オランダ 3-0 イタリア
監督 ロベルト・ドナドーニ
フォーメーション 1-4-2-3-1
「オランダ対イタリア」
「大方の予想をくつがえす結果になった」
「オランダの3対0」
「大差やな」
「まさに」
「とりあえず先発はこうだった」
「奇策はなしというか」
「両チームともにメンバー表だけ見ると3トップになりそうではあるが、実際にはサイドを下げるのでそうはならない」
「開始のイタリアは完全に1-4-1-4-1やしな」
「両サイドを上げると1-4-3-3になるけど、そうはならない」
「オランダの動きは下のようになる」
「スナイデルとファン・デル・ファールトで長くボールを動かし、カイト、ジオを長く走らせる」
「それをエンヘラールとデヨングが支える」
「オランダといえばポゼッションサッカー、つまりボールを長く保持することから相手を崩すサッカーで有名やな」
「このチームも基本的にそれを目指している」
「しかし何よりもカウンターの切れが凄まじい、というのがこの試合の結論だった」
「2点目(※リンク切れ)、3点目(※リンク切れ)は絵に描いたようなカウンターから決まった」
「そのビデオは日本から見られるのかね」
「その点はお教え願えれば幸いかと」
「次にイタリアの方に目を移す」
「カウンターを基調にしてピルロからのパスで崩していこう、ということで間違いない」
「しかし、それは上手くいかなかった」
「先に点を取られたこと、ピルロをファン・デル・ファールトに押さえられたことが痛かった」
「自分から攻めなければいけない状況になったし、ファン・デル・ファールトはピルロと大のお友達のようにいつも一緒にいた」
「その状態で、どのような攻めが最も良かったかといえば、中に入るカモラネーシだった」
「下がって組み立てを助けては前に出てドリブルから崩しのパスを入れ」
「実に良い働きだった」
「ここでガットゥーゾを代えて誰かにパスをさばかせる、というのはあかんのかね」
「いや十分にあるというか、それが普通の手やな」
「そして63分、デル・ピエーロが左に入る」
「後半のイタリアは球際の激しさを前面に押し出し、中に入るカモラネーシ、左を上がるグロッソなどが良い攻撃を見せた」
「ピルロはマンマークを外すため、中央を外れ盛んにサイドに動いていた」
「ただその影響もあってか、75分を過ぎてファン・デル・ファールトが疲れから動けなくなって、フリーになる場面が増えたものの、パスがずれる場面が非常に多かった」
「ファン・デル・ファールトは完全に止まってしまった」
「ピルロにずっとついて、攻撃ではどんどんスペースに走って、あれで一試合は難しいと思うで」
「ところでイタリアは弱いのかね」
「カウンターが使える状況なら強いで」
「リードされてピルロを抑えられた時にどうするか、という話か」
「そうやな」
「逆にオランダは強いのかね」
「カウンターが使えない状態で進み、ファン・デル・ファールトとスナイデルの体力が切れたら、その後は難しいはずやな」
「となると相手は耐久作戦でくるわけか」
「この後当たるフランスとルーマニアは確実にそうやろな」
「小さいコンビの持久力が鍵ということか」
「その小さいについてやけどな」
「なんや」
「UEFAのデータページ(※リンク切れ)にチームの身長についてのってるんや」
「それがどうした」
「それを見るとわりと面白い」
「これか」
「上はチーム平均身長で、国民平均身長世界一であるはずのオランダはそれほど高くない」
「ほぼ大会平均と同じやな」
「さらに身長の分布図が興味深い」
「左端のオレンジ色が175cm未満の選手やな」
「いわゆる小さい選手や」
「オランダより多いのはスペイン、フランス、ポルトガル、トルコの4カ国か」
「オランダは国民の身長が高い国のはずなのに、小さい選手の割合が大きい」
「上の4国は生物学にある、赤道に近づくほど個体が小さくなるの法則と矛盾していないのが面白いな」
「さらに右の水色の部分も面白い」
「185cm以上、いわゆる大きい選手の割合か」
「これも平均でしかない」
「大きい国のわりに、大きい選手をそれほど使わないということか」
「これはつまりオランダがポゼンッションサッカー、ボールをつなぐサッカーを標榜しているため、小さくてもテクニックに優れた選手を好む傾向があることを示している」
「とは言えへんやろな」
「まあな」
「国民平均身長が大きい、サッカー選手も大きいはずだ、あまり大きくない、これはオランダがテクニックを重視するからだというのはあまりにも短絡的やしな」
「国民の平均とサッカー選手の平均でどの程度の差があるのか、国民の分布と選手の分布に差異はあるのか、それが国によってどう違うのか、監督によって代わるのか、年代ではどうなのか、といったことがわからんと何とも言えへんしな」
「その辺をきっちりやれば修論にはなるんちゃうかね」
「題名は”オランダにおけるサッカーフィロソフィーによる身長選別に対する影響について”とかかね」
「じゅげむじゅげむみたいな題やな」
「そんなこんなで」
「また次回」
「ご機嫌よう」
「今回はルーマニア対フランスに関する簡単な分析もありますので」
「そちらもどうぞ」