頭が痛いんとちゃうかね」
「そういう趣味か」
「そういう趣味やろ」
「まあ、妄想の域を出んけどな」
「まあな」
「何にしても1-4-3-1-2のように組んでくれるなら、サイドから攻めるのが好きなスペインとしては悪くない」
「しかしイタリアは、こうは組まんのではないかと思う」
「どうするんや」
「初心にかえって1-4-1-4-1に組むんや」
「そうきたか」
「下の形でサイドからこられるのは嫌だから、それを避けるわけや」
「最近のセルヒオ・ラモスはあんまり上がらんけどな」
「次の試合でも上がらないという保障はない」
「しかし上のように組まれると、スペインは困るな」
「自分が1-4-4-2で相手が1-4-1-4-1だと、崩しきれない試合が非常に多い」
「ルーマニアとの親善試合(※リンク切れ)やアイスランド戦(※リンク切れ)もそうだった」
「崩したといえばデンマークとの試合(※リンク切れ)かね」
「ただその時はスペインの方もシステムが違う」
「まあな」
「スペインにとっては、ルカ・トニへのロングボールも非常に困る」
「こういうボールに弱く、押し下げられると非常に脆い、というのはスウェーデン戦でも見られた」
「こう見るとスペインが勝てそうな気がしない」
「どうにかせんといかんな」
「どうにかって、どうするんや」
「相手がスペインの中盤を潰しに来るとしたら、こっちから出て行かないというのはどうや」
「逆転の発想か」
「スペインもカウンター待ちで下のように組む」
「これをやるとシャビ、セスク、イニエスタ、シャビ・アロンソといった選手をなぜ連れてきたという話になるで」
「それは言わん約束や」
「おまけにこれなら、サイドにフアン・ロドリゲスとか連れて来た方がええんちゃうか」
「それも言わん約束や」
「ついでにアラゴネスの性格からしてもこれはないやろ」
「引かへん人やからな」
「相手が出てこないなら無理にでも潰してやろう、というのがいつもの行動パターンやからな」
「例えば下の形か」
「セナの代わりにシャビ・アロンソを入れてさあどうだ」
「どうだ」
「本当にやりそうで恐いな」
「今回はロシア戦のように引いた事実もあるし、こうはならんのちゃうかな」
「ドイツでのフランス戦(※リンク切れ)の教訓もあるしな」
「そんなこんながどうなるのか」
「22日のお楽しみというところで」
「また次回」